《水やりをするペリカン 絵本「夢の島ノア」より 画・米澤観児》
今年、3年という時間を経て、東京から遠く離れたこの南の土地で
私のできることとして、私の今出来る精一杯のペースを大切にしていただきながら
あるプロジェクトに参加させていただくことになりました。
一つは、相方さんであった米澤観児が10年以上前に
心を込めて描き残した絵本の原画を絵本にすること。
そしてもう一つは、私自身の命でもある演劇をベースにした活動の再開。
10年前に亡くなったソウルメイトの祐木鎧、そして相方であった米澤観児、
彼らと共に作り上げてきた作品を、彼らの魂を知る人の手に託し、
新たな命を吹き込むお仕事に携わらせていただくことになりました。
これらをやるにあたっては、色々とお思いめぐらしました。
今の私は以前の私とは勝手が違うからです。
心身と連動する精神的な不安定さを抱えているので、今までのようには動けません。
仕事もやりたい気持ちとはうらはらに、進まないことも多いです。
けれども、それをやろうと思った理由は、どんな状態になっても、
自分の魂は消えることなく、そしてそれは愛しい人たちとつながっているから。
「昔の自分ではない」代わりに、「今の私がいる」と強く感じているから。
実際、この3年、東京では叶わなかった自然の中に身を置き
たくさん見えたものや感じたものがありました。
きっとそれらの日々が今からを後押しをしてくれると、
これまでの人生経験から確かな予感があります。
絵本も演劇も「愛」「イノチ」「真実」などをテーマに展開しています。
それはもう長いあいだ変わりません。
これからもそうです。
この2013年の瀬に私が強く思うことが、そのプロジェクトの中にありますが、
まだここでは詳細を皆様にお知らせすることができません。
その代わりに、その自分が伝えたいことのヒトツである
自分の分身でもある地球とこの世界への思いと強く共鳴している
2つの文章を相方、米澤さんの絵本の挿絵とともにご紹介したいと思います。
震災を経た日本。
未曾有の原発事故と文明による自然破壊
そして人間崩壊とも言えるものを抱えるこの国。
そこに強く投げかける言葉たちです。
2013年最後の皆さまへの贈りものです(*´∀`*)
これは全ての大人に(特に子供を持っている方に)
出来ることなら、文明社会と言われる世界にいる人全てに
この二つの文章を読んでいただきたいと思っています。
もし、皆さまのお心に染みたなら、どうか大好きな誰かに伝えてください。
そして、またその人から、大好きな人たちに伝えてもらえたら嬉しいな。
そうやって、何かが変わっていくかもしれないから。
そして、なにか一つ、実践する心をもってもらえたら。
そう思います。
ご存知の方も多いことでしょう。
現在環境保全のお仕事をされている日系人のセヴァン・スズキさんが
12歳だった1992年6月、ブラジル、リオ・デ・ジャネイロで
環境と開発に関する国連会議(環境サミット)に集まった
世界の指導者たちを前に語られた伝説のスピーチです。
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《伝説のスピーチ セヴァン=スズキ》
こんにちは、セヴァン・スズキです。エコを代表してお話しします。
エコというのは、子供環境運動(ECO: Environmental Children's Organization)の略です。
カナダの12歳から13歳の子どもたちの集まりで、自然環境を守るための活動をしています。
あなたがた大人たちに、どうか生き方をかえて頂くよう、お願いするために、
自分たちでお金を集めて、カナダからブラジルまで1万キロの旅をして来ました。
今日、私たちが話すことは、すべて嘘のない本心の言葉です。
なぜって、私たちが環境運動をしているのは、私たち自身の未来のため。
私たち子どもが、自分の未来を失うことは、
あなたがた大人が選挙で負けたり、株で損したりするのとは次元の違う問題なのです。
私たちがこれから話すことは、未来に生きる子どもたちのためです。
世界中の飢えに苦しむ子どもたちのためです。
そして、もう行くところもなく、死に絶えようとしている無数の動物たちのためです。
世界中の飢えに苦しむ子どもたちの泣き叫ぶ声は、あなたがた大人の耳には届きません。
どこにも行くところがなく、次々と絶滅して行く
数え切れないほどの生き物たちのことも同じです。
だから、世界中の子どもたちや生き物たちに代わって、私たちが話すのです。
太陽のもとにでるのが、私はこわい。
それは、オゾン層に穴があいているから。
呼吸をすることさえこわい。
空気にどんな危険な化学物質が混じっているか分からないから。
お父さんと一緒に、よくバンクーバーで魚釣りに行っていました。
数年前に、体中ガンでおかされた魚に出会うまでは。
そして今、毎日のように動物や植物たちが絶滅していくのを、私たちは耳にします。
一度絶滅してしまった生き物は、もう永遠にもどってはこないのです。
私には小さいころからの夢がありました。
それは、いつか野生の動物たちの群れや、
たくさんの鳥や蝶が舞うジャングルや熱帯雨林を見ることでした。
でも、私は見ることが出来ても、私の子どもたちは、見ることができるのでしょうか?
あなたがた大人は、私ぐらいの年令の時に、
今の私と同じように、未来の自分の子どもの心配したことがありますか?
こんな大変なことが、ものすごいいきおいで起こっているのに、
私たち人間ときたら、まるでまだまだ余裕があるようにのんびりと構えています。
まだ子どもの私には、この危機を救うのに何をしたらいいのかはっきりわかりません。
そして、あなたがた大人も、本当の解決法など持っていないと思います。
だから、せめて「本当の解決法など持っていない」ということだけは、自覚して欲しいのです。
あなたがた大人は、オゾン層にあいた穴をどうやってふさぐのか知らないでしょう。
死んだ川にどうやってサケを呼びもどすのか知らないでしょう。
絶滅した動物をどうやって生きかえらせるのか知らないでしょう。
そして、今や砂漠となってしまった場所に
どうやって緑の森をよみがえらせるのか知らないでしょう。
だから、大人のみなさん、
どうやって直すのかわからないものを、壊し続けるのはもうやめてください。
ここに集まっている大人のみなさんは、いろいろな国の政府の代表者や、
企業や団体の代表者、そして、報道関係者の人たちです。
でもほんとうは、あなたがたもだれかの母親であり、父親であり、
姉妹であり、兄弟であり、おばさんです。
そしてあなたがたの誰もが、誰かの子どもなんです。
私はまだ子どもですが、ここにいる私たちみんなが
同じ大きな家族の一員であることを知っています。
そうです50億以上の人間からなる大家族であり、3千万種類以上の生物からなる大家族です。
いろいろな国の政府や国境が、どんなに分け隔てをしようとも、
私たち地球で生きるものたちが1つの大家族だということは、変えようがありません。
私は子どもですが、みんながこの大家族の一員であり、
ひとつの目標に向けて心をひとつにして行動しなければならないことを知っています。
わたしは、今のひどい環境を見て、怒りで心が震えていますが、
それでも、自分を見失ってはいません。
わたしは、今のひどい環境を見て、恐怖で体が震えていますが、
それでも、自分の気持ちを世界の人たちに伝える勇気を持ち続けています。
私の国での無駄使いは大変なものです。買っては捨て、また買っては捨てています。
そして、そんなにたくさんの物を無駄にしている北の国は、
物が不足している南の国と分かち合おうとはしません。
物がありあまっているのに、私たちは自分の富を、少しでも手放すのがこわいのです。
カナダで暮らす私たちは十分な食物と水と住まいを持つ恵まれた生活をしています。
食べ物も、水も、お家も、何でも十分にあります。
時計、自転車、コンピューター、テレビ、
私たちの持っているものを数えあげたらきりがありません。
2日前ここブラジルで、家のないストリートチルドレンと出会い、
私たちはショックを受けました。
一人の子どもが私たちにこう言ったからです。
「ぼくが金持ちだったらなぁ。もしそうなら、家のない子すべてに、
食べ物と、着る物と、薬と、住む場所をあげるのに。
それから、やさしさと愛情もね。」
住むところもなく、今日、食べる物もない一人の子どもさえ、
自分のことだけでなく、みんなと分かちあうことを考えているのに、
全てを持っている私たちがこんなに欲が深いのは、どうしてなんでしょうか?
この子ども達は、私と同じぐらいの年齢でした。
私は、自分と同じくらいの年齢の子ども達が、
こんな生活をしていたことが、とてもショックで頭から離れません。
同じ人間なのに、同じ大家族の一員なのに、
どこに生れついたかによって、こんなにも人生が違ってしまう。
もしかしたら、私がここブラジルのリオの貧民窟に住む子どもの一人だったかもしれないのです。
そして、飢えに苦しむソマリアの子どもだったかもしれないし、
大人たちの戦争の犠牲になった中東の子どもだったかもしれないし、
インドで乞食をしている子どもだったかもしれないのです。
もし世界中の国の大人たちが戦争のために使っているお金を全部平和のために使えば、
環境や飢餓の問題のために使えば、この地球がすばらしい星になるでしょう。
私はまだ子どもですが、それでもこのことを知っています。
小学校で、いえ、幼稚園でさえ、あなたがた大人は私たちに、
世の中でどうふるまうかを教えてくれます。
たとえば、
*争いをしないこと
*話しあいで解決すること
*他人を尊重すること
*ちらかしたら自分でかたずけること
*ほかの生き物をむやみに傷つけないこと
*分かちあうこと
*そして欲ばらないこと
それならば、なぜ、あなたがた大人は、
私たち子どもに「するな」ということを、自分達はしているのですか?
みなさんは、今日、何のためにこの会議に出席しているのか、
どうか、そのことだけは忘れないでください。
そしてこのような会議をいったい誰のためにやっているのか。
それはあなたがたの子ども、つまり私たちのためなのです。
あなたがたはこうした会議で、私たちがどんな世界に育ち
生きていくのかを決めてようとしているのです。
親たちはよく「だいじょうぶ。すべてうまくいくよ」といって子ども達をなぐさめます。
あるいは、「できるだけのことはしてるから」とか、
「この世の終わりじゃあるまいし」と言いますよね。
だけど、今の地球の環境を見たら、
もうこんな言葉を自分の子どもに向かって言えないと思います。
わたしたち子どもの未来のことなんて、
みなさんの議題の中にすら入っていないじゃないですか。
みなさんは、私たち子どもの未来のことを本当に考えてくれているのですか?
私のお父さんは、いつも、
「人間の価値は、何を言ったかではなく、何をしたかで決まる」
と言っています。
でも、私は、あなたがた大人がこの地球に対していることを見て、泣いています。
それでも、あなたがた大人はいつも私たち子どもを愛していると言います。
本当なのでしょうか?
もしそのことばが本当なら、どうか、本当だということを言葉でなく、行動で示してください。
最後まで私たちの話をきいて下さって、ありがとうございました。
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《とうもろこしを収穫するキリン 絵本「夢の島ノア」より 画・米澤観児》
もう一つは、伝説のスピーチのセヴァン・スズキさんのお父さん、
デヴィッド・スズキ氏による「相互依存宣言」です
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《相互依存宣言》
私たちは知っている
私たちは植物や動物に養われる地球だ
私たちは血管の中を流れる雨や大洋だ
私たちは大地の森の呼吸であり大海の草や木だ
私たち人類という動物は地球最初の細胞から生まれ
生きとし生けるものすべてと結びついている
他の生き物たちと遺伝子に刻み込まれた歴史を共にする
不確実にみちみちた現在を共にする
いまだに語られない未来を共にする
私たち人類は世界をとりまく薄い生命層を織り成している
三千万種の生き物の一つにすぎない
共に生きる世界のなかで互いにつながり
生命(いのち)のもとを使い 浄化し 分かち 満たし合っている
多種多様な生命が存在するからこそ世界が安定するのだ
私たちの家である地球という星は有限だ
資源と太陽エネルギーをあらゆる生命が分かち合うから成長には限りがある
いま初めて私たちはこの限界にぶつかった
空気や水や土や種々様々な生命をけがすのは
今日の満足のために無限の未来から奪い取ることなのだ
私たちは信じる
人は増え道具はとても強力になった
私たちは仲間の動物たちを絶滅させた
大河にダムをつくり深い森を裸にし 大地や雨や風に毒をまぜ 空に穴をあけた
人類の科学は喜びとともに悲しみをもたらした
何百万の犠牲のもとに快適な生活を手にいれた
いまやっと過去の過ちを知り 消えた仲間たちを悼んでいる
新しい希望をもたらす政策を作ろう
きれいな空気や水や土を 無くてはならないものとして大切にしよう
多数の人々の遺産をへらし 少数の人だけを肥やす経済活動は間違いだ
環境悪化により生物資本は永遠に損なわれる
だから開発の公式には 完全な生態・社会費用を当てはめなければならない
長い時間の流れの中で 私たちはほんの一世代にすぎない
未来を消滅させる権利は私たちにはないのだ
知識には限りがあるのだから 注意深く行動しよう
私たちの後からくる人たちのことを考えながら
私たちは決意する
いま私たちと地球との関係は転換期を迎えている
支配者からパートナーへ 孤立から連帯へ 不安から相互依存へと私たちは努力する
いまや 大切なものを失う危険が目の前に追っている
生きしと生けるものともういちど手をつなごう
そのためにあらゆる努力を惜しむまい
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「我々は兄弟。大きな一つの生命の環の中で生きている」
福制作のミュージカルショー「Earth Beat」から
ネイティヴアメリカンの酋長のセリフより