風の生まれる場所

海藍のような言ノ葉の世界

空や雲や海や星や月や風との語らいを
言葉へ置き換えていけたら・・・

医療環境

2007年09月27日 20時35分03秒 | 医療

 

 

 

この病院は患者ひとりに対して7人の看護師が必要な民間病院です。

もう、僕も外来マシーン化していますよ、

週3日の外来、救急、脳外科手術と爆発寸前です、と主治医は小声で言った。

実はね・・・と声をよりひそめ、外来担当の看護師全員がパートで、

家族がどうの、彼氏や恋愛が、残業は嫌だ、などの不平不満揃いで

結局優秀な看護師は皆、入院病棟へ。

私の紫色になった点滴痕の腕を眺め、ひどいもんだ、とため息を漏らす。







院長も看護師不足だから怒鳴ることもできないし、

怒鳴れば看護師がまとまって辞めてしまう。

けれど、看護師の身勝手を放置していることで医療の質は必然的に低下する。

悪循環だね、これ。

本来なら、患者ひとりに対して10名の看護師なら条件もよく勤務可能なのに、

うちは7名だから、経営的にもうまくいっていないんだよ、実は・・・・・

 

 

その差はなんだろうか、と思った。

患者ひとりに対し7名または10名の看護師、その差は何か?

明日、厚生労働省の担当者に連絡を入れて、その詳細をお聞きしよう。

あれでは医師が死んでしまう。

過労で、激務で、本来、医師の右腕となるはずの看護師の質低下に拍車が加わり

本末転倒では済まされない自体に陥るのは目に見えている。

時間の問題だ。







点滴をすることで体内液の調整を図る。

体調の底上げを徐々に推し進め、どうにか生きていける体にまで快復させる。

今日は医師も泣きが入っていた。

私が点滴をする以前に、医師の職場環境改善などを検討しなければ、

ここで指す医師とは私の主治医のみに限ることだが、

医療に関与してしまった役割として、

患者以外の環境もより深く知りたいと思った。







けれど、さすがに驚いたというか、

点滴の針が一発で刺せない理由がこれで判明した。

パートだからプロ意識がなく、

戦場と化している脳神経外科医師や患者とは相違するだらけた空気に

医師も患者も激怒することは当然のこと。

主治医も戦闘モードに突入したらしく、

温厚な性格のはずが今日は一変、意識が違うと連発していた。

患者である私はもう、彼にとって患者ではなくなっている。

医療と共に語る相手にすこしずつ、距離を縮めた証拠か?




 


自我肥大男

2007年09月27日 07時42分36秒 | エッセイ、随筆、小説

 

 

私と同じ歳、

つまり今年38歳になる男性からメールが届いた。

とはいっても、ソーシャル系サイトを通じてのため、

知人でなければ友人でもなんでもない。

一切の関係は今までない男だ。







いきなり、メール交換をしたい、あなたに興味がある、との
文面からはじまり、

「私」というよりも「私の過去」について関心を注いでいる印象を受け、

それはわかりやすく質問という形式で男の興味が示されていた。







男は大学院卒、年収1500万円以上だといい、

職業もそれなりのものをもっているらしい。

自分を勝ち組だと勘違いしているのか私の知ったことではないが、

どうも当初からの文面からして私を「下」に見ているらしい。

それは「未婚の母」という過去が関係しているらしい予感は、

すぐさま見て取れた。







どのような意図なのかはわかりませんが顔も知らない相手の過去をかき回し

それについて責任がないからこそ済んだ物事へ執着をお持ちになるのでは?

私は言った。

また、あなたに私の人生を評価される覚えはないし、

私はあなたについて興味のかけらも持ち合わせておりませんこと追記として。








これはもう二度とメールをよこすな、とやんわり拒絶した言葉だ。

が、男にはその意味がわからなかったようで、

写真が欲しい、実際にお会いしたいなど、エスカレートする結果に。








なぜ、あなたに写真をお渡ししなければならないのか?

なぜ、あなたにお会いしなければならないのか?








その返答には「興味があるため」と記されていたが、

私はこの男には関心もなければ

異性だけではなく人間としても琴線に触れる要素がまったくない。

次ははっきりと言った。

写真をお渡しする、お会いする理由がありませんので、

ご提案は却下させていただきます、と。








すると、語尾が強いんだからはじまり、

断り方があるだろう、と説教がはじまった。

いつかお会いできるかもしれませんね、とか、

そのうちに、とか、

今は忙しいので、とか、

断るなりに礼儀があるだろうと、自分の失礼を棚にあげごね始めた。

終いには、作家を目指しているなら口語ではなく文語を書け。

アメリカ生活が長かったせいだろうが、気が強く、

お前の相手をどこの誰が引き受けるのか、だから未婚の母なんだ、と罵られた。

作家になれればなぁというのは確かに正解だが、

アメリカ生活はしていないし、しても滞在は数ヶ月という短期だ。

住んでいたなど一言も書いても言ってもいないし、

世界=アメリカなどと私は思っちゃいないのだ。








うわっ、38歳でこの化石状態。

すんごい生き物が生息しているんだなぁ~と思った。

まだまだ世間知らずの私。

こんな危険な生物をつくりあげる作業は、

どのような家に生まれ、育てられると自己評価だけが高く対他からの評価とは

雲泥の差が生じるのか興味があったが、

いじるとストーカー化することが一目瞭然なのでやめた。

ばからしい。

知性があり、教養があり、ルックスもスタイルも抜群。

一方的に送られてきた写真は慎重170センチ弱、痩せ型、

顔は気持ち悪い、というか、絶対に38歳ではない。

自我だけが肥大化し、

自分を否定する、拒絶するものを片っ端から攻撃する要素が男にはあった。

要は、5歳児と同じだ。(5歳児にも失礼かも 笑)

 

 



あっと思った。

まもとに女性と付き合った経験がない男なのだということを。

そして、自分がすんごくよく見える鏡でも特注して、

キムタクやカッコいい俳優さんのように見えてしまうという

罪を犯していることも。

これだけの屈折の仕方はただ者ではないし、

自分の欲求が満たされないとわかると、すぐさま攻撃に転じる。

それも通常の人間であれば傷を残すような言葉を安易に使い、

心をずたずたに切り裂き

再起不能にさえ可能な表現を用い、

さも、自分はまともで相手、

ここでは私の人生を否定しにかかってきたわけだから。

母親の顔が目に浮かぶ。

38歳の今でも母乳を与えているのではないか、と。








正直、私は驚きませんでした、と結んだ。

謙虚さもなく、容姿端麗で教養も知性もあり、

それを決めるのは自分ではなく、他者だ。

いくら自分がそう思っても伝わらないこともあり、

逆に自己評価が低くても評価の値する出来事はたくさんあるのだから。







しっかし、すごい生き物がいたものだ。

私にはそれらが人間ではなく生き物以下にすら思えないのだ。

かわいそうな男たち。

いい女をひとりでも知っていれば、

ここまで自我が氾濫を起こすことはなかったであろうに。







※自我とは 自分。自己。

哲学で、知覚・思考・意志・行為などの自己同一的な主体として、
他者や外界から区別して意識される自分。Z5192.gif
非我
 
心理学で、行動や意識の主体。自我意識。
精神分析で、イド・超自我を統制して現実への適応を行わせる精神の一側面。
エゴ。


大辞泉より