2018年のブログです
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沢木耕太郎さんの『深夜特急4-シルクロード』(1994・新潮文庫)を再読しました。
予定では年末年始にかけて、ゆっくりと読むつもりだったのですが、なんせ老人なので、年末まで待てず、せっかちに、また読んでしまいました。
若い時は、年を取ったら、のんびり、ゆったりと生きたい、と思っていたのですが、なぜかどんどんせっかちになってきて、困っています。
しかも、今回は『深夜特急4-シルクロード』。
なぜか、じーじの旅は遡っていきます(?)。
まあ、これも、老人のなせるわざ。
老人は順番なんかにこだわらずに(?)、自由自在に面白そうなものから手をつけてしまうのです(先が短いですからね)。
というのは半分冗談で、実は、次にどれを読もうかな、と本棚の『深夜特急』を眺めていたら、シルクロード、という文字に魅かれてしまい、読むことにしました。
シルクロードという言葉は魅力的ですし、じーじの頭の中には、なぜかイスラムの美人ちゃんが踊りを踊っている光景(!)が浮かんでしまったのです。
ということで、本書、沢木さんのパキスタン、アフガニスタン、イランの旅です。
一番驚いたのは、当時(1970年代)のアフガニスタンの豊かさ。
今、ニュースで見るアフガニスタンからは想像もできないくらい国土も人々も豊かです。
戦争がいかに国土を荒廃させ、人々を苦しめるか、一目瞭然です。
戦争は絶対によくありません。
沢木さんは豊かな当時のアフガニスタンを堪能しています。
また、イランでの時計商人との値段の駆け引きもとても面白く読めます。
そして、じーじが一番印象的だったのは、イランの安宿で病気で伏しているイギリス人青年。
最初は沢木さんの差し出すブドウを拒否しますが、徐々に打ち解けます。
そして、沢木さんが出発をする日、イギリス人青年も、一緒に行こうかな、とまで言いますが、沢木さんは聞こえなかったふりをして出発します。
それがひとり旅のルールだったにせよ、沢木さんの心中は複雑です。
そして、つぶやきます。
どうせ置き去りにするなら、初めから何もしてやらなければいい、と。
ここは文学だと思いました。
カウンセリングでも、最後まで付き合えないのなら、最初から引き受けるな、というルールがあります。
親切は、そして、人生は、本当に厳しいものだと思います。 (2018.11 記)