サンカブリーからの帰路です。カオレーム湖の南で国道3272号線の三叉路を過ぎてから、最近人気の秘境、国境の村、ピロックを思い出し急遽Uターンをして国道3272号線をピロックへ向かうことにします。
暫く進むと道路はカオレーム湖に沿い、48kmでバーンライとピロックのT字路です。左折して山越えの曲がりくねった道路となります。路面は穴だらけです。一部で半車線の舗装工事をしていましたが、対向車が来れば大変です、カーブで前方は見えず、逃げ場もありません。幸運にも対向車には出会わなかったが、工事トラックに追いつき20km/hで暫く追走することになりました。
途中にピロック鉱山展望台があり、トイレ休憩です。ここからはカオレーム湖が遠くに望めます。
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グーグル マップではピロック村と表示されていますが、正式には「Baan E-Tong」でビルマ語の「霊の山」を意味します。「Pilok」はこの地にあった錫鉱山の名称「Pilok Mine」から来ています。
当初はイギリス統治下のビルマ人、インド人が錫とタングステンの採掘に関わりイギリス軍に売っていました。太平洋戦争が始まると鉱夫たちは新しい鉱山を開くためタイーミャンマー国境に沿って移動していきます。(と解説されていますが、日本軍の侵攻でビルマのイギリス軍が逃走、販売ルートを失ったのでしょう。)
1940年にタイ天然資源省が国営ピロック鉱山を開設します。タイ警察はビルマ人とイギリス軍の商取引を禁じますが、従わないビルマ人労働者と警察の衝突で多数の死者がでます。そして呼ばれたのが「Muang Peelok」、「幽霊鉱山」だと言われています。後に「Pilok」に変更し、鉱山と副行政区域の名前となりました。
その後、大小5、60の民間鉱山が開設し、タイ、ビルマ、インドからたくさんの労働者が集まりイ・トーン村は栄えました。
当初は採掘された鉱石を象でクウェー ノイ川まで運び舟に積み替えて2日がかりでカンチャナブリー中心部へ運んでいました。泰緬鉄道が保存されていればもっと容易だったと思うのですが...
1950年頃には鉱山からクウェー ノイ川まで道路が建設され、1980年代にはカンチャナブリーから鉱山まで一年中通行できるようになり、イ・トーン村は何千人もの労働者が集まり、二つの映画館、飛行場のある町となりました。
しかし、1985年に世界の錫市場の暴落でピロックの鉱山会社は閉鎖を余儀なくされました。鉱山労働者はピロックを去り村はゴーストタウンになります。
現在の村人は、村の小川に沿って錫鉱石を掘ったり、錫鉱石に含有される金の採取で生計をを立てています。
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午後2時にピロック村に到着です。村の入り口に小さな池があって、その横が村の駐車場になっています。池の向いに小さなゲストハウスが並んでいます。
まず今夜の宿泊場所を探します。3階建てのゲストハウスの2階の池側の部屋を確保しました。
クーラー、冷蔵庫、テレビ無しの900バーツです。他の宿泊客はまだ居ないようです。
経営者の老婆の話では、駐車場から向いの山頂、ノエン チャン スエク(海抜1053m)で夕日を観賞するソンテウ(小型乗り合いトラック)が一人50バーツで出るそうです。
空を見ていると厚い雲が立ち込めており、とても夕日の観賞が出来る雰囲気ではありません。
取りあえず、駐車場まで行きたむろしているソンテウの運転手と交渉です。これから山頂へ行きたいがいくらで言ってくれるということで、200バーツで交渉成立です。
ノエン チャン スクエ山頂は国境警備隊の駐屯基地になっていますが、訪問者に開放されています。
晴れた日にはミャンマー側の50km離れたアンダマン海が見えるそうです。
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イ・トーン村全体です。ざっと数えても百軒少々しか有りません
一般車両はこの先通行止めです
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約1時間山頂にいましたが真っ暗な雲が広がってきます。慌てて下山ですが、途中でスコールに襲われソンテウに吹き込む雨でびしょ濡れです。
結局夕方は雲が厚く夕日なんて見れる状態ではなかったですが、ソンテウは人を運んで山頂へ行ったようです。
日の出観賞もあります、朝も雲が厚くて朝日は見られそうになっかたけれど、池の向こうからは賑やかな声が響いていました。
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* * * * *
翌朝です。クーラー無しで暑さを心配しましたが、涼しくてぐっすり眠ることが出来ました。
朝食付きですが、食事は食券をもって裏通りの食堂へ行きます。
この村には食堂と土産物屋数軒有るだけです。土産や食材はほとんどミャンマーから入ってくるようです。
食後はピロック鉱山跡へいってみました。採鉱に使われた車両や道具類が展示されています。
宿の老婆からは奥に池があって錦鯉が泳いでいる、と言われたのですが、日本人にとって錦鯉は珍しくもなく、かといって他に観光する所もないので行ってみました。
驚いたのは、池の水の透明度です。タイへ来て初めて出会った澄んだ水です。
解説ではトンパプーム国立公園内のタングステン鉱山域にあるジョッグカディン滝の水はミネラルを豊富に含み、滝壺で泳ぐと身体がスベスベになるそうです。
池の奥にも小さな滝があり、水はミネラルを一杯含んでいそうです。
「E-Tong」というミネラルウォーターが売られていましたが、裏山の水をそのまま瓶詰めすれば良いだけです。
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* * * * *
秘境です。初めてであった蝶々もいましたので紹介します。
自然豊かで食草も豊富なのでしょう。村の回りにはたくさんの蝶々がいました。
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村に来て、最初に出迎えてくれた「アオスソビキアゲハ」です。
タイではどこの山でも出会いますが、出会う機会は非常に少ないアゲハチョウの仲間です。
村入り口の道路を横切る流水で吸水中でした。
尻尾のような長く伸びた尾状突起をヒラヒラさせながらトンボのような敏捷な動きをする蝶です。
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錦鯉の池縁の羊歯の上で朝露をいっぱい付けた「チビキマダセセリ」だと思います。
キマダラセセリの近似種は非常に多く同定が難しいです。
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サンカブリーの出発を見送ってくれた「インドウラナミジャノメ」です。
裏翅の外縁部に並ぶ目玉模様は、鳥が目玉を攻撃する習性を利用し、もし鳥のつっつきにあっても胴体を守れるようにしています。
翅を開くと大きな眼状紋あり、捕食者に襲われそうなとき翅を開き、敵をひるませてその隙に逃げるそうです。特に地上を徘徊する捕食者に有効だそうです。
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ピロック鉱山跡でヒラヒラと飛んでいた「ムラサキマネシアゲハ」です。
初めて出会った蝶です。さて、このマネシ(真似し)ですが、何を真似(擬態)しているのかというと下の蝶「ツマムラキマダラ」です。
ツマムラサキマダラの幼虫は有毒な植物を食べて蝶になります。成虫になっても体内に毒を保存しています。捕食者が毒蝶を食べると中毒を起こし、二度とおそわないように学習します。少数の犠牲によって他の仲間は襲われなくなります。
どこの世界にも知恵者がいるわけで、無毒のムラサキマネシアゲハは毒蝶のツマムラサキマダラの真似をすれば敵は襲わないだろうと擬態を成し遂げました。
ただ、無毒のムラサキマネシアゲハの固体が多いと敵も学習出来ないため、全数が擬態できるわけではなく、選ばれた少数が真似し出来るようです。
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毒蝶の「ツマムラサキマダラ」です。
実は、私もムラサキマネシアゲハには騙されてしまい、インスタにツマムラサキマダラとして投稿しました。フォロワーの方から指摘され気付いた次第です。ツマムラサキマダラは学習した捕獲者からは襲われないため、どこの山でも集団でヒラヒラ舞っていますが、その中にムラサキマネシアゲハも混じっているようです。よく真似ているので、今までは気付かなかっただけかも知れません。
毒蝶はたくさんいますが、このように真似るのを擬態と言います。捕食される側は擬態で身を守りますが、捕食者する側も擬態します。例えばカマキリです。緑のカマキリは木の枝になりきり獲物が来るのを待っていますし、木の幹と同化したカマキリもいます。
暫く進むと道路はカオレーム湖に沿い、48kmでバーンライとピロックのT字路です。左折して山越えの曲がりくねった道路となります。路面は穴だらけです。一部で半車線の舗装工事をしていましたが、対向車が来れば大変です、カーブで前方は見えず、逃げ場もありません。幸運にも対向車には出会わなかったが、工事トラックに追いつき20km/hで暫く追走することになりました。
途中にピロック鉱山展望台があり、トイレ休憩です。ここからはカオレーム湖が遠くに望めます。
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グーグル マップではピロック村と表示されていますが、正式には「Baan E-Tong」でビルマ語の「霊の山」を意味します。「Pilok」はこの地にあった錫鉱山の名称「Pilok Mine」から来ています。
当初はイギリス統治下のビルマ人、インド人が錫とタングステンの採掘に関わりイギリス軍に売っていました。太平洋戦争が始まると鉱夫たちは新しい鉱山を開くためタイーミャンマー国境に沿って移動していきます。(と解説されていますが、日本軍の侵攻でビルマのイギリス軍が逃走、販売ルートを失ったのでしょう。)
1940年にタイ天然資源省が国営ピロック鉱山を開設します。タイ警察はビルマ人とイギリス軍の商取引を禁じますが、従わないビルマ人労働者と警察の衝突で多数の死者がでます。そして呼ばれたのが「Muang Peelok」、「幽霊鉱山」だと言われています。後に「Pilok」に変更し、鉱山と副行政区域の名前となりました。
その後、大小5、60の民間鉱山が開設し、タイ、ビルマ、インドからたくさんの労働者が集まりイ・トーン村は栄えました。
当初は採掘された鉱石を象でクウェー ノイ川まで運び舟に積み替えて2日がかりでカンチャナブリー中心部へ運んでいました。泰緬鉄道が保存されていればもっと容易だったと思うのですが...
1950年頃には鉱山からクウェー ノイ川まで道路が建設され、1980年代にはカンチャナブリーから鉱山まで一年中通行できるようになり、イ・トーン村は何千人もの労働者が集まり、二つの映画館、飛行場のある町となりました。
しかし、1985年に世界の錫市場の暴落でピロックの鉱山会社は閉鎖を余儀なくされました。鉱山労働者はピロックを去り村はゴーストタウンになります。
現在の村人は、村の小川に沿って錫鉱石を掘ったり、錫鉱石に含有される金の採取で生計をを立てています。
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午後2時にピロック村に到着です。村の入り口に小さな池があって、その横が村の駐車場になっています。池の向いに小さなゲストハウスが並んでいます。
まず今夜の宿泊場所を探します。3階建てのゲストハウスの2階の池側の部屋を確保しました。
クーラー、冷蔵庫、テレビ無しの900バーツです。他の宿泊客はまだ居ないようです。
経営者の老婆の話では、駐車場から向いの山頂、ノエン チャン スエク(海抜1053m)で夕日を観賞するソンテウ(小型乗り合いトラック)が一人50バーツで出るそうです。
空を見ていると厚い雲が立ち込めており、とても夕日の観賞が出来る雰囲気ではありません。
取りあえず、駐車場まで行きたむろしているソンテウの運転手と交渉です。これから山頂へ行きたいがいくらで言ってくれるということで、200バーツで交渉成立です。
ノエン チャン スクエ山頂は国境警備隊の駐屯基地になっていますが、訪問者に開放されています。
晴れた日にはミャンマー側の50km離れたアンダマン海が見えるそうです。
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イ・トーン村全体です。ざっと数えても百軒少々しか有りません
一般車両はこの先通行止めです
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約1時間山頂にいましたが真っ暗な雲が広がってきます。慌てて下山ですが、途中でスコールに襲われソンテウに吹き込む雨でびしょ濡れです。
結局夕方は雲が厚く夕日なんて見れる状態ではなかったですが、ソンテウは人を運んで山頂へ行ったようです。
日の出観賞もあります、朝も雲が厚くて朝日は見られそうになっかたけれど、池の向こうからは賑やかな声が響いていました。
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* * * * *
翌朝です。クーラー無しで暑さを心配しましたが、涼しくてぐっすり眠ることが出来ました。
朝食付きですが、食事は食券をもって裏通りの食堂へ行きます。
この村には食堂と土産物屋数軒有るだけです。土産や食材はほとんどミャンマーから入ってくるようです。
食後はピロック鉱山跡へいってみました。採鉱に使われた車両や道具類が展示されています。
宿の老婆からは奥に池があって錦鯉が泳いでいる、と言われたのですが、日本人にとって錦鯉は珍しくもなく、かといって他に観光する所もないので行ってみました。
驚いたのは、池の水の透明度です。タイへ来て初めて出会った澄んだ水です。
解説ではトンパプーム国立公園内のタングステン鉱山域にあるジョッグカディン滝の水はミネラルを豊富に含み、滝壺で泳ぐと身体がスベスベになるそうです。
池の奥にも小さな滝があり、水はミネラルを一杯含んでいそうです。
「E-Tong」というミネラルウォーターが売られていましたが、裏山の水をそのまま瓶詰めすれば良いだけです。
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秘境です。初めてであった蝶々もいましたので紹介します。
自然豊かで食草も豊富なのでしょう。村の回りにはたくさんの蝶々がいました。
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村に来て、最初に出迎えてくれた「アオスソビキアゲハ」です。
タイではどこの山でも出会いますが、出会う機会は非常に少ないアゲハチョウの仲間です。
村入り口の道路を横切る流水で吸水中でした。
尻尾のような長く伸びた尾状突起をヒラヒラさせながらトンボのような敏捷な動きをする蝶です。
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錦鯉の池縁の羊歯の上で朝露をいっぱい付けた「チビキマダセセリ」だと思います。
キマダラセセリの近似種は非常に多く同定が難しいです。
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サンカブリーの出発を見送ってくれた「インドウラナミジャノメ」です。
裏翅の外縁部に並ぶ目玉模様は、鳥が目玉を攻撃する習性を利用し、もし鳥のつっつきにあっても胴体を守れるようにしています。
翅を開くと大きな眼状紋あり、捕食者に襲われそうなとき翅を開き、敵をひるませてその隙に逃げるそうです。特に地上を徘徊する捕食者に有効だそうです。
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ピロック鉱山跡でヒラヒラと飛んでいた「ムラサキマネシアゲハ」です。
初めて出会った蝶です。さて、このマネシ(真似し)ですが、何を真似(擬態)しているのかというと下の蝶「ツマムラキマダラ」です。
ツマムラサキマダラの幼虫は有毒な植物を食べて蝶になります。成虫になっても体内に毒を保存しています。捕食者が毒蝶を食べると中毒を起こし、二度とおそわないように学習します。少数の犠牲によって他の仲間は襲われなくなります。
どこの世界にも知恵者がいるわけで、無毒のムラサキマネシアゲハは毒蝶のツマムラサキマダラの真似をすれば敵は襲わないだろうと擬態を成し遂げました。
ただ、無毒のムラサキマネシアゲハの固体が多いと敵も学習出来ないため、全数が擬態できるわけではなく、選ばれた少数が真似し出来るようです。
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毒蝶の「ツマムラサキマダラ」です。
実は、私もムラサキマネシアゲハには騙されてしまい、インスタにツマムラサキマダラとして投稿しました。フォロワーの方から指摘され気付いた次第です。ツマムラサキマダラは学習した捕獲者からは襲われないため、どこの山でも集団でヒラヒラ舞っていますが、その中にムラサキマネシアゲハも混じっているようです。よく真似ているので、今までは気付かなかっただけかも知れません。
毒蝶はたくさんいますが、このように真似るのを擬態と言います。捕食される側は擬態で身を守りますが、捕食者する側も擬態します。例えばカマキリです。緑のカマキリは木の枝になりきり獲物が来るのを待っていますし、木の幹と同化したカマキリもいます。
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