2015年のブログです
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松木邦裕さんの『耳の傾け方-こころの臨床家を目指す人たちへ』(2015・岩崎学術出版社)を読みました。
初学者用かな?と思って読んだのですが,なかなか奥が深く,じーじの力ではまだまだ理解が十分でないところが多々あったように思います。
しかし,とても面白く読めました。
面接におけるクライエントさんの話のきき方をていねいに検討されています。
特に、精神分析的な心理療法のきき方を学ぶうえではとても勉強になると思います。
今後,何度もなかみを噛みしめながら読んでいきたい本だと思いました。
全体的な印象としては,精神分析の大家のみなさんはそれなりに表現は違いますが,しかし,やはり,松木さんも大切なところでは,成田善弘さんや藤山直樹さんと同じようなお考えを述べられているような印象を持ちました。
もちろん,細部は違うのでしょうが,しかし,大家の言うことにはどこか共通点があるようにも思います。
今後,さらに深く勉強をしていきたいと思いました。
後日,再読をした際には,もっともっときちんとした報告ができればと思っています。 (2015 記)
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2018年秋の追記です
3年ぶりに再読をしました。
今回は以前より少しだけ読み込めたような気がしていますが、どうでしょうか。
面接でのきき方として、共感と受容のための支持的なきき方から精神分析的なきき方までのいくつかの段階のきき方を提示して、それぞれ事例を通してわかりやすく説明をされています。
事例の描写は深く、多少の失敗も含めて、とても正直に描かれていて、初学者にも勉強になります。
しかし、それにしても、面接の奥深さのなんとすごいことか、驚きとともに、感動させられます。
そして、びっくりするのは、段階を経て習熟した技法を、最後にはいったん捨てる、というところ。
無意識のもの想いを大切にする精神分析的心理療法のすごさが示されます。
おそらく本を読んだだけではわからない世界、スーパーヴィジョンや訓練分析をきちんと経験しなければわからない世界なんだろうと思われます。
もっとも、ないものねだりをしても仕方ありません。
できるところから、勉強をしていこうと思います。
最後に、松木さんも詩人キーツさんを引用しました。
わからないことに耐える能力の大切さのところで、キーツさんとビオンさんの言葉を示して、説明をされています。
考えてみれば、人生そのものがわからないことだらけなわけで、われわれはそこでわからないことに耐えてなんとか生きていくしかないわけですね。
さらに、勉強をしていこうと思います。 (2018.10 記)