ゆずりは ~子想~

幼い葉が成長するのを待って、古い葉が譲って落ちることから名付けられた「ゆずり葉の樹」。語りつがれる想いとは・・・

伝統芸能「八戸えんぶり」にとりこですっ!

2007年02月19日 | 観劇・読書・感想記
先週の土曜日から始まった「八戸えんぶり」
http://www.city.hachinohe.aomori.jp/kanko/festival/enburi/index.html
約800年の歴史を持つという伝統行事であるという。
田んぼをならす農具「えぶり」に由来し、八戸地方のいろいろな地域で「組」があり、各地域で継承している伝統芸能だ。
国指定重要無形文化財のひとつに数えられているらしい。

八戸に来た当初、「三社大祭」という青森ねぶたとはまた異なる大型の山車のお祭りの存在と、この「えんぶり」という行事があることをポスターや市役所からいただいた冊子などから知っていた。「三社大祭」は8月上旬。そして「えんぶり」は寒さが一番厳しいと思われる2月にあるということで、「えんぶり」にはぜったいに行かないかも・・・と思っていた。ポスターや写真にある、変わった烏帽子をかぶった男性たちを見ても、はっきり言って何も感じなかったことも、そう思った要因だろう。
青森といえば、「ねぶた」。大きすぎるほどの山車、豪快で猛々しいねぶたの顔。あのダイナミックさに比べたら、「えんぶり」の太夫と呼ばれる男性たちの立ち姿や、舞っているらしい姿の写真は、何も知らない私には地味だった。

今年は暖冬。日ごろの行いがよいのか、初めての冬がこんな暖かく過ごしやすい冬でよかった。そのおかげで、初の「八戸えんぶり」を観にいく気になった。
新聞で少し前に見かけた記事に、「長者山の神社で、行事の当日早朝に舞の奉納をする。街で繰り広げられる摺り(すり)と呼ばれる舞いよりも、この早朝の舞いはなんとも壮厳で、人形を作ろうという気持ちにさせた。」という内容が掲載されていた。和紙でつくる人形師の方の談だった。
それをたまたま読んでいた私は、その長者山にほど近い場所に住んでいるので、これはラッキー!と、読んですぐに観にいく事に決めた。
行事の日の前日の夜。遠くから太鼓や笛のお囃子の音が聴こえてきていた。夫が、明日の練習でもしてるのかな?と言いながら、私も耳をすませた。その音は、深夜もやまず、そして朝方も鳴り続けていた。哲也?ちがった、徹夜?

翌朝、私は7時を待って防寒着に身を包み、一人でそっと出かけた。
神社への階段は、半分以上氷に覆われていて、かろうじて溶けている場所を選んで上っていった。お囃子の音がだんだん大きくなっていくたびに、私の心も踊る。寒さも忘れるほどだ。
神社の境内に着くと、たくさんのえんぶり組と、それを観に来た人たちでいっぱいだった。いつもは閑散として寂しい神社が、この人だかり。しかもこんな朝早く。
私は、いろんな格好をしている人たちや、子どもたちの衣装や化粧を見ながら、境内へ進んだ。

「一番!」という掛け声の後、一番と書かれた布札を、組の大きな旗に結びつけた。一番の組は、そのまま前に進み、烏帽子をつけた太夫3人が、舞を披露する。
寒い朝の、冷たい石畳の上を藁で作ったぞうりと藁の、まるでレッグウオーマーみたいなものをつけた男性が踊るのだ。それも、雄雄しい姿で。厳かに。
思わず、鼻の奥がつーんとなった。感動したのだ。
後で新聞記事で知ったのだが、この一番というのは、最初から決められた順番なのではなく、前日の夕方4時に開門された境内に一番最初に到着した組から順番に、奉納の順番が決まるというのだ。深夜のお囃子は、到着した時の舞の音だったのかもしれない。

組は、今年は33組。子ども組は8組。あの境内に、それだけの組が集まっていたということだ。組ごとに人数はまちまちだが、老若男女で形成され、15人から20人くらいが一般的らしい。子どもから10代20代30代・・・おじいちゃんおばあちゃんまで、それぞれの年代が必ず存在するということに、とても感動した。すごい継承だ。
ただ、やはり継承者不足が課題であるという組も、少なからず存在するようだが。

この朝の奉納の瞬間から、私はこの「えんぶり」という伝統芸能にとりこになってしまった。この土曜の朝から、毎日堪能している私って、かなり凝り性。
昼は一斉摺り(いっせいずり)といって、街中で舞を見せる。魅せる。
夜は重要有形文化財指定の「更上閣」の庭での「お庭えんぶり」(チケット制だが、今年の演目は全日完売)や、八戸市庁前広場での「かがり火えんぶり」などが行われる。
その他にも、昼でも夜でも、街のそこここで舞を披露しているのが、ドライブの車中からも見かけられる。
行事は、先週土曜日から今週の火曜日まで。

昨夜、市庁前にかかげられたかがり火の火の粉舞い散る中での「えんぶり」を堪能した。そして、今夜も二人の子どもを抱えて行ってきた。
何度観てもいい。
太夫の摺り(すり)の舞は、本当になんともいえない。
サーヤも、いくつかある舞の中で、この摺りが好きだという。
エリーも真剣に見ている。
囃子と掛け声と、歌に合わせて、手拍子したり踊ったりするエリー。
なんとも雄雄しく、けれど男性特有の繊細さも垣間見える。何よりも、私にとってはなんとも艶っぽく、色気を感じるこの太夫の舞に、東北の男性に対する見方が一変した。優しいだけではない、男の魅力を感じた。

明日も、もちろん行きますっ!
とことん、好きになりました。
八戸に来てよかった!!すんごいところに来たもんだ。
この伝統と、継承と、八戸の歴史。
堂々たるものです。プライドがあるという感じを受けた。自信を感じた。

県内の人も、県外の人も、ぜひ一度ご覧あれ!です。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
へーえっ えんぶりかあ (よっち)
2007-02-20 02:52:43
私ね、数字の中で8が一番好き。八が末広がりだからだけではなく、単に18日生まれだから、8がラッキーナンバーだと決めてるの。あなたのこれからが末広がりであります八戸をどんどん紹介してください。私も行きますから!八戸はおいでませをなんていうかな?
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えんぶりへの想い (まーや)
2007-02-20 15:57:37
えんぶりに「じーん」とした私を思い出した。15年前の春、我が家に椚付けのえんぶりがきた。ご祝儀を用意し玄関を大きく開け正座してえんぶりを迎えた。演目の中に子供たちが主役となる舞がある。「大漁となり、旦那様に鯛をを差し出す」そんなストーリー。そのとき、はじめてえんぶりを見た私にはなんの前触れもなくその感動の瞬間がやってきた。釣竿をもって舞っていた子供が今釣った鯛を私に差し出した。私は受けとった。ただそれだけのやり取りだったが、とても幸せな気分になった。そして、その年の11月長女が誕生した。結婚後しばらく子供に恵まれなかった私には「えんぶりが子供を授けてくれた」とおもえた。年があけて2月えんぶりの季節がきたとき、えんぶりの烏帽子がほしくて知り合いを通し、製作している方から1つ作ってもらった。それはガラスケースにおさまり我が家に届いた。我が家の宝物である。えんぶりって地味なかんじだけどいいもんだよ。
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好きに理由は要らない (あゆみ)
2007-02-20 22:56:01
>よっち
私は9日生まれなので、9がラッキーナンバーであると思っている。あゆみという名前の字画も9やし。寒いけれど、一度来て見てね。いる間に。

>まーやさん
初めて見たあの日から♪ではないですが、初めてみた時から心が射抜かれてしまいました。
何度観ても飽きません。おっかけになりそうです。
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