今日は新顔の男性看護師が点滴終了を教えてくれた。
ブスじゃないけどイケ面じゃなくてよかったとほっとした。
だって、主治医が大好きなのにこの上看護師にまで鼓動を高めることになると
なんだかめんどくさいことになる。
いや、これでも主治医たちに対して、
余所見はご法度だと私なりに気を使っているのだから。
患者は大変なのだぞ。
いろいろな気遣いをして患者を演じなければならないのだから。
点滴をするのに脱水症状のように、後で必ずお腹が痛くなる。
また明日も病院だと思うと、正直気が重い。
うまいショートカット方法を考えないと、
毎日の通院が負担になることが目に見えているので、ない知恵を絞る。
痛い。
浮かばない。
なにも考えられない。
二本の足がふらふらと駅へ続く道をただひたすら私を運んでいくようだ。
緋色の夕日があまりにも美しいので見とれていると、
人をよけた場所がちょうど古本屋で、
ワゴンの中には熱帯雨林の知恵という本、
目が合ったと同時に、縁や出会いを感じてしまったのだった。
本を開けた場所、
それがもう、とんでもない文字が一方的に火に飛び込む夏の虫のようで、
第13章、シャーマンと神聖な食事、
だって、ずっと私を見ていたもの、この本。
待っていてくれたのね、と話かけながら100円を財布から取り出すと、
誰のものになるかわからない不安定な立場だったはずが、
すぐさま私の相棒になりかわった。
2000円の本が100円に。
なんだか申し訳ない心境になりながらも
2000円という金額は今の私では出せない金額だ。
先日、またしても大量に本を購入してしまったばかりなので、
これでも自省して出費を抑えていた理由が前提にはあるのだ。
2003年3月15日発行、著書スチュワート・A・シュレーゲル
米国、カリフォルニア大学サンタクルーズ校、文化人類学教授、
熱帯雨林の知恵を題して、
人間らしい生き方とは何か、
人間が歩みを進めるに当たって本当に重要なのは何かを、
私だけではなくすべての人に教えている内容なのだと思う。
最近、医療に関するノンフィクションを短編の手法で書き始めた。
森 博嗣さんの「ナ・バ・テア」や「クレイドゥ・ザ・スカイ」のような
素敵な装丁になればいいなぁ・・・と希望はいっちょまいに持っているものの、
内容はなにしろ「医療」なので、そういった関連のものになるのだろうか?
縁とは不思議で面白い。
いくら努力し、育もうとしてもうまくいかないものもありながら、
放置していても、勝手に関係の距離感が縮まり、
強い絆で結ばれていることもあるのだから。
熱帯雨林の知恵から、さて、どのような知恵の拝借があるのか楽しみだ。