♪母ぎみに勝る 友や世にある
生命の春にも 老いの秋にも
やさしく労わり いとしみたもう
母ぎみにまさる 友や世にある
母ぎみに勝る 友や世にある
笑いも涙も 共に分かちて
ゆうべの祈り 心を合わす
母ぎみにまさる 友や世にある♪
私の母は元気な頃、いつも着物を美しく着て、
笑顔のうちに家仕事をこなす人でした。
一度も愚痴や悪口や不平不満を聞いたことがありません。
どんなに夫が理不尽でも、深い愛を持って彼を支え、
イノチをかけて子供を守る、そんな母でした。
誰よりも早く起きて、誰よりも遅く眠り、
夜中目を覚ませば、自分も起きて優しく声をかけてくれ
美味しいものは全て夫や子供に与え、
自分はどんな贅沢もしない人でした。
そして全ての人に同じように優しく愛を捧げられる人。
そしてそんな日々を心から喜べる人でした。
河野進さんの詩を読むたびに美しい私の母を想います。
今は病床にいる母ですが、きっと今でもそんな愛の中にいるのでしょう。
「いつも」
お母さん
笑ったら
ほんまにやさしい顔や
ぼく 大好き
いつも 笑ってて
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「超人」
貧しくても子の前につぶやかず
苦しんでも子の前にうめかず
疲れても子の前によろめかず
悲しんでも子の前に微笑を忘れず
病んでも子の前にくずおれず
裏切られても子の前に失望せず
愛しても子の前に恩をきせず
超人のような母がいっぱいいる
「かまわない」
貧乏でも
無学でも
病弱でも
かまわない
お母さんは
正直で
とてもやさしいんだ
ぼくは胸を張った
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「多忙」
お母ちゃん
なあに
なんでもないの
顔みに帰っただけ
また遊びにかけ出して行く
楽しく忙しかった
子供の日よ
「母と言う文字」
母という字は
上から下から
左から右から
表から裏から見ても
同じかつこうをしている
母は太陽のように
かげひなたがないもんな
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「すきなもの」
お母ちゃん
また残したの
たべてあげよ
ぼくの好きなもの
みなきらいやな
ちっと食べたらええのに
「だまって」
お母さんは
おにぎりのようやな
どうして
だまっているけど
顔見てたら
うれしくなるもん
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「空気」
お母さんは
きれいな空気のように
やさしい愛を
一日じゅう注いでいる
こどもは
あたたかい空気のように
うれしい愛を 一日中すっている
どちらも気がつかずに
「かなわんな」
お母さんは
ぼくのしたこと
みんなわかるんや
よいことしたら
うれしそうな顔をする
わるいことしたら
悲しそうな目をするかなわんな
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「いっしょにねる」
お母さん
ぼく 目がさめたら
じっと見てる
ぼく ねむったら ねるんな
いつも 起きてるのとちがうか
「五十年」
母の詩を作って五十年になる
毎日と言うわけではないが
全然忘れはしない
うれしくても かなしくても 母の詩を作る
母は病床でも口三味線をひいていた
母を思うと幸せになる
みんなよい母になってほしい
わるい母っているはずがない
(全ての詩:河野進)
この世のすべてのお母様は天地にただおひとりの方です。
「おかあさま、ありがとう」