「明日の夜間演習のチケットが手に入ったのですが行きますか」
と25日の予行前日に、同行のメンバーからかかってきたお誘いの電話に
二つ返事で参加することを承諾したわたしです。
一般に公開されておらず、関係者と招待者だけが見学できるという夜間演習、
ついにこの目で見る日がやってきたのです。
「撮影されるなら三脚を忘れないでください」
「三脚なんか使っていいんですか」
「全員スタンド席なので大丈夫です」
そこでふと心配になったのは、カメラのバッテリーでした。
メインにしているNikon1はバッテリーを異常に喰うので有名で、
わたしは総火演であれば、必ず前段演習終了時に電池を取り替え、
装備や演習以外の撮影は電池を使わないRX100で行うことに決めているくらいです。
ただでさえ電池を消費しそうな夜間撮影、2つの電池で朝から撮り続け、
さらに夜の演習の最後まで撮ることができるのでしょうか。
「心配いりませんよ。夜間演習は30分で終わりますから」
あ、そうなの?
しかし、たった30分の演習をわざわざ一般に公開するとは・・・。
我々一行は昼間の演習が終わり、バスで御殿場まで戻ってから、
各自の車に乗ってファミレスで休憩をしました。
わたし以外は全員男性でしたが、皆さん見かけによらず甘党らしく、
パンケーキやらなんとかアラモードなどの可愛らしいものを食べておられました。
ここで隣に座っていた一団もどうやら「常連メンバー」だったらしく、
同行者の一人はあとで
「ファミレスの隣に”いつもの人”がいた」
などとおっしゃっていたのですが、おそらく向こうも
全く同じことを思っていたと思います。
かくいうわたしも、昨年の観艦式のとき、たしか「むらさめ」の甲板で
近くに座って超大型マグナムレンズで撮っていた同じ人をこの夜発見。
陸空海のイベントにどこにでも現れるコアな「撮り自」の人って、
もしかしたらいつも同じメンバーなのではないだろうかという気がしました。
さて、7時からの開演に先立ち、わたしたちは4時半に現場に到着しました。
夜の演習には送迎バスが出ないので、全員車での来場になりますが、
参加人数が少ないので、皆会場に近いところに駐めることができます。
昔は昼の総火演そのものがこんな感じで、官公庁などにいくとチケットが
窓脇に無造作に置いてあり、行きたい人(ものずき)が取っていくというもので、
本番であっても会場が全部埋まることなどなかったとこのとき聞きましたが、
なんだか信じられない話ですね。
現地ではこの日の朝のように、スタンドの外壁に沿って並びだして
ほとんどすぐ開場になり、中に入ることができたのでホッとしました。
スタンドに入ると最上段から順番に座らされるのですが、一応案内係も
”あいだを空けずにお座りください”というものの、昼よりは規制も緩い感じでした。
わたしは最上段の、前に席がないスタンドに座ることができました。
まあ、夜間演習なんて見るのも写真を撮るのも、こんな場所であっても
なんの関係もないということが後でわかるのですが(笑)
スタンドの最上段に立って開場の外側を見るとこんな景色。
昼間人でごった返していた同じ場所とは思えません。
食べ物を売っている店は一軒も開けていませんでした。
去年はこの右側のスペースに停めることができたそうですが、
なんの事情なのか、駐車場が遠くなったようです。
こちらの参加人数も増えているということなんでしょうか。
地面に敷かれたシートは迷彩柄のOD色なので、こうやってみると
まるで山間部に広がる水田のような眺めです。
最前列は報道とカメラのために確保されている模様。
日が沈む前で雲の合間からはときどき光が落ちてきます。
わたしは夜の部の参加のために着替えを持ってきており、
ファミレスで着替えてそのときに昼間の汗を濡れタオルで拭い、
実にさっぱりと爽やかな気分でこの場に座っておりました。
山間部の気候なので、日が傾くとすでに涼しくなりかけており、
この頃には冷たい風も時折吹くようになっていました。
やってくる人々も、気のせいか昼間のような殺気だった雰囲気もなく、
のんびりとしてまるで花火大会の始まりを待つような様子です。
そうこうしているうちにリハーサルが始まりました。
74式戦車と89式装甲戦闘車が現れ。
コブラも出てきてこんにちは。
夕焼けの逆光で叙情的なコブラが撮れました。
FV小隊が一線に並び、砲を目標地域に据えました。
まずコブラが試射を行います。
この日初めての照明弾と照明弾による攻撃。
上からひよひよと落ちてきているのが照明弾で、
さらに攻撃側は暗視装置を使って正確な攻撃を試みます。
照明弾というのは「candela」という単位でその明るさを表します。
こう見えて結構明るくなる、というか攻撃には十分な明るさなのです。
照明弾が落ちてくる様子は実に趣のあるもので、わたしなど
今年は行き損ねた大曲の花火大会の「昼花火」を思い出しました。
このあたりは自衛隊の人たち(もしかしたら賓客も)の席?
カメラマンの人たちもお互いの距離を十分に保てて撮りやすそうです。
自衛隊の写真中隊もここで撮影を行っていますね。
AH-1Sコブラの中には、C-NITE(コブラナイト)と呼ばれる
夜間行動能力向上型があるそうですが、おそらくこれもその一つでしょう。
機体の上下のワイヤーカッター、およびコクピット前にレーダージャマー送信アンテナ、
ローター下の受信アンテナが付いているのがC-NITEだそうですが、
上のコブラの写真をみると鼻先にポチッと何かがあるので、
これがレーダージャマー送信アンテナだと思われます。
90式戦車が射撃。
この頃、わたしは本番のために電池を温存する必要があったので
全てをデジカメで撮っておりました。
まだ明るいときには照明弾の効果はよくわかりません。
攻撃には暗視装置が使われますが、自然界に存在する微光を
増幅して視界を得る微光暗視装置と、赤外線装置があります。
スクリーンでは暗視装置の紹介が行われました。
75式照準用微光式暗視装置です。
69式暗視双眼鏡は微光式、偵察用。
微光暗視方式、偵察用個人携帯である暗視装置V3。
車の運転のときにも使われます。
赤外線方式の暗視装置V7。
離れた位置から観測ができます。
鉄帽に装着して使用する微光式個人携帯用の暗視装置V8。
01(マルヒト)式軽対戦車誘導弾よう暗視装置は赤外線方式で、
発射機に取り付けて使用するタイプ。
82式対戦車誘導弾よう暗視装置も赤外線方式。
レーザー照射器に取り付けて使用します。
戦車・装甲車にも暗視装置が付いています。
89式装甲戦闘車に搭載された暗視装置は夜間において
広い地域の監視、攻撃が可能になります。
赤外線方式です。
90式戦車の暗視装置は夜間においても目標を補足するだけでなく、
赤外線ん方式で移動する目標を自動的に追尾して攻撃ができます。
74式戦車の暗視装置は、赤外線を対象に照射するタイプもあります。
夜間における野戦、つまり夜戦が今ではこういった装置のおかげで
完璧に可能となったということなんですね。
続く。
この日は午前中の小雨が予報でも言われていたため、
会場に来ていた人は皆雨具の用意をしていました。
途中で少しパラパラと雨が降り出した途端、周りの人たちが
キタキタ、と言って早々にレインポンチョなどを着込みだしました。
アメリカ人ならよほどの雨が降るまで傘は差さないので、
一瞬も濡れまいと皆が一斉に準備を始める様を見て、
ああ日本に帰ってきた、とあらためて実感したわたしです。
しかし、結局気配だけで午前中は天気は持ちこたえました。
一応Nikon純正のレインカバー(レンズのところをベルクロで留め、
手を中に差し入れるようにして透明の部分からファインダーを覗く)
を持ってきていたわたしもそそくさとバックパックから出したものの、
結局一度も使わないまま終わりました。
ところで冒頭のヒトマル式戦車射撃の瞬間は、25日の予行に撮ったのですが、
火炎の形が一番気に入っているので今日まで出し惜しみしていたものです。
さて、それでは続いて27日に撮ったもの、続きをどうぞ。
定位置に着かんとする96式装輪装甲車の車上。
今回写真を撮っていて案外眼鏡をかけた隊員が多いのに気付きました。
96式装輪装甲車は、機密性に優れているため、放射能汚染地域や
化学剤による汚染地域にも展開させることが可能です。
東日本大震災ではこのII型が災害派遣された実績があります。
II型には、最悪、原発職員が全員撤退するようなことになった時を想定し、
中央即応連隊がこれで救出作戦を行えるよう特別改造を施されていたそうです。
この際、放射能で汚染された原発施設に突入し、車両の上に人を乗せて脱出、
安全地域までそのまま運んで除染することができるように、
そのため踏み台、ロープ、落下防止の手すりが取り付けられ、拡声器も外付けしていました。
戦車部隊配備の車両もかき集め、数両がこの仕様に改造されたということです。
あのとき、政府が右往左往して手をこまねいて見ている中、
自衛隊ではこんなことまで想定して用意をしていたのです。(ここ伏線)
その96式が、96式40mm擲弾銃を2台で撃ち、
敵歩兵に見立てた黄色い風船が破裂したその瞬間。
この擲弾銃は、車上からも車内からも撃つことができます。
96式装輪装甲車は歩兵を10人まで運ぶことができます。
小銃小隊は下車して速やかに戦闘を展開できるというわけです。
というわけで、96式装輪装甲車が大変使える武器であることを知った
今回の総火演でした。
60からの偵察オート隊が降りてくる様子などは全く撮れませんでしたが、
飛行中のヘリコプターはまあ普通に撮ることができました。
武装ヘリアパッチの銃撃と・・・・、
弾薬が炸裂する瞬間。
アパッチの砲撃から出る煙はどういうわけか鮮やかなピンクです。
もう一つ、対戦車狙撃銃の爆発の瞬間。
中空の大きな火の玉の下地面には、無数の砂煙が上がっています。
ガンタンク、87AWにもこのように黄色いロープが入り込んできましたが、
この写真は2門の銃を手を挙げるのように空に向けており、
本来の自走式対空砲らしい動きをしていたので撮ってみました。
このあとの戦車の展示は、行われている場所が視線の高さで、
ほとんどが人の頭に遮られているか、見えても黄色いロープがあるかで、
もう撮る気もなくしてただ眺めていました。
戦車にはこのようにもれなく黄色いロープ付き。
これでは撮る気なくしますわ。
27日には行われなかったと書いてしまいましたが間違いでした。
この日はフリーフォール降下、雲の厚いのを圧(お)して行われました。
地上からヘリは全く見えませんでしたから降下員は雲の下が
どうなっているか全くわからないまま生身で飛び降りたということです。
これは・・・・きっと怖かったと思う。
さて、前段演習が終わり、後半が始まるという直前になって、
わたしは意を決して立ち上がり、会場を後にしました。
この場所で後段演習が前段よりまともに撮れるとは思えなかったし、
もうすぐ雨が降りそうな気がしたからです。
後段演習が始まっているのに外には結構な人がいました。
どうみても中東系の顔をしている軍人さんが自衛隊みやげを
物色していたので、つい写真を撮ってしまいました。
そして25日に食べそびれた富士山ケバブを食べながら帰ることにしました。
食べにくそうなので上に掛ける甘口ソースは無しで注文しました。
ソースがあった方が美味しかったと思いますが仕方ありません。
そして、こんな時だけ異常に当たるわたしのカンどおり、
ちょうどバスから停めてあった車に乗り込んだとたん、ポツポツと始まった
雨が、高速に向かう頃には激しく御殿場一帯に降り始めたのでした。
ところでいきなりですが、皆さん、映画「シン・ゴジラ」ご覧になりましたか?
わたしは観ました。
この日同行した撮り自さんの連絡メールに、
「今観てきましたが、自衛隊ファンなら是非お勧めしたい映画です」
とあったのですが、帰国後多忙でなかなか時間が取れず総火演を迎え、
現地に行ったらまたしてもここで同じ人に
「シン・ゴジラ見ましたか。行くべきですよあれは」
と熱烈にお勧めされてしまったばかりか、
「ここ(演習場)から自走砲がロケット砲撃って武蔵小杉まで届いてましたよ」
などという、思わず「なんですって!」と膝を乗り出してしまうような
その内容を聞き、矢も盾もたまらず、やっと時間を作って観てきたのです。
いやー、面白かったっす。
なんでもこの映画、「社会現象とも言ってもいいくらいの大ヒット中」。
思うに、作品のテーマを「日本対ゴジラ」とし、もしこんなことが起きたら
間違いなくこれ以上にグダグダになって収集つかなくなるにちがいない日本政府の、
予想範囲の混乱や総理の葛藤(笑)や対策委員会のありがちな錯綜、そして
らしくない内閣官房副長官(主人公・長谷川博巳)率いるオタクやはぐれものの
集まりである文科省・環境省の技術者集団のカオスな試行錯誤、
つまりそういう部分に焦点を当てたのが、案外成功だったって気がします。
ただ、これだけは確信するのですが、これは日本でしかウケないでしょう(笑)
現に現在のところ海外での評価は決して芳しくないとか。
わたしに言わせれば、そんなの当然です。
「自分が運命の決定者になることを好まない」指導者たちの逡巡、
後に引けない運命の中でいざとなると覚醒し力を発揮しだす人々、
そして、戦いに出る者を送り出す側の苦衷と痛切な感謝の思い。
こんな日本的心情がコアになった構成要素に加え、
何か起こったとき、全員が上から下まで、外敵に対してイケイケになるのが普通の
アメリカSF映画では決して顧みられない「戦いに至るまでのお役所仕事&手続き」、
しかも会議やら根回しやらを異常なくらいの比重で描いたこの映画は、
おそらくハリウッド映画のテンポを基準にする人々には全く退屈なものに違いありません。
加えて全員で右往左往するうちに、いつのまにか問題解決している、
集団になるとなぜか力を発揮するというのもよく言われる日本人らしさであり、
こういうことにカタルシスを感じる傾向もおそらく日本人に顕著だからです。
さて、この映画は防衛省自衛隊全面協力して制作されたため、
作品中で実施されるゴジラ打倒作戦については、スタッフが全て自衛隊と
「実際にゴジラが現れた場合、自衛隊はどのように対処するのか」
「ゴジラに対して武器の使用が認められるのか」
いったテーマでミーティングを繰り返し行い、脚本を書き、さらには
映像を得るため2015年の富士総合火力演習に参加して撮影を行ったそうです。
さて、最初の作戦「タバ作戦フェーズ1〜3」ですが、わたしの記憶によると
フェーズ1の最初の段階で登場するのはまず戦闘ヘリコブラでした。
コブラの銃撃程度では全く歯が立たず、続いてAH-64Dアパッチによる30mm弾、
それもダメで対戦車ヘリが河原に集結して攻撃。(いちいち総理の許可を得てから)
もちろんコブラのTOW攻撃もありまっせ。
その後、フェーズ2ではヒトマル式戦車がなぜか多摩川の河原を蛇行しつつ
攻撃したり、 富士演習場からM270 MLRSがロケット砲を撃ったりします。
これですね。
MLRSの射程距離はスペック上では30kmとなっています。
御殿場から新丸子橋までこれだと届かないわけですが、
弾体のセッティングを変えたら70kmくらいはなんとかなる、
とスタッフが自衛隊とのセッションから導き出し、
こういう設定にしたということでした。
25日の装備展示ではわたしは荷物番をしていたわけですが(笑)
このMLRSのところで、わたしにシン・ゴジラを勧めた人が、
装備の説明のために横に立っていた隊員に
「シン・ゴジラでこれここから撃ってましたねー」
と尋ねたんだそうです。
すると、あの映画に出ていたのがこの装備(つまりこの写真のもの)で、
その隊員さんがあの映画で装備を撃っていたご本人ということがわかりました。
そこでその人が隊員さんにもう映画を見たのかどうかときいたところ、
「まだです。今日帰りに観ます」
と言っていたとのことです。
この映画では、女性防衛大臣(余貴美子)が眼光鋭く
総理に自衛隊出動の決定を詰め寄るなどというシーンも見られます。
映画のエンドロールには、取材協力に元防衛大臣の
小池百合子東京都知事の名前がありましたから、
防衛大臣を女性にしたのは、小池氏の協力に対するオマージュかもしれません。
(ついでに震災時の官房副長官枝野幸男の名前があったけどこっちは知らん)
あくまでもゴジラは仮想の「想定外の国難」ですが、それが現実になったとき、
日本政府の対応はともかく(笑)、自衛隊はかく戦うであろう、
という映画上のこの想定「だけ」は、ほぼ間違いないことにわたしには思われました。
そして、例えば命令下達時の独特な発声も含め、自衛隊登場シーンは
細かなところまでかなりのリアリティを与えられています。
ところでリアリティといえば、これだけはどうしても書いておきたい。
大統領特使役の石原さとみがはっきり言っていろいろ酷すぎ。
だいたい祖母が日本人ってだけのクォーター、つまりアメリカ人が
あんなに日本語ぺらぺらでしかも英語が下手なわけなかろう?
二世ですら、アメリカ生まれならジョージ・タケイみたいになってしまうのよ?
日系三世ともなると、日本語が喋れる人の方が珍しいってくらいなのよ?
つい出てしまうらしい"Uh-huh."の短い発音ですら、
全くネイティブのセリフに聞こえなくて思わず苦笑してしまうレベルだったし、
おそらくアメリカ人には、彼女の言っていることより長谷川や竹野内の英語の方が
ちゃんと聞き取れたにちがいないってくらい酷い巻き舌。
ファンには悪いけど、発声も日本語のしゃべり方もウザすぎてイライラしたし、
だいたい日本人そのものの顔で「名門パターソン家の三代目」(意味不明)
とか、「親は上院議員」とか「40までに米国大統領になる」(爆笑)とか。
とてもじゃないけどそんな器には見えませんでしたわ。
人気の美人女優をヒロインにしたかった電通のごり押しなんでしょうが、
明らかにミスキャストだったと思いますね。
それから、もう一点。
劇中、官僚やら政治家が、「日本」「アメリカ」という言葉を使わないのよ。
「日本」のことはまるで規制でもかかっているように「この国」「この国」。
日本国の政治の中心にいる人たちが、まるで他人事みたいに「この国」。
誰か一人くらい「我が国」「日本」と言わないのか、と注意してたのですが。
これはとても違和感ありましたね。
それから「アメリカ」のこともなぜか全員が「米国」としか言っていませんでした。
文章で書くときはともかく、口語では普通に「アメリカ」っていいませんかね。
さて、批判はともかく、シン・ゴジラ、一緒に行った人が
「自衛隊ファンならば・・」
と書いていた意味が、観終わったあとよくわかりました。
ゴジラと戦う自衛隊はたとえ自衛隊ファンでなくとも
その頼もしさと誤解を恐れず言えばカッコよさに思わず胸が熱くなるでしょう。
海からくるゴジラを叩くのに海自の出番が少なすぎるという説もありますが、
これは空自が「F2が撃墜されるのは困る」と難色を示し
そのため出番が少なかったという噂から考えるに、海自もやはり同じように
「たかなみ」「いずも」が沈むのは困る、とか言ったからに違いありません。
むしろ、陸自の今回の出血大盤振る舞いぶりに(ネタバラしすると10式もやられる)
「何があった、陸自」と思わず聞いてみたくなります。
まあ、この映画、中国でも公開されたそうですし陸はともかく空海は色々と(略)
あと、個人的には、ピエール瀧のタバ作戦隊長がキマっていたことと、
統幕長の國村隼が長谷川に自衛隊出動の礼を言われて、
「礼は要りません。仕事ですから」
とさらっと答えるシーンなどにしびれました。
しかし、この戦いの中で多くの自衛隊員が犠牲になっていく姿も、
わたしたちはスクリーンで直視せねばなりません。
ある元海将が、退官後に新潮45に寄稿したエッセイで
「自衛隊を戦場に送り出す政府は、国民は、果たして(自衛官の)
『戦死』を受け入れる覚悟が本当にできているだろうか」
と、その「弔い方」を含めて投げかけておられた疑問を思い出さずにはいられない
この映画のラストシーンでした。
さあ、これで一応総火演の昼間についての見学記は終了したわけですが、
もう一つ、お伝えしたいことが残っています。
それはあまり一般の人が見る機会のない、夜間演習です。
続く。
というわけで、撮った写真を追いながら最後まで総火演の
プログラムを追っていったわけですが、わたしにはまだ
もう少しご報告することがあります。
最初にもお伝えした通り、今回の総火演、わたしは
25日と27日に参加しました。
25日は晴天で、さらには同行したのが自衛隊を撮り続けて
この道10年以上、みたいな人のグループだったため、
3時半に御殿場集合という過酷なスケジュールとはいえ、
写真をとるには絶好の場所を確保することができたのです。
しかし、27日は全くの単独行動であったうえ、色々と読み違えて
写真をとるには最悪のポイントに座ってしまいました。
念のために書いておきますと、これでも駐車場(鏡原)に着いたのが
朝5時半だったのですが、駐車場にはすでにかなりの列ができていました。
もしかしたらこちらも前夜から車で来て、一人を会場で並ばせ、
車で夜明かししたという人がいたのかもしれません。
そこまで熱心に早く会場に行きたがる人がいるというのも驚きでしたが、
もっと驚いたのは、早く会場に着いたからといって
必ずしもいい席に座れるとは限らない、という事実でした。
シート席というのは陸上自衛隊施設科の恐るべき施工力によって、
なだらかなスロープが形造られており、後ろに座ってもフィールドは
ある程度見えるように設計されています。
しかし前列というのはフィールドと同じ高さであるうえ、
ちょうど目の高さに黄色いロープが貼られていて、それが
写真を撮るときいやでも写り込んでしまうのです。
前列に陣取って、しょっちゅう半腰になって撮っている人もいましたが、
後ろの迷惑になるのでまともな神経ではできることではありません。
わたしはすぐさま全てを撮るのをあきらめ、望遠で
この位置から撮れるものだけ撮るという方向にシフトしました。
この日は小雨がぱらつく曇天だったのも諦めた原因の一つです。
というわけで、今日はこの日の写真を淡々とご紹介。
まず、右手稜線の74式戦車。
90式戦車の砲塔。
思わず二度見してしまいますが・・・・、
実は車長の向こうにこんなポーズの人がいたのでした(笑)
96式装輪装甲車の射撃が+の中央に炸裂した瞬間。
周りには白く細い煙がたくさん散らばっています。
狙撃手二人と観測手のチーム。
ゴルゴの横顔が見えたのでシャッターを切りました。
ちなみにこのギリースーツ、コネチカットでは38ドルで買えます。
しかしこのスーツ、降下始めで見たものとあきらかに色とか、
もふもふ具合が違いますね。
「夏用」「冬用」が別にあるみたいです。
右のもふもふが持っている機械は距離測定器かなんかでしょうか。
さて、戦車火砲の類の写真をすっぱり諦めたわたし、
自分の位置から撮れるものを撮る、と決めたときに注目したのは
120mm迫撃砲の射撃でした。
今までいたどの場所よりも距離的に近く、撮りやすかったのです。
この日のテーマは12迫、といいきってもいいくらいです(笑)
ちなみにこのときには80mm砲も同じ射列で撃ちましたが、
前の人(前から2列目に座った)の頭の関係でこちらはあきらめました。
砲をセットし終わったら、副砲手がなんと中を覗き込んで点検。
なんか入り込んでたりゴミが詰まってないか確かめてるんですね。
こちらその隣の砲の落とし込みの瞬間。
何枚ものこの瞬間の写真を見る限り、全員が口を開けています。
どうも掛け声をかけながら行うようです。
二人の弾薬手は、耳を抑える人もいれば抑えない人も。
発砲の瞬間、筒の後方から煙が噴き出るのが写っています。
こちらの副砲手は落とし込みの時に小指立てる派。
これを行う者は防弾チョッキを着用すると決まっているようです。
暴発などの可能性を考慮しているのでしょう。
この副砲手の落とし込み動作はよっぽど素早いらしく、
手を離してから体を落とす途中経過が全く写っていませんでした。
十字形に炸薬が破裂した瞬間。
今回の12迫撮影で最もいい瞬間を捉えたのがこれでしたが、
黄色いロープと前の人の影が写り込んでこのありさま。
こちら小指を立てる隊員さんの砲。
砲の下にトレイのようなものが設置してありますが、
発砲の際に起きる後方への爆風を受け止めるためと判明。
きのこ状の炎が!
これ、周りにいる人には瞬間とはいえかなり熱波も来てそう・・。
砲弾が筒から飛び出すその瞬間。
周りの空気が歪んでいます。
特科火砲の実演に現れた155mm自走榴弾砲の射撃手。
というわけで、リハーサルはここまでです。
設営隊が射撃目標の整備を行っています。
狙撃を行った台で何か(多分薬莢)を拾っているらしい。
手に手に回収したものを入れる袋を持って一列で行進する施設科隊員。
音楽隊の演奏も一応近くで見られましたが、ロープと人の頭がご覧の通り。
「散水車と眼鏡を直す菊池隊員」←作品名
題「こちら危険物回収終了、異常なし」
この日はスタンドに名札も真新しげな若い隊員たちがいました。
題「自走砲上の漢(おとこ)たち」
砲を覗き込む役目の人は目の周りにメイクしません。
203mm自走榴弾砲の後部にあるショベルのようなものは、
地面に立てて発砲の際の衝撃を受け止めるためのものと思われ。
題「孤独の銃撃手」
ただ一人(実は左のほうに何人かいるけど)、
敵を見据えて銃を構える男の孤独を表現してみました。
題「戦友(とも)の背中は俺が撮る」
後ろでビデオカメラを構えている写真中隊の隊員。
題「砲の先のふうせん」
特科火砲の描く一直線の弾着跡はいかんせん近すぎてご覧の通り。
前に座ればいいというわけではでないことを痛感した瞬間。
題「俺についてこい!」
ヘリからリペリング降下して、チヌークから降ろされた
120mm迫撃砲のところに走っていく砲員たち。
そして本番。
メイクしていますがこの小指の立て方は紛れもなくさきほどの。
撃て!
弾薬が飛翔する。
やっぱり何か叫んでますね。
迫撃砲射撃終了。
車に砲の先をけん引させるために連結する作業は、
1分以内に終わってしまいます。
唯一25日より上手く撮れた気がする対戦車誘導弾の発射。
弾薬がほぼ静止して写っています。
シャッタースピードは1/500で前回は1/640だったのですが。
マルヒト式誘導弾は総火演では車上から発射されますが、
基本一人の射手が肩に担いで照準、射撃する個人携行式です。
というわけで、撮れなかったもののほうが多かった27日予行ですが、
あと一回だけ我慢してお付き合いください。
話題の「シン・ゴジラ」を観てきましたので、その感想とともに
お送りしたいと思います。
続く。
実弾ではなく発煙弾を大量に発射して空中に弾幕を作る、
という実に日本国自衛隊らしいフィナーレを迎え、
今年も無事に終了した富士総合火力演習です。
煙幕がまだ色濃く残る中、終わったら一目散に出口に向かい、
少しでもバスに早く並ぼうとする観客もたくさんいますが、
約半数はこのあとの装備展示を待ってフィールドに出るつもりです。
わたしたち一行はこのあと一度御殿場まで戻り、各自の車で
夜間演習にも参加することになっていたので、急ぐ必要はありません。
戦車小隊が右手に向かって退場していきます。
10式戦車の上から観客に向かって笑顔で手を振る隊員たちに、
観客の多くが手を振って見送ります。
90式戦車の操縦席から顔を出している隊員も笑顔。
戦車も普通の自動車同様、アクセル・ブレーキ・クラッチで操縦するそうですが、
こうやって顔を出している時にはやっぱり立ってるってことなんですか?
戦闘中は顔を出せないので、カメラで間接視認を行うわけですが、
そうでない時はやはりこうやって直接外を見た方が運転しやすいし、
なんといっても外気に触れて気分もいいんだろうなとお察しします。
みんなに顔を見せて手も振れるしね。
手を振っているのは写真に見る限りほぼ全員男性でした。
やっぱり戦車は男子の憧れ!なんですね。
戦車砲塔には12.7mm重機関銃M2が装備されています。
両手を振っている隊員さんはこれを撃つ、つまり左目で照準を覗くため、
迷彩メイクを顔の右半分だけにしているのかもしれません。
さて、すっかり煙幕も晴れたフィールドには、展示装備が
ヘリコプターから順番に並べられます。
まず一番最初にやってきたのがチヌーク、CH-47。
本日の訓練では偵察隊の降下、そして車両の運搬、
120mm迫撃砲の牽引などを支援しました。
主に味方の前進を支援する攻撃で活躍、武装ヘリアパッチ。
迫撃砲部隊を降下させたり、オート隊をバイクごと運んだり、
多用途ヘリというだけあって色々と大活躍のロクマル UH-60。
正面から見るとうっすーい戦闘ヘリAH-1コブラ。
対戦車ミサイルTOWの射撃では会場を沸かせました。
航空祭などではちゃんとお辞儀もしてくれたりします。
ロクマルの向こうに降りて切るのは観測ヘリOH-6。
アメリカ軍ではカイユースと呼ばれていますが、見た通りの
フライングエッグという愛称もあるそうです。
今年はOH-1ニンジャの総火演参加はありませんでした。
観測ヘリがかぶらないように配慮したんでしょうか。
ヘリが全て着地してからは装甲車など。
まずは87式偵察警戒車。
装甲車両に火力が備わっているので、本日も行われた
強行偵察(小手調べというか、攻撃してみてその反撃から
敵情を知る)が可能な、頼もしい偵察車です。
あれ・・・・?
こんな装備、今日登場したかしら、と頭で考えるより早く、
「これは今まで見たことのない装備、すなわち最新式車両だ!」
と気づいてしまった わ・た・し。
思えば遠くに来たものでございます。
16式機動戦闘車( Maneuver Combat Vehicle, MCV)
は、今年制式になったばかりで、まだこの総火演では
ただの機動戦闘車(試作)とされていました。
スペックもサイズしか書かれていないという・・・。
ノーズ(っていうんでしょうか)に書かれた桜のマークと
「富校一機」の文字もまだ真新しく。
履帯ではなく(キャタピラという言葉は商品名なので使わないそうです)
タイヤを履いているものの、砲のサイズが大きく、そのため
正式にではないけれど「装輪戦車」と呼ばれることもあるそうです。
実際にもその火力は74式と同等であるとか。
装輪であるための弱点(重量に耐えられないとか)はありますが、
逆に機甲師団や教育機関のある本土以外の四国や九州にも
配備することができるという利点を期待されています。
今年2016年の初頭に、防衛省はこの装備の名称を、
16式機動戦闘車とすることは決定しましたが、事実上はまだ
制定されていないので、ここでの紹介も単に「機動戦闘車」となっています。
早ければ今年の陸自観閲式でお披露目が行われ、来年の降下始めあたりに
機動戦闘車の実弾演習が公開されることになるかもしれません。
そしてまたしても”見たことないセンサー”が鳴り響き、
乗員すらガイジンさんであるという不思議なシェイプの車両が来ました。
こちらも看板には「水陸両用車」と書いてあるだけ。
正式にはAAV7、
Assault Amphibious Vehicle,personnel.model7
水陸両用強襲輸送車7型
です。
アメリカ軍は海兵隊に装備されているので、乗って入る外人さんたちは
マリンコーアの方々であるということになります。
なんだかいっぱい乗っていますが、実際に操縦する乗員は3名。
基本兵員輸送用で、25人を運ぶことができるというので、
展示用にちょっと多めに乗せてみました、ということかもしれません。
こんな重そうな履帯があるのに水上滑走できてしまうという、
実に不思議な水陸両用車ですが、自衛隊がこれを配備することにしたのも
島嶼部防衛を強化させるため、つまり尖閣対策と言われています。
調達のあかつきには自衛隊内に創設される予定の
水陸機動団
に配備され、操縦するために必要な大型特殊免許と船舶免許
(やっぱりどっちも必要なんだ・・)を隊員に取得させて運用します。
水陸機動団に配備されるAAV7だけで52台になる見込みです。
なるほど、降りるときにはこうやって手をかけるのか_φ( ̄ー ̄ )
乗員たちが救命ベストをつけているのは水上用装備ですね。
さて、周りの人たちは装備が並べ終わった頃にはそわそわと、
カメラと荷物を手にフィールドに降りようとしておりましたが、
例年この装備展示がどのような状態になるのかよく知っているわたしは
近くに行っても人垣に囲まれて写真なんか撮れっこないし、
全体像の写真なら普通に上から撮ってしまったし、何よりも疲れて、
荷物を抱えて下まで行く気力を完全に無くしておりました。
そこで、
「わたしが荷物見てますから行ってきてください」
と申し出て、人垣のできた各装備品の混雑の有様を
荷物番をしながらぼーっと眺めておりました。
看板には英語と日本語で諸元説明がされています。
”水陸両用車として知られるこの装甲兵員輸送車は、
米海兵隊で1972年から運用され、世界10カ国で採用されています。
最近、日本の陸上自衛隊も本車両を採用することとなりました。
AAVは専用船から直接海上に進出し、
海岸部へ迅速に上陸し、戦闘を支援します。”
そして下の諸元表によると、水上での最高時速13.2km。
航続距離は水上で7時間。
7時間すぎたら後は動かなくなって漂うだけになってしまうのか。
走破性能は2.4mまでの塹壕とありますが、それぐらい掘っちゃうってこと?
また段差も91センチなら乗り越えるそうです。
91センチの段差を乗り越えているとき中の人がどうなるのか知りたい。
ところでマリンコさんたち、看板をこのために手作りして、
わざわざAAV7で運んできたんですね。
うーん、なんかすごくかっこよくないか?
疲れた体に鞭打っても下に行って近くで写真撮らせて貰えば良かった。
ところで、先日のニュースによると、アメリカ軍が尖閣付近に
強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」を投入したらしいですね。
明らかにこれは同海域に最近大挙して武装警備船や漁船を送り込んでいる
中国に圧力をかけるのが狙いだったと思われます。
「ボノム・リシャール」は世界最大級の強襲揚陸艦。
強襲輸送ヘリ、ハリアーII、オスプレイ、エルキャックを搭載し、
約2000人の海兵隊員を一気に揚陸させることができます。
8月に入ってから中国は、尖閣の接続水域や領海に公船や民兵の乗った
漁船を侵入させ、すわ、上陸かという緊張状態にありましたが、
「ボノム・リシャール」の出動の情報が流れた途端、漁船の大半が
姿を消した、という情報も流れてきていたそうです。
いろんなしがらみゆえ、がんじがらめで動けない自衛隊の代わりに
アメリカ軍がこうやって遊弋してくれたのは、決して日本のためだけではなく、
あくまでもこの地における米軍プレゼンスの誇示であろうと思いますが、
それでもこれだけ明らかな抑止効果があるのを見てしまうと、
やはり日本がまともな国になるまでは、アメリカと緊密に連携するしかない、
という現実を改めて思い知らされる気がします。
(そして反米軍、反基地勢力の陰では中共が糸を引いている、
という例の噂も真実味を帯びて聞こえますね)
とにかく、自衛隊が島嶼部奪回を仮定して部隊や装備を増強しても、
相手が何かしてくるまで指一本動かすことができないという事情がある以上、
抑止効果を高めつつ、アメリカとは仲良くしておかないといかん。
と思ったニュースでした。
さて、ところで、本日のパンフレットに、当ブログとしては看過できない
こんなゲームの宣伝を見つけてしまいましたのでご報告します。
彼女らを艦これの「かんむす」風に「陸自娘」で「りくむす」と呼びます。
木更津若菜とか市ヶ谷愛というのは「駐屯地の擬人化」で駐屯地娘、
装備の方たちは武器娘というそうで・・・。
りっく☆じあ~す 公式 プロモーション ムービー
いや、やっぱり日本って平和だわ(笑)
続く。
後段演習、76式戦車が攻撃をしたところで、次は施設小隊の出番です。
地雷などの障害を処理する施設小隊を援護するため、特科部隊が発煙弾を撃ちます。
細い筋を長く引く独特な煙跡の発煙弾です。
煙はすぐに広がってあたり一帯を白煙で包み込みます。
制圧射撃を76式戦車が行ったあとはお待ちかね?
地雷原処理弾の発射が行われます。
準備の間にも76式はもう一発2台で一緒に制圧射撃を行います。
砲撃のあと、まだ次に打つ場合は
「命中、撃ち方、待てっ!」
と号令があります。
地雷原処理車のいるところは客席からはあまり見えません。
装備の正式名は92式地雷原処理車。略称MCV。
指向性散弾とともにこれも施設科が扱う武器です。
車体の上に2連装の92式地雷原処理用ロケット弾の発射装置が装備され、
その名の通り地雷を爆破処理して侵攻する道を啓開します。
まずは、爆薬を牽引するロケット弾が発射されます。
空中でしばらく黒煙を吐きながら飛翔します。
数珠繋ぎになった爆薬がミサイルの後部から出てきました。
左手に見える白いものがパラシュートのようです。
わかりにくいのでストリームをキャプチャしてみました。
確かに小さなパラシュートが開いています。
爆薬ひとつひとつは小さいのですが、ものすごい効果。
ブロックは26個連結されていますが、総火演ではいつも4分の1に爆薬を減らして行います。
26の4分の1?
と割り切れないので不思議に思って引き出される爆薬の数を映像で数えたら、
やっぱり26くらいあるんですね。
つまりひとつひとつの爆薬の大きさを4分の1に減らしているのでしょう。
特科部隊の前進支援射撃を受けてヒトマル式戦車小隊が攻撃。
目標は敵陣地に現れた敵戦車です。
4台が一斉に一点を撃破。
戦車対戦車の場合、逃げ足の速いヒトマル式は、相手より早く
先んじて攻撃をしなければなりません。
撃つとすぐに後退し、急停止して向きを変えます。
会場右手に4台が揃って移動中。
砲塔はぴたりと敵の側に向いたまま。
そこでFV小隊の前進を援護するため74式戦車が射撃。
FV小隊もここにきて戦闘に参加。
96式の射撃は3発続けてドンドンドン!と発射されます。
そして敵を制圧後、陣地変換の際の援護を10式に依頼。
FV小隊を狙って現れた敵戦車に4台同時一撃!
FV小隊が移動中ももう一発。
4台のヒトマル戦車が狙って撃った部分は、斜面の形が跡形もなく
変わるくらい激しくえぐれてしまっています。
この後、87 AWが敵航空機を叩き落したり、FV小隊が装甲車に撃ちまくったり、
とにかく相手が反撃してこないのをいいことにやりたい放題。
驚くべき精度で的を撃ち抜く技術に皆があっけにとられているうちに
いよいよ後段演習はクライマックスへと・・・・。
しかし、こういうのを見ると、あらためて現代の戦闘行為というのは
ハイテクを駆使しつつも後ひとつのところで「腕」がものをいうものであり、
ヘリ部隊、オート部隊、狙撃隊、何一つとってもプロフェッショナルとしての
鍛錬に培われた技能なしでは何も始まらないと嫌でもわかるわけですよ。
憲法改正関係で何かと言うと徴兵制になる!と騒ぐ人たちは、
「現代の戦争は素人を集めてきてなんとかなるものではない」
といろんな人が口を酸っぱくして言っても聞こえないふりをしていますが、
ぜひ一度総火演を実際に見て、これらの装備の扱い一つとっても
行進ひとつできない素人がどこに参加する余地があるのか、
ぜひその辺をじっくりと考えてみてはいかがでしょうか。
まあそこまで考えられるような人間なら最初からパヨクなんてやってないか。
ここで特科火力(迫撃砲など)による突撃支援射撃が行われます。
突撃が可能かどうかは、いままでに味方が撃破した戦車の数から
戦車隊の隊長が判断し、命令を下します。
向こう側の90式戦車は、2台1組で山道を突入していきました。
そして「突撃成功」の知らせが・・・。
ここですべてのヘリ戦力も加え、戦果拡張のための攻撃を行います。
残存する敵を殲滅し、陣地を完全に奪回するのです。
ここで出される指令とは、
「戦車中隊、1中隊は2段山、2中隊は3段山を攻撃せよ」
「戦車教導隊、前へ!」
前方に一列になった戦車教導隊が、発煙弾を一斉に撃つ瞬間。
一番最初に破裂した発煙弾。
線香花火の先のようです。
よく見ると、周りに無数の小さな弾薬のようなものが浮遊しています。
空中にまず炸薬が破裂し、まるで花火のような閃光をともなう爆発が起こります。
実はこの発煙弾発射が、総火演のクライマックスだったりするんですね。
新聞の総火演を報じる記事も、一枚だけなら圧倒的にこのシーンです。
たまやー。
実は、この発煙弾の種類がなんなのか知ろうとして、
どういうわけか白リン弾のページに行き着いてしまいました。
尾をひく様子が少しこの発煙弾に似ていたからです。
ガザ地区に落とされたこの爆弾について、ここでは書きませんが、
ナイアガラ花火のような美しさは一緒でも、こちらは大変非人道的な爆弾です。
ガザ地区に多く住むという子供たちが爆撃の犠牲になった、などという
ニュースを読むと、まるで花火のように射撃訓練をを見て楽しんでいる
この日本という国はなんと平和な国家なのだろうと改めて思います。
発煙弾の火花は一瞬で消え、弾幕となって前方を覆い隠しました。
左方から列を組んで進行していくヘリ部隊と地上部隊。
会場からはこのフィナーレに向かって大喜びで観衆が拍手を送ります。
「状況、終わり!」
ソードソード ミードミード ソミドミドソドー
ソードソード ミードミード ソミドミドソドー
(移動ド)
この花火(じゃないけど)とヘリ部隊の飛行を見ると、
ああ今年も夏が終わったなあと思う人もおられるのでしょうか。
わたしはどちらかというとまた日本に帰ってきたなあという感慨かな。
さて、この後は装備展示が行われました。
わたしはあまりにも暑くてかなりこの時間には眠いのもあって
立ち上がるのもしばらくは億劫だったので、スタンドから
この光景を眺めることにしました。
続く。
さて、総合火力演習、いよいよ後段演習が始まります。
後段演習は島嶼部奪回のための各種統合作戦の様相が実地されます。
まずは島嶼部に侵攻してくる敵を、水際で掃討する作戦からです。
会場にはすでに各種装備が待機しています。
中距離地対空ミサイル、通称中SAM。
中SAMが攻撃する目標は航空機ですが、スクリーンによる映像のみの紹介です。
12式地対艦誘導弾、通称ヒトニSSM、
このほかMLRS(多連装ロケットシステム)などもおります。
そして、これも全く見えませんでしたが、雲の上を通過するF2戦闘機の音がしました。
偵察部隊のP23レーダーは想定による沿岸部の開始を始めております。
状況開始がオーロラビジョンに映し出され、ラッパが鳴り響きます。
ドソド〜〜〜
ドッドドドッドミッミミミッミドッドドソッソソドミドソドー
(移動ド)
聞きなれない人は前半だけで「正露丸」と言ってしまいます。
まず、P3Cが偵察のため飛来しました。
んが、雲の上を飛行している気配だけで終わりました(笑)
比較的晴れた25日でさえそうだったのですから、27、28日など
果たして本当に来ていたのかさえも謎です。
とにかくP3Cと捜索標定レーダー装置の捜索によって、
敵艦船が沿岸部に近づいているらしいことがわかりました。
12SSMなどは海上の敵艦船を撃破するミサイルを撃ちます。
(という設定)。
中SAMの撃破をかいくぐった敵艦船が沿岸部に接近してきました。
中距離多目的誘導弾が、敵の舟艇を撃破します。
この発射は写真が撮りやすいので大好き(笑)
MMPMとはMiddle range Multi-Purpose missile
のことで、中距離多目的誘導弾は直訳です。
ミサイルは直径 約14cm、全長 約1.4m。
重量は約26kgとなっています。
目標がちゃんと船の形をしていたのにストリームで初めて気づきました。
ここでさらに攻撃を免れ上陸してきた敵に対し、
待機していたF2戦闘機が対地攻撃を行いました。
雲の上を通過したため姿が見えなかったF2ですが、
ここで初めて皆やっぱりいたんだーと知ったのでした(笑)
LJDAM(レーザー・ジェイダム)は無誘導の弾薬に精密誘導能力を付加する装置です。
別の場所からこれを目標に照射することで、F2の精密爆撃が可能になります。
それにもかかわらず2段山、3段山に進出してきた敵。
観測ヘリOH-6が偵察にやってきました。
前方赤外線監視装置を搭載しているので、
夜間、あるいは熱源に対する観察も可能です。
いかに軽快な駆動性を持っているかを誇示するように・・・。
そういえばこの日はニンジャ OH-1の姿を見ませんでした。
その分張り切って飛んでいるような印象です。
斥候班のオート隊がヒューイに乗ってやってきました。
バイクが降りられるように板をかけます。
ストリームではヒューイから降りる寸前のオート隊員が映されました。
これは・・・・狭い。
2台のオートバイが降りてきました。
ストリーム映像。
別撮りしたものですね。
援護のためのアパッチが到着し制圧射撃を行います。
そこにやってきたUH60(愛称ロクマル)とチヌーク。
ロクマルからはリペリング降下のためのロープが下されました。
このときヘリ内部がどうなっているかというと・・・。
ハッチの両側に2名ずつ背中を外に向けて降下用意。
手前の人が両手を下に下げるのが降下の合図です。
リペリング降下開始。
4人が全く同じ速さであっという間に地面に降り立ちます。
しゅたっ。
ヒーロー戦隊もののオープニングみたいなポーズも決めっ決め。
チヌークからも偵察隊員が降下してきました。
こちらはカラビナを使わない降下方法を行っています。
これだと地面に降りてから金具を外す手間がいりません。
彼らは前進しながら要点を確保し中隊主力の援護を行います。
先遣小隊が降下した後、輸送してきたヘリはいち早く離脱。
一列で要点を確保するため山道に入って行ってしまいました。
アパッチが援護射撃をする中、もう1機のチヌークからは車両が降りてきました。
まず銃を持った一人が降りてきて周りを警戒しています。
車が車両を降りるとき、皆一応頭をかがめています。
敵方向に銃を向けて警戒しながら戦闘に加入。
ここでこの展開に必要な各種装備のご紹介。
ご存知LCACですが、こうしてみると大きいんですね。
海の上をひた走っているのを見ただけではもっと小さいように思えました。
MCV。
16式機動戦闘車マニューバコンバットヴィークル。
今年の末に一部師団に配備されるそうですから、もしかしたら
来年の総火演ではこれが見られるかもしれませんね。
MV22、オスプレイ。
こちらは2017年から配備される予定です。
水陸両用車、通称 AAV7。
平成27年に30台配備されています。
この日の装備展示では初めて姿を拝むことができましたよ。
さて、このあたりから演習は「陣地奪回」に移りました。
これだけいろいろ防いだのに、敵の侵入を許し、島の一部を
占領されてしまったのです。
そこでまず強行偵察なるものを行います。
偵察と言いながら相手がどれくらい反撃してくるかを試すのです。
オート隊の敵情報告が小隊に行われると、小隊は攻撃による
敵情解明を試みます。
87式偵察警戒車RCVの射撃部隊が急襲射撃を行い様子を見ます。
そこでオート班は射撃によって起きた混乱状態を偵察。
敵の防御ラインを見極めた後は、特科火砲による攻撃準備射撃が行われ、
味方の攻撃前進を容易にします。
その後、74戦車が登場。
これも聞いた話ですが、本日出演の74戦車部隊は北海道から来ているそうです。
戦車は輸送するわけにいかないので人間だけが来たそうですが。
74式は敵陣ラインに現れた敵戦車を攻撃するという設定です。
撃!
相変わらず射撃のタイミングがよく分からない74式でしたが、
本日の会心の二撃目が撮れました。
2班に分かれた74式戦車が交代に射撃を行います。
こちらもまったく予告なしでしたがなんとか撮れました。
さて、これからは富士教導団がいろいろと撃ちまくって相手のライフをゼロにするわけです。
続く。
総火演のご報告が終わっていませんが、後段演習の前に
これも継続中の「マサチューセッツ」見学記を挟みます。
ここまでで一応艦橋と甲板のハードは終了したので、
今日は艦内を展示室にした「ビッグ・マミー」関連展示などをご紹介します。
冒頭の巨大なアメリカ国旗は、”カサブランカ フラッグ” と彼らが呼ばれており、
「ビッグ・マミー」が1942年11月8日、「松明作戦」(operation torch)
に参加するため航行していたカサブランカ沖で、仏海軍の「ジャン・バール」と交戦した際
そのマストに翻っていた戦闘旗でした。
その時の使用例(手前)。
後ろ側のマストにも星条旗が揚がっていますが、それが、これ。
どちらも星は48個です。
前にも書きましたが、この戦闘で「マサチューセッツ」は枢軸国側から初めて攻撃され、
初めて16インチ主砲を放ち、初めて敵艦船に打撃を与えた戦艦となりました。
そのとき「ビッグ・マミー」と交戦した「ジャン・バール」は、
主砲砲弾と空母「レンジャー」艦載機の攻撃をまともに受け、こんな姿に。
たしかに艦首に浸水、電気系統に障害が発生し砲塔の旋回が不可能となったのですが、
アメリカ側が言うほどのダメージではなかったらしく、翌日の修理によって回復、
二日後の10日には重巡洋艦「オーガスタ」と交戦し主砲射撃を行っています。
「オーガスタ」は「ジャン・バール」が無力化されたと思い油断していたところ、
予想外の38cm砲弾を見舞われ、攻撃を中止し退却しているのですが、
アメリカ側の「マサチューセッツ」記述にはそこに触れてはいません(笑)
周りに説明がなく(撮り忘れただけかもしれません)何かわからず。
砲弾の頭部分だと思うのですが、それにしては破損部分が綺麗すぎるような。
模型も至る所に見られました。
こちら「マサチューセッツ」記念コーナーに展示されていたウォーターライン模型です。
先ほどのより本格的な「マサチューセッツ」模型。
向こうにいるのは東洋系の中学生二人でした。
造船所で建造中の「マサチューセッツ」。
1939年に起工し、進水は1941年9月。
これは進水式を済ませて艤装の段階に入っているのではないかと思われます。
就役は1942年の5月12日となります。
彼女は就役した年の10月24日にメイン州カスコ湾を出港、
4日後に北アフリカ侵攻作戦に参加しました。
そのわずか10日後、カサブランカ沖でフランス軍艦「ジャン・バール」の
砲撃を受け、これに応戦して放ったのが、アメリカ軍艦として
最初に敵に向かって撃たれた砲弾となったのです。
はいそうでしたね。(投げやり)
「マサチューセッツ」はフランスと停船した後、一旦帰国して
そのあとは太平洋戦線に向かうための準備を行いました。
沖縄を筆頭に日本への直接攻撃を行うようになったのは
1945年には入ってからのことになります。
そしてあっという間に戦争は終わりました。
「WAR OVER」とあえて「IS」をなくしてドラマチックな効果をねらっていますが、
もちろん「War Is Over」が「戦争は終わった」であり、
こういう時に使うのが正しい「War Is Over」の用法です。
わかりましたか?共産党下部組織シールズの皆さん。(あ、もう解散したのか)
「一旦交戦にいたれば激しい攻撃によって敵を掃討する。
それが我々にとっての栄光の全てだ」
うーん、かっこいいっすね(適当)
初代艦長ホワイティング大佐がカサブランカでの戦いの前に
「マサチューセッツ」乗組員全員に訓示したときのお言葉。
写真が撮られたのは1974年、「ビッグ・マミー」艦上です。
ホワイティング艦長はその後提督にまでなりました。
「ファーザー・ジョーみたいないい人には会ったことがない」
と「マサチューセッツ」では言われていたという従軍牧師。
こうやって写真が残されているくらいですから、よっぽどいい人だったのでしょう。(適当)
売店の倉庫だったと思います。
棚にはスナック菓子ばかり。
しかも当時の在庫がおそらく中に商品が入ったまま保存されています。
「リーズ」は今でもこのままのパッケージで売られていますし、
「ミルク・ダッズ」もまだあります。
「 Oh Henry! 」はどう見ても「O・ヘンリー」のもじりだと思うのですが、
今ではネスレに吸収されて商品自体は無くなっているようです。
「ペイデイ(給料日)」というのはどういう位置付けのバーでしょうね。
「給料日に買い込む」という感じでしょうか。
大変写真に撮りにくい透明ケースに囲まれていたテレグラフ。
「エンジンオーダーテレグラフ」(E.O.T)といい、艦橋から
船の変速の命令を出す(と書いてあるのでたぶん)ものです。
エンジンルームでは変速の際ベルが鳴りそれを知らせました。
その合図のベルが鳴ると、機関室では自分たちのEOTを命令と同じ速度に合わせます。
そのことから、彼らはこの命令のことを「ベル」と呼びました。
電子レンジにかけることを「チーンする」というのと同じノリですね。
たとえば命令が「flank」(最速のこと?)だとすると、彼らは
「Flank Bell がきたぞ」、などというわけです。
速度を増せ、という命令がきたら、ハンドルを三回動かすのですが、
このときにベルも三回鳴ることになります。
その結果プロペラがその分回転を増すわけですから、騒音もものすごいことになります。
敵に艦位を悟られるため、敵のいる海域では「フランクベル」は鳴らされませんでした。
この方式が使用されていたのはせいぜい1950年までで、現在のEOTは
電化、無線化、IT化されています。
説明なしにどーんと展示されていた舵輪。
まるで大航海時代の帆船の舵輪のようです。
(が、たぶん違うんだろうな)
この夏、見学した他の艦艇でも見た「ウィッシング・ウェル」。
wishing well 「よくなることを願う」に引っ掛けて、昔から
井戸に願い事をするという風習が英語圏にはあります。
井戸が命をつなぐ神聖な水の溜まり場である、ということもあるのですが、
なぜか軍艦の中で水もないのにこれをやってしまうのがアメリカ人。
おそらく昔はチェーンを吊るすのが目的のハッチだったと思うのですが、
それがセカンドデッキから底まで一直線、ということもあって、
このように公開しついでにお願い事をしてください、というわけ。
お金を放り込むようにしているのも、資金集めの一手段だと見た。
さて、少し前コメント欄で少し触れたのですが、
アメリカ海軍ではハッチやドアのレバーのことを「ドッグ」といいます。
子供向けに書かれているらしいこの説明書ですが、
ハッチやドアのレバーの名称について
「ある動物と同じ名前を持っていますが、なんでしょうか」
と、子供にもわかるように絵を描いた上で質問をしております。
答えは当然「ドッグ」なのですが、問題はその理由です。
こういう名称にありがちなのですが、伝わる理由はいくつかあり、
「ドアをこのレバーで締める仕組みが、犬が顎を閉じるのと同じだから」
「犬を飼うのはセキュリティのため、つまり犬=安全のため→レバーに”犬”」
「レバーの形が犬の尻尾みたいだから」
うーん・・・全く説得力ありませんね。
どうでもいいことなので理由が分からなくなったと思われます。
戦艦には1800人以上の乗員が乗り組んでいるのですから、
その中には一人や二人、特別な技能に長けた者がいても不思議ではありません。
「ビッグ・マミー」にはウィリアム・キャンフィールドという「画伯」がいました。
彼が任務の合間に艦内生活を描いたスケッチを見る限り、素人にしてはうまい、
というレベルのような気がしないでもありませんが、ともかく
彼は司令官にその才能を認められて、司令部に「雇われ」、
作戦企画などの作成のためにその腕を振るったりしたそうです。
海軍の発行している「艦隊雑誌」にそのことが書かれています。
戦後のキャンフィールド氏の写真を見ると、パイプをくわえた水兵は
自画像ではないのかというくらい似ていますね。
右下の写真は彼が上層部に雇われて仕事をしているところかと思われます。
ちょうどライトで光ってしまってタイトルが見えませんが、
「マサチューセッツ」を表すたくましい男性が「ファースト」「ラスト」
とかかれた砲弾をその腕に抱えています。
「ファースト」はカサブランカで「ジャン・バール」に撃ち込んだもの、
そして「ラスト」は終戦間近、日本で釜石に放った砲弾を意味しています。
乗員たちにとっても、あの戦争の最初と、そして最後に主砲が火を噴いたことを
不思議ではあるが大変名誉なことであったらしいことがわかります。
ちなみに、彼の後ろでは日本とドイツの艦船がビッグ・マミーの攻撃を受けて沈みかけ。
「ジャン・バール」はフランス海軍の艦船ですが、枢軸側だったため
フランスの旗ではなくあえてハーケンクロイツで表したようですね。
「艦これ」が世界最初に軍艦を女性に擬人化したコンテンツではありません。
昔から船は女性名詞で表されたため、とくに戦時中には自分の鑑を「萌化」して
あだ名をつけたり戯画を描いて楽しんだり、ということがとくにアメリカではありました。
というわけで、キャンフィールド絵師描くところの「ビッグマミーたん」。
アメリカ人の好みを反映して顔こそ日本のもののように童顔ではありませんが、
(これでは『たん』ではなく『さん』とか『さま』がぴったりくるような)
とにかく、首から下だけは体の線を強調した(というか、透けてるし)
セクシー路線のコスチュームに身を包んでいるあたり、コンセプトは同じ。
彼女が持っているのはショッピングカートではなく号笛、サイドパイプですが、
英語でこれを「Boatswaine whistle」といいます。
キャンフィールドが「Boatswaine's Mate 」、すなわち掌帆兵曹であったことと
この「アクセサリー」にはちょっと関係があるかもしれません。
「ビッグマミー」姉御、50歳になりました。
ということは、生れたのを進水式の時だとすると、1981年の作品ですか。
画像を検索してみると、どうもキャンフィールド2等兵曹は戦後
プロの画家(というか挿絵とか漫画の)になったようです。
その時には、艦内で余技で描いていた頃とは違いプロの絵になっています。
ちなみに彼女が首にかけているのはやはりサイドパイプで、
殊勲鑑として与えられた勲章を誇らしげにつけております。
説明がなかったのですが、これも他の媒体によるとキャンフィールドの作品だそうです。
プロになってから描かれたと思われるのですが、不思議なことに
画面の中心は帝国海軍の軍艦であり、火を噴きながらそこに突っ込んでいく戦闘機も
日の丸が翼に描かれているのです。
この状況をキャンフィールド画伯が本当に目撃したのか、それとも単に想像なのか、
なんの説明もなくただ飾られているだけの絵からは何も知るすべがありません。
おそらくこれを飾った戦後の人々にもわからないのではないでしょうか。
続く。
平成28年度富士総合火力演習、前段演習もクライマックスに差し掛かりました。
クライマックスといっても、始まってすぐに特化火砲の富士山だったりするので、
観客は最初からもう盛り上がりっぱなしなわけですが。
続いては89式装甲戦闘車の登場です。
前にも取り上げましたが、この通称「FV」は最初「IFV」といって、
歩兵を意味する「infantry」の「I」に「ファイティングビークル」
が付いているというものだったのですが、「歩兵」がよろしくないというので、
わざわざ外してしまったという経緯があります。
「歩兵がダメでなぜ戦闘はいいのか」と決めた人たちに聞いてみたくなりますね。
こういった防衛省の「自主規制」には、首を傾げてしまうことが多いですが、
その中でもこれは最も不思議な配慮であると思います。
歩兵を運ぶから歩兵戦闘車なんじゃなかったの?
さて、このFVは二種類の火器を搭載していて敵の装甲車を撃破するほか、
今回初めて知ったのですが、車体横に見える特徴的なボールマウントは
銃眼(ガンポート)になっており、中の歩兵がここから小銃を撃つことができるのです。
この丸いの、前々からなんだろうと思ってたんですよねー。
ちなみに使わないときには蓋をしてありますが、その下には
銃口を出す穴と覗き窓が備えてあるんだとか。
次にヘリ火力が展示を行いました。
対戦車ヘリコプターAH-1Sコブラが対戦車ミサイル「トウ」を撃ちます。
はて、「トウ」ってもしかしたら「TO」かなとおもったら
Tube‐launched, Optically‐tracked, Wire‐guided
(発射筒で発射され、光学的に追跡され、有線で誘導される)
でした。
今回は残念ながらこんな写真しか撮れませんでした。
そこで去年の写真を出してくるのだった。
コブラは撃ったらすぐ離脱(もちろん命中)。
いわゆる「ファイヤアンドフォーゲット」撃ちっ放し式ではないので、
着弾を見届けてから逃げないといけないようです。
続いてアパッチ・ロングボウ、AH64-Dの射撃です。
運用からもう20年経っているのですが、これが陸自的には最新鋭となります。
一緒にやってきたOH-6たんは観測係。
アパッチと一緒にいるのを見るとより一層萌えるわ〜。
戦闘ヘリなので、対戦車ミサイルヘルファイア、ロケット弾、
空対空ミサイルを積むことができます。
今撃っているのは固定武装である30mm機関砲。
薬莢が下にバラバラと落ちていっているのが写っています。
なんでヘルファイアとか撃たないんだろう。もしかしたら高い?
30ミリ機関砲を撃っているところって、写真的にはあまり面白くないのよね。
せいぜいアップしてこれが確認できるくらいでした。
87式自走高射機関砲、通称87AW。
常に後ろのアンテナをくるくる回しているので初心者にも見分けやすい武器です。
このレーダーで敵航空機を感知し、局所防空を行います。
足回りは74式戦車と同じものを使っているそうです。
発射直後、写真のように煙が三方向に噴き出すんですね。
砲身は細く、航空機を狙うので「ばんざい」できるように2門両側にあります。
狙うのは他の火器と同じように地表の目標なのですが、
いちど飛翔体を狙って撃ってほしいなあ。たとえば使い捨てのドローンとか。
そしていよいよ戦車の登場です。
まずは74式戦車から。
74式は必ずこうやって稜線から射撃を行いますが、
これは、油着圧式懸架(サスペンション)装置を備えていて、
坂道でも安定して射撃できるという機能を見せるためです。
日本の山地の多い地形を考慮した作りになっているんですね。
「見ている方にはなんということのない傾斜だけど、
中の人はほとんど上を向いている状態なんですよ」
と隣の人がこのとき話していました。
乗ったことあるのか。
また、射撃ですが、まわりの撮りさんたちは、
「74は撮りにくい。なんの合図もなくいきなり撃つから」
といっていました。
2台同時に発射するのですが、戦車同士インカムで合図をしあうらしく、
見ている方にはまったくそのタイミングが測れません。
あと、まわりのオタ情報によると(笑)74式は離脱のとき、
全速力のバックで帰って行ったわけですが、74式の操縦席って
なんと後ろが見えないらしいんですね。
まあバックミラーついてるわけじゃないですからね。
何を頼りにしているかというと車長の指示だそうで、これは
「かなりすごいこと」なんだそうです。
90式は2種類の異なる弾薬、徹甲弾と対戦車榴弾を撃ちます。
二段構えで打つことで急に眼前に現れたどんな敵にも対応できるのですが、
その弾種を判断するのは車長。
その判断にすぐさま対応するのが射手などのメンバーで、
チームワークとかなりの練度を必要とする撃ち方だそうです。
90式戦車も砲が目標を自動追尾するシステムなので、
走行しながら射撃を行うことができます。
90式は一発徹甲弾を撃ったあと「止まれー!」で急停止しますが、
そのときにはこのように後輪が浮き上がるくらいです。
続いてヒトマル式戦車の入場です。
気のせいか会場が興奮マックスに。
この日までに行われた予行ではヒトマルが撃たなかったという噂もあり、
てっきり去年の履帯ハズレ事故のせいかと心配したのですが、
今日はもう平常通り展示を行うようです。
10式戦車小隊も同じ失敗を2度と起こさないような覚悟で臨んでいるでしょう。
10式の最も大きな強みは、ネットワークシステムで情報を互いに
共有して射撃の統制などを瞬時に行えるということでしょう。
写真は前進していた10式が不意に敵に遭遇し蛇行射撃を行っている、
という設定。
蛇行射撃2発目。
わたしにとっても会心の一撃でした(笑)
戦車の砲撃音が朝一番(6時半)に響くと、周りの人が一斉に
一瞬首を縮めてびくっとします。
2射、3射、しばらくの間は毎回同じような反応なのですが、
不思議なことにこのころになってくると皆慣れてきて、
最初の頃のような「体を思わず屈める」動きをしなくなります。
わたしは最初からずっと耳栓をしていましたからあまり変わりませんでしたが、
人間の耳ってこんな音にも慣れてしまうものなんだなと感心した次第です。
下半分と上半分が全く別。
下がクネクネしているのに砲はピタリと敵の方向に止まったまま。
これはきもい(笑)
これは、2射したあとバックして
「2班、止まれ!」
で急停止したところ。
このあと背面後進射撃といって、砲だけを後ろに向けて撃ちます。
地面についたキャタピラの蛇行跡をご覧ください。
このあとはものすごいスピードで一直線に退場していきました。
10式、いつ見てもいろんな意味で日本らしい戦車だなあと思います。
27日、そして本番の28日は行われませんでしたが、この日だけ
普通の降下がありました。
ただし・・・・・遠〜〜い!(笑)
降下地点も遥か向こうのほうだし、まるで傘が豆粒のよう。
これはせっかく降下を行う空挺隊員さんにとってもやりがいがないというか。
落下位置を操作しにくい普通の降下だと、総火演の会場は狭すぎるんでしょうか。
続いてはフリーフォール、自由降下です。
こちらは高高度から自由落下する、難易度が高い降下で、
これをするには資格を取らなくてはいけません。
資格を持っている隊員は胸に「FF」のマークがあります。
この日はチヌークの姿は見えませんでしたが、雲間から傘が降りてきました。
しかし、27日と本番の28日には曇天のため中止になったようです。
28日のストリームは、降下までのチヌークの中の様子を放映しており、
降下する隊員がどのようなことをしているかがわかるようになっていましたが、
隊長らしき隊員が皆に声をかけ、各自がバディの装備を点検して、その後
親指を立てて準備完了の合図。
その後、席に座って待機する隊員の顔はあきらかに緊張が見られ、
何度降下しても直前はこうなるのだなと思って見ていたら、
映像で隊員がチヌークの後部に移動したところでいきなりアナウンスが。
「本日は雲が厚く上空から着地地点が確認できないため中止します」
・・・・・・。
もしかしたらライブ映像じゃなかったってことがばれた瞬間?
フリーフォールの降下では普通の降下のように地表で
一回転したりして衝撃を逃す必要がないのかもしれません。
全員が軽々と二本足で地面に降り立ちます。
一人が降りるとその度に観客が盛大な拍手を送ります。
こんな中何かにつまづくなどの理由で転んでしまったら
おそらく立ち上がれないだろうなあ。(精神的に)
降りる方向はともかく、降下のスピードはコントロールできないようです。
この隊員さんをアップにしてみるとよくわかるのですが、両手に握られている
赤でトリミングされたハンドルで傘の端を引っ張ってコントロールするようです。
自由降下の場合、カラビナを飛行機に固着させて、飛び降りると同時に
開傘するという方法でなく、自由落下ののち自分で傘を広げます。
右肩にある赤いのが開傘するためのレバーだと思われます。
地表に降りたら傘をたたむ仕事。
あの空挺隊員の中でも選りすぐりの精鋭が、空気を抜くために
パラシュートと戯れる姿はなかなか微笑ましいものがあります。
おまけ*
28日の本番で、落下傘降下が中止になったと聞いた時の稲田大臣。
海自迷彩の河野統幕長と武居海幕長もおられます。
稲田大臣の右側は就任したばかりの岡部陸幕長でしょうか。
全員がはっはっはそりゃ仕方ないですなあ、と苦笑いしてます。
大臣の後ろ4人(5人?)は全員SP(セキュリティポリス)ですが、
大臣が女性なのでここに稀少な女性SPの姿を見ることができます。
SPになるには
身長173cm以上、柔道又は剣道3段以上、拳銃射撃上級、英会話ができ、
さらに3ヶ月間の特殊な訓練で選抜された者。
逮捕術、格闘術、射撃技能、強靭な体力、精神力が求められる。
パトカーの運転テクニック、同僚との協調性、自制心、自己管理能力、
法令遵守の精神、VIPを接遇する礼儀作法、そして極限状態では
人間の盾となり受傷、最悪の場合は殉職する自己犠牲の精神、
すなわち人間性が問われる職種である。
そのため、警察官の中でもそれらの条件に該当した者のみが任命される。
だそうですが、女性だからといってこの条件が緩和されるわけではないので、
女性SPは全体の5%しかいないそうです。
さて、それはともかく、これをもちまして前段演習は終わりです。
続く。