どうもこんばんは~、そうだいです。いや~、年があけてからずっと晴天が続いている関東地方なんですが、やっぱり風は冷たいですねぇ! まさに身を切るような寒さですよ。
私が所属している劇団・三条会の下北沢ザ・スズナリ公演『冬物語』、大好評上演中でございます! 観に来ていただいたお客様にはずいぶんと喜んでいただいているようでよかった。私は今回、役者ではないわけなんですが、お客様に近い場所でスタッフ作業をやっているので、そういった空気がじかに伝わってくるのは本当にうれしいですね。
明日と最終日のあさってはそれぞれ2回公演。土日ですから、観に来られる方はほんとに観にいらしてちょーだい! 損はさせないぜ~。
さぁ、そんな感じで連日、東京にかよっている私なんですが、もういいかげん、ひっぱってもいられないのでやっちゃおうか、あれ!
ということで、今回は『仮面ライダーTHE NEXT』のお話だ~い。
《去年までのあらすじ》
伝統ある日本特撮ヒーローの代表選手「仮面ライダー」シリーズ。その記念すべき第1作『仮面ライダー』(1971~73年)の21世紀版リメイク映画『仮面ライダーTHE FIRST』(2005年)は、その意欲的なチャレンジ魂もむなしく、制作陣の足並みの乱れによってあんまりおもしろくない作品にしあがってしまった!
しかし『THE FIRST』の失敗を無駄にしてはならない! はたして、2007年に制作されたリメイク第2弾『仮面ライダーTHE NEXT』は、前作のリベンジを見事なしとげることができるのか!? がんばれ、仮面ライダー1号と2号! がんばれ、仮面ライダーぶいすりゃあ~!!
とまぁ、あらすじは『THE NEXT』の期待感をふくらませる仕立てにしてみたんですが……
『仮面ライダーTHE NEXT』。これもまた、結論から言っちゃうと、見事なまでの失敗作になっちったのよね~! 失敗の理由が前作以上に明解なので、文句なしの玉砕。
まず最初に失敗のポイントだけを申しておきますと、それはもう、「ストーリーが仮面ライダーものである必要性がない!」。ただこの一言につきるでしょう。あちゃ~。
この、2007年に制作された『仮面ライダーTHE NEXT』は、正確に言うと、TV版『仮面ライダー』だけのリメイク作ではありません。
『THE NEXT』は、2年前に公開された『THE FIRST』の続編なのですが、お話のだいたい半分の要素が『仮面ライダー』の次作『仮面ライダーV3』(1973~74年)から取り入れられているのです。
『THE NEXT』の脚本も、『THE FIRST』に引き続いて「平成仮面ライダーシリーズの生みの親」井上敏樹が担当。ストーリーの大筋はオリジナルなのですが、複数のショッカー製「にせ仮面ライダー」が登場するくだりは石ノ森章太郎によるマンガ版『仮面ライダー』から。そして、今回メインをはるショッカーの改造人間は、『V3』に登場したショッカーにかわる悪の組織「デストロン」の人気改造人間、ハサミジャガー(シザーズジャガー)とノコギリトカゲ(チェーンソーリザード)のお2人。それぞれ、今回のリメイクにあたって名前がカッコいい英語読みになっているのがイッカしてるぅ~!
何よりも、仮面ライダー1号・2号に加えてあらたなヒーロー・仮面ライダーV3が活躍するところが、『仮面ライダーTHE NEXT』のいちばんのみどころになっているんですね。
こう説明すると、「この映画は仮面ライダーV3が主人公なのか?」と思われる方もおられるでしょうし、実際に私も作品を観るまではそうなんじゃないかと思っていたのですが、フタを開けてみるとさにあらず。
『THE NEXT』は、前作以上に「仮面ライダー1号」こと本郷猛が主人公になっている映画だったんですねぇ! これは私としても非常にうれしかった。
前作に引き続いて本郷猛を演じた黄川田将也は、オリジナルの藤岡弘、版とはまったく異なる繊細なイメージの本郷を好演しています。
自分が常人でない改造人間であることをひた隠しにして高校教師として生活している本郷だったのですが、その存在をうとましく思うショッカーは、仮面ライダー1号以上の能力を持った「にせ仮面ライダー」などの刺客を容赦なく送り込みます。
人類の未来を守るために命をかけていながら、自分がヒーローであることを世間におおっぴらにできない本郷猛。なぜなら、世間の人々にとってはショッカーの改造人間も仮面ライダー1号もおんなじ「異形の者」であることに違いはないからなのです。どっちも気味の悪い、あんまりそばでガチャガチャ騒いでほしくない人たちなんですね。
そういったむくいのない闘いの日々の中でも、ささやかな理解者を得ながらけなげに生きていく黄川田将也の本郷猛は、非常に味わいのあるたたずまいの名キャラクターに成長していました。
はっきり言っちゃうと、私にとって『THE NEXT』中、唯一評価できた点がこの黄川田さんの部分でした。ここだけはとっても良かった。
さてさて、あとはなんと言いますか……
ストーリーについて言うと、この『仮面ライダーTHE NEXT』は、ホラー映画になっているんです。
世間で大人気のアイドル歌手の周辺に巻き起こる謎の連続殺人事件、といったあたりが物語の大筋なんですが、なーんかショッカーらしくないんだよなぁ、事件のすすみ具合が!
それもそのはず、一連の事件を起こしたのはショッカーではなく、ショッカーが生み出して廃棄した実験体の怨霊だったのです。
ショッカーの超科学によって「人を呪い殺す」能力を手に入れてしまった実験体は、ショッカーの意図を離れて世間に災いを起こしはじめ……
はい~、もうショッカー関係ありませんね! まんまホラー映画。
そんな怨霊はほっといてこつこつと作戦を進めるショッカー改造人間のハサミとノコギリだったのですが、話の流れの半分を、あの「貞子の孫のいとこの姪っ子の娘の友だち」みたいなお化けに持ってかれてしまってるので、ど~にもパッとしないんだなぁ!
『THE NEXT』の制作にあたっては、監督が「平成仮面ライダーシリーズ」の多くを手がけた新鋭・田崎竜太にかわったこともあったため、同じく平成特撮ヒーローを作りあげてきた井上脚本との意思の統一はスムースにできていたようです。
『THE NEXT』のテーマは、「仮面ライダー初期シリーズの『怪奇性』の復活」というものでした。
まだまだ子どもたちのヒーローとして認知されていなかったころの仮面ライダーは、さきほどに言った本郷猛のジレンマのように、普通の人々の知らない夜の闇にまぎれて異形の者同士が血みどろの肉弾戦を繰り広げるといった雰囲気のものだったのです。
予算がなかったというのが主な原因だったのでしょうが、照明もとぼしい夜中の廃ビルで緑色の仮面ライダーと全身黒タイツみたいなかっこうの改造人間が取っ組み合う初期のアクションは、いったいどっちが人類の味方なのか全然わからない怖さに満ちていました。
人々が容赦なくショッカーの毒牙にかかって殺されていくハードな展開など、『仮面ライダー』の本質に「怪奇」「猟奇」テイストがあったことは間違いありません。まだまだシリーズ化されることなんか想像すらされていなかった時期特有の、荒削りな必死さが生み出した魅力でした。
そんな「仮面ライダーのホラーテイスト」を復活させることを看板にかかげた『THE NEXT』だったわけなんですが。
ちーがうんだよなぁ、「ホラー」の意味が!!
もう、ちょっとでも『THE NEXT』の恐いシーンを観ていただいたらわかると思うんですけど、怖さがまんま「Jホラー」とか言われてた当時大流行の恐怖映像演出の、オリジナリティのまったくないコピーなの!
気がついたら、うしろに黒髪の女が立っていて「バァ!」って、あんた……もう見飽きてるんですけど。
要するに、『THE NEXT』の監督と脚本は、「こわい仮面ライダー」を作るために怖さをよそから輸血しすぎて、「仮面ライダー」のテイストをかぎりなくゼロに近いうすさにしちゃったのね。ザッツ本末転倒ベイベー!
あわれなり、『THE NEXT』……せっかく前作に引き続いてノリノリのキャラクターリファインとスーツアクションだったのに、今度は制作陣がこぞって「別に仮面ライダーもショッカーも出てこなくていい」作品にしてしまったために、またもやむくわれない結果になってしまいました……
特に、ハサミジャガー役のスーツアクターさんのアクションが良かったのになぁ。とても特殊スーツを着ているとは思えないスピードなんですよ、身体の動きが! 『THE NEXT』は殺陣が本当に見応えがあります。
惜しいなぁ。やっぱり実験的すぎた井上脚本に不満が残りましたね。
「せっかくの劇場版なのだから、ふだんの平成TVシリーズでできないことに挑戦したい。」
という理念はいいんですが、なにもそれを伝統ある仮面ライダー1号や2号、V3のリメイク作品でやらなくてもいいだろう? という感想が残ります。
また、『THE NEXT』にかぎって言うと、敵組織であるショッカーの物語内でのあつかいがちょっとぞんざいすぎるという点もあったかと思います。
ハサミジャガー(演・田口トモロヲ)やノコギリトカゲ(演・益子梨恵 女改造人間!)のキレた演技はいいんですが、なぜ彼らがキレているのかの説明がいっさいないために、ただの頭のおかしい悪人にしか見えないんですね。なぜ彼らがショッカーに所属して熱心に勤務しているのかが全然わかんない。
つまるところ、組織としてのショッカーの魅力が見えてこないんです。悪人ばっかりとはいえ、そこらへんの「悪なりの美学」から感じ取られる魅力はあってほしかったのですが、『THE NEXT』のショッカーは、おかしなチンピラの集まりでしかありませんでした。
あとね、これも言いたいんだけど、いくら元気だからと言っても、いい加減に「ショッカー大首領の声」を納谷悟朗さんにやってもらうの、もうやめたら?
だって納谷さん、『THE NEXT』の制作された2007年には78歳だったんだぜ!? ぜんっぜん恐くないよ、おじいちゃんなんだもん……
納谷さんがTV版『仮面ライダー』で大首領の声をやってた時は、42歳だったんだからね。そりゃあ威厳も怖さもありましたよ、そのころは。
前作の天本英世さんもそうなんだけど、ご本人が万全でないのにムリヤリ作品に出演させる手法は本当にやめていただきたい! そんなんで、かつての全盛期だったころのキャスティングに勝てるわけないじゃん。
もちろん、オリジナルを演じた方々への敬意は絶対に忘れてはいけないんですが、作品のクオリティを考えるのならば、思い切ったキャスティング変更も必要なんじゃないのでしょうか。あんたのことだよ!ルパ~ンしゃ~んしぇい。
話を戻しますが、そんなわけで『仮面ライダーTHE NEXT』もあえなく散っていったのでした……合掌。
さぁ、今年の春に公開されるという「仮面ライダー1号メインの新作映画」は、いったいどんな出来になるのかな!?
王道のヒーローアクションをみせつけて、ぜひとも『仮面ライダーTHE FIRST』&『THE NEXT』のみたまを成仏させていただきたいものです。
期待してますよっ!!
私が所属している劇団・三条会の下北沢ザ・スズナリ公演『冬物語』、大好評上演中でございます! 観に来ていただいたお客様にはずいぶんと喜んでいただいているようでよかった。私は今回、役者ではないわけなんですが、お客様に近い場所でスタッフ作業をやっているので、そういった空気がじかに伝わってくるのは本当にうれしいですね。
明日と最終日のあさってはそれぞれ2回公演。土日ですから、観に来られる方はほんとに観にいらしてちょーだい! 損はさせないぜ~。
さぁ、そんな感じで連日、東京にかよっている私なんですが、もういいかげん、ひっぱってもいられないのでやっちゃおうか、あれ!
ということで、今回は『仮面ライダーTHE NEXT』のお話だ~い。
《去年までのあらすじ》
伝統ある日本特撮ヒーローの代表選手「仮面ライダー」シリーズ。その記念すべき第1作『仮面ライダー』(1971~73年)の21世紀版リメイク映画『仮面ライダーTHE FIRST』(2005年)は、その意欲的なチャレンジ魂もむなしく、制作陣の足並みの乱れによってあんまりおもしろくない作品にしあがってしまった!
しかし『THE FIRST』の失敗を無駄にしてはならない! はたして、2007年に制作されたリメイク第2弾『仮面ライダーTHE NEXT』は、前作のリベンジを見事なしとげることができるのか!? がんばれ、仮面ライダー1号と2号! がんばれ、仮面ライダーぶいすりゃあ~!!
とまぁ、あらすじは『THE NEXT』の期待感をふくらませる仕立てにしてみたんですが……
『仮面ライダーTHE NEXT』。これもまた、結論から言っちゃうと、見事なまでの失敗作になっちったのよね~! 失敗の理由が前作以上に明解なので、文句なしの玉砕。
まず最初に失敗のポイントだけを申しておきますと、それはもう、「ストーリーが仮面ライダーものである必要性がない!」。ただこの一言につきるでしょう。あちゃ~。
この、2007年に制作された『仮面ライダーTHE NEXT』は、正確に言うと、TV版『仮面ライダー』だけのリメイク作ではありません。
『THE NEXT』は、2年前に公開された『THE FIRST』の続編なのですが、お話のだいたい半分の要素が『仮面ライダー』の次作『仮面ライダーV3』(1973~74年)から取り入れられているのです。
『THE NEXT』の脚本も、『THE FIRST』に引き続いて「平成仮面ライダーシリーズの生みの親」井上敏樹が担当。ストーリーの大筋はオリジナルなのですが、複数のショッカー製「にせ仮面ライダー」が登場するくだりは石ノ森章太郎によるマンガ版『仮面ライダー』から。そして、今回メインをはるショッカーの改造人間は、『V3』に登場したショッカーにかわる悪の組織「デストロン」の人気改造人間、ハサミジャガー(シザーズジャガー)とノコギリトカゲ(チェーンソーリザード)のお2人。それぞれ、今回のリメイクにあたって名前がカッコいい英語読みになっているのがイッカしてるぅ~!
何よりも、仮面ライダー1号・2号に加えてあらたなヒーロー・仮面ライダーV3が活躍するところが、『仮面ライダーTHE NEXT』のいちばんのみどころになっているんですね。
こう説明すると、「この映画は仮面ライダーV3が主人公なのか?」と思われる方もおられるでしょうし、実際に私も作品を観るまではそうなんじゃないかと思っていたのですが、フタを開けてみるとさにあらず。
『THE NEXT』は、前作以上に「仮面ライダー1号」こと本郷猛が主人公になっている映画だったんですねぇ! これは私としても非常にうれしかった。
前作に引き続いて本郷猛を演じた黄川田将也は、オリジナルの藤岡弘、版とはまったく異なる繊細なイメージの本郷を好演しています。
自分が常人でない改造人間であることをひた隠しにして高校教師として生活している本郷だったのですが、その存在をうとましく思うショッカーは、仮面ライダー1号以上の能力を持った「にせ仮面ライダー」などの刺客を容赦なく送り込みます。
人類の未来を守るために命をかけていながら、自分がヒーローであることを世間におおっぴらにできない本郷猛。なぜなら、世間の人々にとってはショッカーの改造人間も仮面ライダー1号もおんなじ「異形の者」であることに違いはないからなのです。どっちも気味の悪い、あんまりそばでガチャガチャ騒いでほしくない人たちなんですね。
そういったむくいのない闘いの日々の中でも、ささやかな理解者を得ながらけなげに生きていく黄川田将也の本郷猛は、非常に味わいのあるたたずまいの名キャラクターに成長していました。
はっきり言っちゃうと、私にとって『THE NEXT』中、唯一評価できた点がこの黄川田さんの部分でした。ここだけはとっても良かった。
さてさて、あとはなんと言いますか……
ストーリーについて言うと、この『仮面ライダーTHE NEXT』は、ホラー映画になっているんです。
世間で大人気のアイドル歌手の周辺に巻き起こる謎の連続殺人事件、といったあたりが物語の大筋なんですが、なーんかショッカーらしくないんだよなぁ、事件のすすみ具合が!
それもそのはず、一連の事件を起こしたのはショッカーではなく、ショッカーが生み出して廃棄した実験体の怨霊だったのです。
ショッカーの超科学によって「人を呪い殺す」能力を手に入れてしまった実験体は、ショッカーの意図を離れて世間に災いを起こしはじめ……
はい~、もうショッカー関係ありませんね! まんまホラー映画。
そんな怨霊はほっといてこつこつと作戦を進めるショッカー改造人間のハサミとノコギリだったのですが、話の流れの半分を、あの「貞子の孫のいとこの姪っ子の娘の友だち」みたいなお化けに持ってかれてしまってるので、ど~にもパッとしないんだなぁ!
『THE NEXT』の制作にあたっては、監督が「平成仮面ライダーシリーズ」の多くを手がけた新鋭・田崎竜太にかわったこともあったため、同じく平成特撮ヒーローを作りあげてきた井上脚本との意思の統一はスムースにできていたようです。
『THE NEXT』のテーマは、「仮面ライダー初期シリーズの『怪奇性』の復活」というものでした。
まだまだ子どもたちのヒーローとして認知されていなかったころの仮面ライダーは、さきほどに言った本郷猛のジレンマのように、普通の人々の知らない夜の闇にまぎれて異形の者同士が血みどろの肉弾戦を繰り広げるといった雰囲気のものだったのです。
予算がなかったというのが主な原因だったのでしょうが、照明もとぼしい夜中の廃ビルで緑色の仮面ライダーと全身黒タイツみたいなかっこうの改造人間が取っ組み合う初期のアクションは、いったいどっちが人類の味方なのか全然わからない怖さに満ちていました。
人々が容赦なくショッカーの毒牙にかかって殺されていくハードな展開など、『仮面ライダー』の本質に「怪奇」「猟奇」テイストがあったことは間違いありません。まだまだシリーズ化されることなんか想像すらされていなかった時期特有の、荒削りな必死さが生み出した魅力でした。
そんな「仮面ライダーのホラーテイスト」を復活させることを看板にかかげた『THE NEXT』だったわけなんですが。
ちーがうんだよなぁ、「ホラー」の意味が!!
もう、ちょっとでも『THE NEXT』の恐いシーンを観ていただいたらわかると思うんですけど、怖さがまんま「Jホラー」とか言われてた当時大流行の恐怖映像演出の、オリジナリティのまったくないコピーなの!
気がついたら、うしろに黒髪の女が立っていて「バァ!」って、あんた……もう見飽きてるんですけど。
要するに、『THE NEXT』の監督と脚本は、「こわい仮面ライダー」を作るために怖さをよそから輸血しすぎて、「仮面ライダー」のテイストをかぎりなくゼロに近いうすさにしちゃったのね。ザッツ本末転倒ベイベー!
あわれなり、『THE NEXT』……せっかく前作に引き続いてノリノリのキャラクターリファインとスーツアクションだったのに、今度は制作陣がこぞって「別に仮面ライダーもショッカーも出てこなくていい」作品にしてしまったために、またもやむくわれない結果になってしまいました……
特に、ハサミジャガー役のスーツアクターさんのアクションが良かったのになぁ。とても特殊スーツを着ているとは思えないスピードなんですよ、身体の動きが! 『THE NEXT』は殺陣が本当に見応えがあります。
惜しいなぁ。やっぱり実験的すぎた井上脚本に不満が残りましたね。
「せっかくの劇場版なのだから、ふだんの平成TVシリーズでできないことに挑戦したい。」
という理念はいいんですが、なにもそれを伝統ある仮面ライダー1号や2号、V3のリメイク作品でやらなくてもいいだろう? という感想が残ります。
また、『THE NEXT』にかぎって言うと、敵組織であるショッカーの物語内でのあつかいがちょっとぞんざいすぎるという点もあったかと思います。
ハサミジャガー(演・田口トモロヲ)やノコギリトカゲ(演・益子梨恵 女改造人間!)のキレた演技はいいんですが、なぜ彼らがキレているのかの説明がいっさいないために、ただの頭のおかしい悪人にしか見えないんですね。なぜ彼らがショッカーに所属して熱心に勤務しているのかが全然わかんない。
つまるところ、組織としてのショッカーの魅力が見えてこないんです。悪人ばっかりとはいえ、そこらへんの「悪なりの美学」から感じ取られる魅力はあってほしかったのですが、『THE NEXT』のショッカーは、おかしなチンピラの集まりでしかありませんでした。
あとね、これも言いたいんだけど、いくら元気だからと言っても、いい加減に「ショッカー大首領の声」を納谷悟朗さんにやってもらうの、もうやめたら?
だって納谷さん、『THE NEXT』の制作された2007年には78歳だったんだぜ!? ぜんっぜん恐くないよ、おじいちゃんなんだもん……
納谷さんがTV版『仮面ライダー』で大首領の声をやってた時は、42歳だったんだからね。そりゃあ威厳も怖さもありましたよ、そのころは。
前作の天本英世さんもそうなんだけど、ご本人が万全でないのにムリヤリ作品に出演させる手法は本当にやめていただきたい! そんなんで、かつての全盛期だったころのキャスティングに勝てるわけないじゃん。
もちろん、オリジナルを演じた方々への敬意は絶対に忘れてはいけないんですが、作品のクオリティを考えるのならば、思い切ったキャスティング変更も必要なんじゃないのでしょうか。あんたのことだよ!ルパ~ンしゃ~んしぇい。
話を戻しますが、そんなわけで『仮面ライダーTHE NEXT』もあえなく散っていったのでした……合掌。
さぁ、今年の春に公開されるという「仮面ライダー1号メインの新作映画」は、いったいどんな出来になるのかな!?
王道のヒーローアクションをみせつけて、ぜひとも『仮面ライダーTHE FIRST』&『THE NEXT』のみたまを成仏させていただきたいものです。
期待してますよっ!!