風の生まれる場所

海藍のような言ノ葉の世界

空や雲や海や星や月や風との語らいを
言葉へ置き換えていけたら・・・

SHERATON GRANDE SUKHUMVIT

2007年09月06日 02時14分46秒 | エッセイ、随筆、小説







ホテル滞在中、

スタッフやヨーロッパ系の中年男性の友人が何人かできた。

私を見かけると早朝からライブラリーで読書を楽しんでいたり、

物書きに耽っていたり、ひとりでJAZZを聴きにいったりしている光景を眺めていて、

ある日、商用で? とエレベーター内で質問を受けたことが

すべての友人との出会いとなっている。






日本ではまったく使わなくなってしまった英語が、

下手くそながら、ここでは日常会話には支障のない程度にレベルが戻っている。

だから、少し難しいこと、たとえば、私の病気についての話題などにも触れ、

健康を取り戻しつつあるあなたに、大歓迎するよ、と祝福を受けているのだ。






それよりも皆が私に関心を持つ理由は、おそらく手にしている本もそのひとつだろう。

西洋と東洋の相違を私は相違として伝えるつもりも、

相違だとの認識も持ち合わせていない、と言ったところで、

私のボキャブラリーはそれ以上進展を見せない。

けれど、確実に伝わる人とだけ友人になれている感覚をもてるので、

相手も君の言わんとしていることは理解できるよ、と嬉しいことを言って私を喜ばせてくれる。








なぜ、私はバイリンガルでもないのに外国人との間には友情が芽生えやすく、

日本人とは困難を要するのだろうか。

服装を褒められたり、朝や何気ない場所での会話を楽しんだりが幸せであり、

相手やお互いの時間への敬意へとつながるのだろうと痛感する。







明日は、エステへ再度行き、ピラテスのワークショップに参加する。

午後からは静かに、彼への祈りへと捧げよう。








Body Life

2007年09月06日 01時50分28秒 | シャーマンズボディ








すべては起こるべくして起こり、

最も抵抗ない道を波に乗って進んでいくように感じられる。

目まぐるしくさまざまな出来事が起こっても

何もしていないように感じられる。

老荘思想ではこれを『しないこと、not doing』

あるいは、無為と呼んでいる。





シャーマンズボディより







生理がいつもよりすこし早めに体を浄化する。

タイ自体の天候は悪くはないものの、

早朝の頭痛と頚椎痛は日本よりひどい状態に陥ってしまっている。

 





そういえば、なのだ。

というか、やはり、とでも言うべきか。

オリエンタルホテル・バンコクが火災だとホテル従業員から聞いた。

日本人観光客も煙を吸って軽症だというものの、

病院に搬送されたらしい。

確かに、サイレンの光が未明に窓外を走り去っていき、

私は彼を思ったのだ。

まさに彼自身の仕事がそれだからだ。






予感は裏切らず、やはり私の行く場所や行こうとしていた場所、

行ってきた場所に何かが起こる。

オリエンタルには火災が起こる数時間前、

夕食後に立ち寄ろうとしていたことを、ふと今思い出した。

南房総のシャーマンは言うだろう。

あなたは守られていますから、大丈夫ですよ、と。








今日は明日の手術に備え、

彼とシンクロしている私自身が落ち着く時間を過ごそうと予定した。

早朝エステへ行き、その後、ホテル近くにあるネイルサロンへ、

外側が美しく仕上がった頃、手術を控えている彼から

「千疋屋の巨峰を美味しくいただきました」というお礼のメールが届いた。

それは術前ではなく、術後の、下を向いたままでも食べられるように、

店の人にすぐに食べられるように下準備してもらっていたのだ。

美味しく食べてくれたのなら満足です、と返信に宛てた。

思っていたよりも落ち着いた印象を持て、私も安心できた。








BANYAN TREE HOTELの最上階にある

OPEN RESTARANTへ行き、

夜景を見ながら食事をした。

急に動悸が激しくなり、私は会社の方々よりも一足先にホテルへ戻った。

というのも、ドレスコードも会話も日本人の恥をさらすようで、

手術前日の彼を静かに思う時間には相応しくない、

そう思ったのが動悸の理由だろう。

私たちの席近くで商談をしていた日本人には怪訝な表情を浴びせられ

私は謝罪するしかなかったのだから。

こんな素敵な場所で、下ネタ以外の会話ができない人たちは

私だって軽蔑に値する。

いや、いい年齢を重ねているのに、と思うのだ。

セックスの数だけを生きがいのように、

女を物同然に扱い、排出することに取り憑かれてしまっている人たちは

私には動物以下に見えてしまうのだ。

先進国の性のしわ寄せも、それ以外の国の女性が行っているとしたら、

私は同じ女として、正直言葉がないのだ。

彼らはかわいそうなことに、満足するセックスを、

愛する女と交わした経験がないものと想像容易い。







あと数時間後に開始する手術に備え、

私も準備をするとしよう。

そして、彼や彼を執刀する主治医のチームは奇跡をもたらすだろう。

彼の笑顔が浮かぶ。

ありがとう、という声が聴こえる。