ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどをやっています。

佐藤多佳子『明るい夜に出かけて』2019・新潮文庫-その1・生きづらい大学男子の友情と恋愛を描く

2023年05月26日 | 小説を読む

 2019年夏のブログです

     *

 佐藤多佳子さんの『明るい夜に出かけて』(2019・新潮文庫)を読みました。

 この本も旭川の本屋さんで見つけました。

 面白かったです。

 佐藤さんは『しゃべれども しゃべれども』や『一瞬の風になれ』などの、名作と呼んでいい小説を書かれていますが、本作もなかなか力作です。

 主人公は大学を休学中の男子学生。

 人づきあいがあまり得意でなく、しかも、じーじと同じ女子恐怖症(?)で、生きづらそうです。

 それでも、コンビニのアルバイトをしているので、じーじより優秀(!)です。

 楽しみはラジオの深夜番組への投稿。

 こう書くと、ネクラとしかいいようがありませんが、そんな彼がバイト仲間やラジオ仲間との交遊の中で、少しずつ変わっていく姿が描かれます。

 登場人物がユニークで、魅力的。

 佐藤さんの温かな視線が光ります。

 もっとも、お話は全然、甘くはなく、冷徹(?)で、シビアな世界が展開します。

 おとなが読んでも、いろいろと考えさせられる深みのある小説です。

 読後感がすごくいい。

 旅先でいい小説と出会えて、幸せです。(2019.8 記)

 


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