2020年2月のブログです
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本多勝一さんの『北海道探検記』(改訂版・1985・集英社文庫)を再読しました。
この本もかなりひさしぶり。
本棚の隅っこに隠れていたのを(?)見つけて読みました。
探検記、ということで、観光地ではなく、人のいないところを訪ねる旅です。
人混みが嫌いらしい(?)本多さんと意見が一致してしまい、思わず引き込まれてしまいました。
知床の山奥、離島、根釧原野、天北の開拓地などを巡りますが、今回、わたしが印象に残ったのが、日高の奥高見部落。
当時の5級僻地校という少人数の学校が紹介されていますが、ここがすばらしい。
子どもたちの夢が、海を見ること、という山奥の素朴な子どもたち。
授業は複数の学年が一緒の複式学級ですが、地元出身の先生が中心となって音楽教育に力を入れていて、日高地区のコンクールで優勝をしたりしています。
本多さんにもすばらしい演奏を披露して、本多さんは本気で感動をされます。
成績よりも大切なものを大事にしている先生方の努力に脱帽をされます。
しかし、数年後に再訪をしようとしますが、部落は全員引き揚げで消滅、学校も廃校となってしまいます。
北海道の厳しい現実と直面をする旅でもあります。
根釧原野や天北でも同じようなケースに遭遇。
敗戦直前の拓北農兵隊を思い出させるような、無謀な開拓の姿を見せつけられます。
もっとも、その自然の厳しさが北海道の魅力でもあります。
今年の夏は、本多さんの『北海道探検記』を片手に、あちこちを回ってみたいと思いました。 (2020.2 記)