ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

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大場登『ユングの「ペルソナ」再考』2000・創元社-ユング心理学に学ぶ

2025年01月13日 | ユング心理学に学ぶ

 2011年のブログです

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 放送大学大学院の大場登先生の『ユングの「ペルソナ」再考』(2000・創元社)を読みました。

 大場先生の博士論文ということで、じーじに理解できるかなと不安を抱きながら読みましたが、丁寧な論文で最後まで一気に読んでしまいました(内容をどれだけ正確に理解できているかは別ですが…)。

 最近読んだ河合俊雄さんの『概念の心理療法』(日本評論社)でも同じような印象を持ちましたが、ユング心理学の場合、概念が固定化してしまうことが問題で、イメージや考えが常に流動的になっていることが大切(河合さんの言葉では「弁証法的」になっていることが必要)なのかなと思いました。

 大場先生の論文は、引用文献が和辻哲郎さんや坂部恵さんなど、じーじも興味を持って読んでいた人達がたくさん出てきたのですが、同じものを読みながら、優秀な学者さんはこんなに違うことを考えるんだな、とあらためて尊敬をしました。

 ユングさんの考えをさらに深めようというその姿勢に圧倒されました。

 じーじもいずれ、こんなことを考えながら、臨床に望み、さらに新たな考えをまとめることができればいいなと、とてつもない夢を抱きました。      (2011.7 記)

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 2023年2月の追記です

 ペルソナ、仮面、表向きと本音、さらには、意識と無意識、影(シャドー)、などなど、ユング心理学では大切な概念です。

 河合隼雄さんも詳しく述べられていると思いますが、一見、わかるようで、しかし、実は、なかなか奥の深い難しいことがらです。

 さらに勉強をしていきたいと思ます。       (2023.2 記)

 

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マイクル・コナリー(古沢嘉通訳)『転落の街』(上・下)2016・講談社文庫-アメリカの警察小説です

2025年01月13日 | 小説を読む

 2018年1月のブログです

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 マイクル・コナリーさんの『転落の街』(上・下)(古沢嘉通訳・2016・講談社文庫)を読みました。

 コナリーさんの小説を読むのはかなり久しぶりでしたが、期待にたがわず、すごく面白くて、一気に読んでしまいました。

 マイクル・コナリーさんといっても、知らない人も多いでしょうが、アメリカの推理小説家で、特に、本書もシリーズになっているロサンゼルス警察のボッシュ刑事が主人公の警察小説が有名ですし、とても面白いです(ちなみに、本書は去年の推理小説のベストテンにも入っています)。

 ボッシュ刑事は人生にいろいろなものを抱えつつ生きている人物で、しかも、警察組織にただ忠誠を誓っているような刑事でもなく、時と場合によっては、彼の信ずる正義のために、どんな敵や組織とも闘います。

 そこが魅力でしょうし、その姿を丁寧に描写しているので、読み応えがあります。

 ボッシュ刑事だけでなく、同僚や犯罪者までもが、本当にこまやかに描写され、読者は正義だけでなく、悪の存在についても考えざるをえません。

 正解はなく、自分で人生や家族、仕事、組織、あるいは、国家などについて考える必要があります(ボッシュ刑事はベトナム戦争帰りの警察官でもあります)。

 決して、単純でなく、複雑なのは、人生も社会も同じでしょう。

 そこをとても大切に描いている警察小説の逸品だと思います。

 機会があれば、読んでみてください。       (2018.1 記)

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 2020年11月の追記です

 アメリカではトランプくんの憎悪と分断の政治がようやく終わりそうですね。

 アメリカ国民の良識が少し見えました。       (2020.11 記)

 

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