ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングやメールカウンセリングなどをやっています

松木邦裕・藤山直樹『精神分析の本質と方法』2015・創元社-精神分析に深く学ぶ

2025年02月17日 | 藤山直樹さんを読む

 2018年のブログです

     *  

 松木邦裕さんと藤山直樹さんの『精神分析の本質と方法』(2015・創元社)を再読しました。

 2015年の本ですから、のんびり屋のじーじとしては、めずらしく早めの(と、言っても3年ぶりですが…)再読です。

 松木さんと藤山さんのそれぞれの講義と討論からなっていますが、なかなか充実した内容で、奥が深いですし、やはり難しいです。

 特にじーじは、藤山さんの講義に感心させられましたし、刺激を受けましたが、自分の経験が少ないために、どれくらい理解ができているかとなると、かなり心もとない感じがします。

 それでも、勉強になったことを、一つ、二つ。

 一つめは、今、フロイトさんを読む意義。

 藤山さんは、精神分析を学ぶには、フロイトさんを読んで、フロイトさんと語り合うことが大切だ、といいます。

 フロイトさんの学説だけでなく、フロイトさんの迷いや不安を体感することから精神分析に近づくことができるのではないか、と述べます。

 藤山さんのような大家でも、何度も何度も読み返すそうですから、初学者のじーじなどはさらに読み込まなければなりません。

 二つめは、精神分析の面接の特異性。

 精神分析では、普通の心理療法と違って、親しい人間関係を目指すのではなく、あくまでも両者の間に起こる転移関係を「生きる」ことが大切、といいます。

 親しさを優先しない点で、精神分析は対面法の心理療法と大きく異なった技法のように感じられます。

 改めて、両者の違いに気づかされるとともに、より良き精神分析的心理療法の形を考えていく必要があるな、と考えさせられました。

 討論では、率直な藤山さんとあくまでも学術的な松木さんの好対照な姿勢が印象に残りました。

 しかし、お二人とも、個人開業の中で苦労しながらも精神分析を深められてきた先達であり、共通点も数多く、また、仲の良さや信頼しあっている様子がうかがわれて、本を読んでいてもとても心地よい雰囲気を感じることができました。

 いい本を再読できて、有意義なひとときを過ごしました。         (2018 記)

コメント

小檜山博『人生讃歌』2016・河出文庫-どさんこの本音を懐かしく読む

2025年02月17日 | 北海道を読む

 2017年のブログです

       *

 どさんこの小説家である小檜山博さんのエッセイ集『人生讃歌』(2016・河出文庫)を読みました。

 2016年の本ですが、なぜか読みそびれていて(小檜山さん、ごめんなさい)、今回、旭川の本屋さんで偶然見かけて読みました。 

 いい本です。

 JR北海道の車内誌に連載中とのことで、軽く読めるエッセイですが、中身は小檜山さんの小説のように、時には重く、時には哀しく、しかし、愚直で、誠実な生き様がすごいです。

 素敵な人たちがたくさん出てきます。 

 女の子が母に頼まれて持っていた闇米を事情を知って見逃してくれるお巡りさん、小檜山さんと知らずに小檜山さんの小説を読んで生きてこられたと話す靴磨きの老婆、アル中の患者に代金は持ってこないかもしれないぞと言われて、それでも待っているぞと怒鳴る貧乏医師、などなど。

 すごい人たちばかりですし、彼らと巡り合い、それをお話にできる小檜山さんの力量もすごいです。

 小檜山さんは大雪山の東側の滝上町の育ち、じーじは西側の旭川の育ちで、くしくも大雪山をはさんで、両側から同じ山を眺めながら育ったことになります。

 だから、小檜山さんの描く大雪山の描写には、とても懐かしい気がしますし、癒されます。 

 また、小檜山さんのご両親は東北の飯豊山の東側の会津の出身、じーじは今、飯豊山の西側に位置する新潟で暮らし、散歩の時は飯豊山を眺めながら歩くのが楽しみなので、小檜山さんの描く飯豊山の描写にも癒されます。

 ふるさとを同じにするすてきな小説家と同じ時代を生きられる喜びをつくづくと感じます。           (2017.8 記)

     *

 2023年3月の追記です

 北海道滝上町に高橋武市さんという人が作られた陽殖園という自然庭園があります。

 この自然庭園をさとうち藍・著、関戸勇・写真『武市の夢の庭』(2007・小学館)という本が紹介しています。

 写真の美しい、素敵な本です。       (2023.3 記)

コメント