2019年のブログです
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梅棹忠夫さんの名著『モゴール族探検記』(1956・岩波新書)を再読しました。
このところ、なぜか旅行記を続けて読んでいるのですが、この本も本棚の隅っこにあるのを見つけて読んでしまいました。
1956年の岩波新書(!)、もっともじーじが買ったのは2011年のアンコール復刊という、岩波ならではの粋な企画で出た本ですが…。
1956年というと、なんとじーじが2歳の時の本、それが今読んでもおもしろくて、ワクワクできるのは本のすごさ、すばらしさです。
梅棹さんはご存じのかたもいらっしゃると思いますが、元京大教授の民族学者で、国立民族学博物館長を務めたかた。
じーじのような文科系の人間でも、学生時代には梅棹さんの『知的生産の技術』や『文明の生態史観』などをわからないながらも読んだものです。
本書は、アフガニスタンがまだ王国だった頃に、モンゴル民族の末裔を求めて調査旅行をした際の記録。
京大の言語学者や人類学者、考古学者らがチームを組んで、幻のモンゴル民族であるモゴール族の存在の有無を調査に行きますが、難航を極めます。
今でもそうですが、民族間の対立、抗争に阻まれ、テント生活を続けながら、さまざまな困難にめげずに調査・研究を進めるその無骨な科学者らしさには感心させられます。
ひとつ、ひとつの仮説の積み重ねと実証、これらを読んでいると、カウンセリングや臨床心理学の世界でも共通する厳しさを感じます。
じーじは単に趣味というか、知的好奇心から読みましたが、名著として残るようないい本とは、やはりこころを揺り動かすような部分があるようです。
すばらしい名著を再読できて、とても幸せな気分になれました。 (2019.1 記)
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2021年5月の追記です
深田久彌さんの『山岳遍歴』(1967・主婦と生活社)を読んでいたら、本書の解説文が出てきました。
本書の面白さを絶賛されています。
おそらくユーモラスなことがお好きだった深田さんの好奇心を刺激されたのだろうと思います。
ちなみに、深田さんの本もとても面白く、特にどさんこのじーじには幌尻岳とトムラウシの登山の文章がとても楽しく読めました。 (2021.5 記)