2024年10月のブログです
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カウンセラーが、面接場面で、生き残ること、ということについて、少し考えてみる。
カウンセリングや心理療法が始まると、初めは、クライエントさんがカウンセラーに信頼感を寄せて、面接場面でも良好な関係ができる。
しかし、面接が進んで、クライエントさんが、なんでも話しても大丈夫、と安心ができると、次第に、クライエントさんの困っている人間関係や悩んでいる人間関係のあり方が面接場面に出現してくる。
クライエントさんは、ふだん抱えている不安やおそれ、怒り、攻撃など、日常生活の中で周囲の人に出すと危険な感情をカウンセラーにぶつける。
その時、カウンセラーは、面接場面で、クライエントさんの感情に巻き込まれ、フラフラの状態になりながらも、言い逃れや報復などはせずに、生き残ること、が大切になる、と精神分析は説明する。
カウンセラーが、クライエントさんの激しい感情の渦の中に巻き込まれながらも、専門家として、辛く、苦しいであろうクライエントさんの心情を少しでも理解をして、その場に、生き残る、ことが重要な仕事になる。
クライエントさんは、ふだんは周囲に感情をぶつけて、失敗し、傷ついている経験が多いだろうが、面接場面でカウンセラーに感情をぶつけても、人間関係が壊れないことを経験する。
クライエントさんが日常生活で、フロイトさんのいう、反復、をしてきた人間関係の破綻が、面接場面では破綻しないことを経験することで、クライエントさんの辛く、苦しい反復に変化が起こる可能性が生じる。
ここが、カウンセラーの堪えどころであり、勝負どころだろう。
カウンセラーが、面接場面で生き残ること、は、カウンセラーを護ると同時に、クライエントさんをも護る。
クライエントさんは、その護りの中で、それまでの辛く、苦しい反復を少しだけ変化させ、日常生活での人間関係が変化することに繋がるかもしれない。
カウンセラーが、面接場面で、生き残ること、は、このようにクライエントさんの心的成長にとても大切な仕事なのだろうと思われる。 (2024.10 記)