2021年3月のブログです
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坂本直行さんの『原野から見た山』(2021・ヤマケイ文庫)を読みました。
単行本は1957年に出版され、1973年に茗溪堂から復刻版が出ていて、これまでじーじはこの復刻版を読んでいたのですが、大きな本でじーじのように寝っ転がって本を読む人間にはなかなか大変でした(直行さん、ごめんなさい)。
今度は文庫本ですので、行儀の悪いじーじでも安心です。
本は小ぶりになりましたが、印刷がとてもきれいなので、見劣りはしません。
素敵な文庫本です。
戦前、南十勝の牧場に開拓で入った頃のお話やそこから見た日高山脈のスケッチ、大雪山や斜里岳への山旅、そして、最後の山旅と覚悟しての石狩岳登山などのお話とスケッチなどからなります。
当時の大雪山ののどかさはとても素敵ですし、熊を逆におどかして楽しむ直行さんは豪快です。
斜里岳山麓に1人で暮らす農夫とのやりとりも直行さんらしくユーモラスで、とても愉快。
そして、昭和18年の石狩岳登山。いつ兵隊に取られてもおかしくない時世の中で、生きて山に登れるのはこれが最後かもしれない、と覚悟をしての登山は胸にせまるものがあります。
直行さんの絵のすばらしさを改めて味わうことができて、幸せ。
宝箱のような文庫本です。 (2021.3 記)