長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

『怪奇大作戦』、またリメイクされるんですかそうですか  ~愛のままにわがままに資料編~

2013年09月29日 22時43分58秒 | 特撮あたり
『怪奇大作戦』新作放送へ BSプレミアム……女性に照準、ホラー色強く
 (読売オンライン 2013年8月21日付け記事などより)

 円谷プロが1968~69年に制作した特撮ドラマ『怪奇大作戦』の現代版『怪奇大作戦 ミステリー・ファイル』が10月、BSプレミアムで放送される。
 女性視聴者を意識したホラー色の強い娯楽作で、同チャンネルの新機軸を目指す。

 『怪奇大作戦』は、1968年9月から69年3月まで TBS系で放送された。『ウルトラマン』などのウルトラシリーズで知られる円谷プロの作品ながら、変身ヒーローも怪獣も登場しない。超常現象が絡むさまざまな事件を、岸田森らが演じた科学捜査研究所( SRI)のメンバーが科学知識を駆使して解決。ウルトラシリーズとは一線を画した大人向けの作品として、今もファンが多い。
 2007年には NHKと円谷プロで、設定を引き継いだ新作『怪奇大作戦 セカンドファイル』を共同制作し、当時の BSハイビジョンで放送した。 Jホラーの気鋭である清水崇や中田秀夫らが演出を担当。人体の自然発火や植物化、さらにタイムスリップをテーマに3話が制作された。

 『ミステリー・ファイル』が制作されることになった背景には、 BSプレミアムの事情もある。 NHKでは、2011年4月に3波あった BS放送を、BS1 と BSプレミアムの2波に再編。 BSプレミアムは女性層からも支持される娯楽チャンネルを目指そうと、ドキュメンタリードラマなど、さまざまな新機軸の試みを続けている。そんな中で、当時30~40代の女性から支持された『セカンドファイル』に目をつけ、新作の制作に踏み切った。
 今回は、『セカンドファイル』で西島秀俊、田中直樹(ココリコ)らが演じた SRIの隊員を一新。上川隆也、原田泰造らが演じるほか、所長役も岸部一徳から原田美枝子に交代し、4話を制作する。演出は、映画監督を中心にベテランから若手までバラエティーに富んだ顔触れを起用。

 西村崇エグゼクティブ・プロデューサーは、「同じメンバーだと続編に位置付けられ、縛られてしまうので女性視聴者を意識してキャストを変えた。どれもホラーテイストで、科学的なトリックを暴く中で、人の心の闇を描いた。」と話している。

 各回の概要は以下の通り。

第1話『血の玉』(脚本・小林弘利、演出・田口清隆)
 森の中でミイラ化した遺体が見つかり、調査に訪れた SRIの隊員らは、宙に浮かぶ巨大な赤い玉に遭遇する。

第2話『地を這う女王』(脚本・中野貴雄、演出・緒方明)
 インターネットカフェの個室で、ハッカーの白骨死体が発見された。骨の表面には無数の傷があり、 SRIはある動物がかかわっていると推理する。

第3話『闇に蠢く美少女』(脚本・黒沢久子、演出・タナダユキ)
 人気子役の菜々が心臓をえぐり取られた殺人事件から20年。菜々に似た少女に噛まれた人間が液状化して死ぬ事件が相次ぐ。

第4話『深淵を覗く者』(脚本・小林弘利、演出・鶴田法男)
 橋の上でつむじ風に巻きこまれた女性が妖怪のかまいたちに襲われたような傷を負って死亡。類似事件が次々起こり、警察は SRI所員の牧史郎(上川隆也)を疑う。



『怪奇大作戦(かいきだいさくせん)』とは!?

 円谷プロダクションが制作し、TBS系列で1968年9月15日から翌69年3月9日まで毎週日曜日19時00~30分に全26話が放送された、特撮ホラーミステリー TVドラマである。

 現代社会に発生する謎の科学犯罪に挑戦する「 SRI(科学捜査研究所)」のメンバーたちの活躍と苦闘を描く。
 毎回描かれる怪奇現象が、実は人間の手によって引き起こされた科学犯罪であり、これに立ち向かう正義の捜査チームという図式で構成されているのが特徴である。同時に、社会に疑問を投げかけるような重いテーマの込められたエピソードもある。怪獣や超人、超兵器が出現するわけではないが、いまだに根強く多数の特撮ファンを魅了し続けている作品である。ただし、作中の科学的な説明は多分に SF的要素を含んでおり、実際には実現が困難なものや、原理が不明なまま説明が終わるケースも少なくない。また、第6話『吸血地獄』や第26話『ゆきおんな』のように、科学では説明できない存在が登場することもある。

 怪獣や超兵器が登場するような派手な特撮ではなく、光学合成技術を駆使して、科学犯罪をリアルに表現する「本編に溶け込んだ特撮」が目標とされた。本作で TBSから支給された制作費は、1クール13本につき6900万円(1話あたり530万円)。これはこれまでの円谷プロの空想特撮シリーズ3部作(『ウルトラQ』、『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』)とほぼ変わらない破格の予算であり、知名度の高いレギュラー出演者やゲストが集められた。
 こうして本編では、ほぼ毎回のように近未来的な科学技術による殺人事件が描かれ、陰惨でグロテスクな描写も少なくなかった。2013年現在では日曜日の19時台にこのような内容が放送されることは考えられないが、放送局側も当時の「妖怪ブーム」などの影響で、「人間が溶解する」などといったショッキングなシーンに視聴者の興味が集まると見て、むしろそういった趣向を円谷プロ側に積極的に提案していた。平均視聴率は22.0%で、これは十分にヒット番組といえる数字だったが、放送枠「タケダアワー」の合格ラインは非常に高く(一説によると「平均視聴率25% 以上」)、第1クールの放映終了時期に「延長措置なし」の判断が下された。

 監修の円谷英二は、『透明人間現わる』(1949年)、『透明人間』(1954年)、『美女と液体人間』(1958年)、『電送人間』(1960年)、『ガス人間第一号』(1960年)など、一連の「変身人間」による犯罪を描いた映画で特技監督を担当しており、円谷プロには得意とするミニチュアワーク以外にも、この種の特撮ノウハウの蓄積があった。


SRI(科学捜査研究所)とは……

 SRI(Science Research Institute エスアールアイ)とは、警察の捜査では解決不可能と判断された怪奇事件を、独自に開発した機械等を駆使して科学的に再捜査する民間組織である。したがって、全国の警察本部に実際に設置されている公的研究機関「科学捜査研究所(いわゆる科捜研)」とは全く系統が違う。
 劇中では警察の依頼によって活動するか警察との共同捜査である場合が多いが、あくまでも民間という位置づけであるために、警察と同等の権限は持っていない。また、劇中に登場した主要メンバーの他に、一般の研究員も複数名所属しているという設定がある。


レギュラー登場人物

的矢 忠(まとや ただし)
 SRI 所長。元警視庁鑑識課長で、経験を生かして SRIを創設した人物。48歳。警視庁捜査一課長の町田警部とは旧知で、お互いを「町やん」「的やん」と呼び合う仲である。第19話『こうもり男』で妻の敏子と息子の浩一が登場している。全話に登場。

牧 史郎(まき しろう)
 SRI の頭脳的存在。常に冷静沈着な科学の信奉者。1941年12月8日生まれの28歳。父親を科学犯罪で失った過去を持つため、誰よりも強く犯罪を憎んでいる。当時、警視庁鑑識課長で父親の事件を担当した的矢の誘いで SRIに入所した。初期はトリックの解明に没頭するあまり周囲を省みない冷血漢のように描かれていたが、次第に人間味のある一面も見せるようになった。幼い頃に、チエコと言う名の姉を戦争で亡くしている。全話に登場。

三沢 京助(みさわ きょうすけ)
 直情型の熱血漢。24歳。防衛大の出身で肉体派だが、科学知識も豊富で研究室に白衣で立つ姿も多い。情にもろい。愛称は助さん。
 設定では、大学時代にラグビーの試合中の事故で相手を半身不随にしてしまったことから自責の念に駆られ、ラグビーも大学も辞めてしまったところを的矢に誘われて SRIに入ったことになっている。全話に登場。

野村 洋(のむら ひろし)
 SRI の若手メンバー。少々おっちょこちょいだが、フットワークの軽さが売りのムードメーカー。戦後生まれの21歳。愛称はノムだが、小川さおりからはノンちゃんと呼ばれている。軽はずみな発言をしてよく牧たちから咎められる。第18話『死者がささやく』にのみ登場せず。

小川 さおり(おがわ さおり)
 基本的には事務所詰めだが、時には現場でも活躍する SRIの紅一点。戦後生まれの19歳。愛称はサー坊。少々、無邪気な面もある。考古学者の父親がいる(劇中には未登場)。第16話『かまいたち』ではかなり危険な通り魔犯罪の囮捜査を買って出たこともあり、第21話『美女と花粉』では犯人を推理して尾行した。第6話『吸血地獄』と第23話『呪いの壺』には登場せず。

町田 大蔵(まちだ たいぞう)
 殺人や強行犯罪を扱う警視庁捜査第一課の課長。階級は警部。48歳。警視庁鑑識課長時代の的矢の同僚で、警察と SRIの橋渡し的存在であり、事件捜査の協力依頼も彼が行うことが多い。警視庁の警察官歴は太平洋戦争開戦1941年12月8日以来の27年。第3話『白い顔』、第9話『散歩する首』、第22話『果てしなき暴走』には登場していない。

次郎(じろう)
 主に序盤のエピソードで、SRI に出入りしてメンバーの助手を務めていた少年。11才。野村と行動することが多かった。しかし犯罪ドラマの物語に絡みにくかったのか、第1~3話に登場した後、第11話『ジャガーの眼は赤い』を最後に姿を消す。シナリオ上は第4話『恐怖の電話』、第5話『死神の子守唄』、第7話『青い血の女』でも活躍する予定だった。


SRI の専用車両
トータス号
 スバル・サンバー360をベースにボディを新造し、各種特殊装備を搭載した小型車両。野村が乗用することが多い。
 「陸亀」の名の通り強固なボディを持つが、小型であるため定員は2名。劇中ではオープンカー仕様になっている。
 第22話『果てしなき暴走』では、三沢が使用していたトータス号を盗んだフーテンのアベックが神経ガスの犠牲となって暴走し、歩行中の女子大生を轢き逃げして死亡させるといういたましい事故を引き起こしてしまった。

トヨタ・クラウン
 通常のトヨタ・クラウンに通信装置などを取り付けたもの。トータスとは対照的に居住性を優先し、大掛かりな特殊装備は搭載されていない。外観も SRIのマークが描かれている以外は普通の乗用車と変わらず、三沢や的矢が通勤の際に使用することもある。
 第22話『果てしなき暴走』では運転席に緊急用の脱出装置を搭載した試験車両が登場し、神経ガスの採集に使用された。
 なお、SRI は地方への出張時は現地で用意されたと思われる車両を使用している。


SRI の装備

SRI ジャケット
 牧・三沢・野村が携行する防護服。防毒・耐熱・耐ガス・防弾・耐寒・防刃・衝撃吸収性などを合わせ持つ特殊繊維で作られており、様々な場面で優れた効果を発揮する。この特殊繊維は牧が独自に開発した。通常はコンパクトに折りたたまれて携帯ケースに収納されており、必要に応じて取り出す。第2クールでは使用頻度が極端に低下した。
 腰丈のジャケットスタイルで、背広の上から着用できるようにオーバーサイズに作られている。
 フード部分は絞り紐を内蔵しており、それを結んで固定する。
 左肩部に SRIの刺繍パッチがある。
 携行ケースは縦10cm×幅15cm×厚さ3cm程。色は黒もしくは濃い灰色で、背広の裾に隠すように、ベルトの右腰部に常時装着されている。ジャケットは圧縮して収納されている。ガスカートリッジの圧力を用いたジャケットの射出機能を有しており、ケースの右端から出た紐を引くことにより、左端の開口部から射出される。ジャケットは空気との衝突で自動的に展開され減速するため、着用者は容易に掴んで着用することができる。

ケミカルメース(ケミカルスプレー)
 拳銃型のスプレー。各種薬品を発射することが可能。当時の少年雑誌などでは大々的に紹介されていたが、実際には第2話の『人喰い蛾』の「初号試写版」と第8話『光る通り魔』でしか使用されなかった。

サンビーム500(ごひゃく)
 高出力のレーザーガン。冷凍人間・岡崎を溶解させた。
パーフェクトライト
 牧が作った大型のライト。密輸団が瀬戸内海に仕掛けた亡霊のトリックを見破った。
スペクトル破壊機
 ペンライト型の小型光線銃。牧が怪盗キングアラジンの壁抜けを無効にした。
メジャー型特殊グリップ
 メジャー型の特殊グリップ。格闘時に捕縄のように使用して相手を取り押さえる。
小型撮影機
 ピストル型の撮影機。セスナ機から脱出した怪盗キングアラジンを撮影した。
発信機
 ベルトのバックルに内蔵されており、緊急時に所在地を本部に知らせることが出来る。
ペンライト
 小型ながら強力な照射力を持つ。暗闇での調査活動で多用された。
小型カメラ
 ライター型のカメラ。所員が隠し撮りに使用する。


主なキャスティング
牧史郎    …… 岸田 森(28歳)
三沢京助   …… 勝呂 誉(28歳)
的矢忠所長  …… 原 保美(53歳)
野村洋    …… 松山 政路(21歳)
小川さおり  …… 小橋 玲子(15歳)
町田大蔵警部 …… 小林 昭二(38歳)

主なスタッフ
監修        …… 円谷 英二(67歳 番組終了の翌1970年に死去)
特殊技術      …… 的場徹、大木淳、高野宏一、佐川和夫
音楽        …… 玉木 宏樹
エンディング主題歌 …… 『恐怖の町』(作詞:金城哲夫、作曲:山本直純、歌唱:サニー・トーンズ)
制作        …… 円谷プロダクション、TBS
制作協力      …… 京都映画(第23・25話のみ)
提供        …… 武田薬品


放映リストと事件の内容

1968年
9月15日 第1話『壁ぬけ男』 脚本・上原正三、監督・飯島敏宏
 特殊繊維による「壁抜け」
 スペクトル破壊器

 22日 第2話『人喰い蛾』 脚本・金城哲夫、監督・円谷一
 人間を溶かすチラス菌を持つ毒蛾
 ※当初は第1話としての放送を想定して制作されたエピソードだったが、初号試写の際に円谷英二からリテイクを命じられて追加シーンの撮影・編集や合成のやり直し・BGMの一部差し替えなどが行われたために完成が遅れ、第2話として放送されることになった。

 29日 第3話『白い顔』 脚本・金城哲夫&上原正三、監督・飯島敏宏
 高出力レーザーガン(前番組『ウルトラセブン』第11話『魔の山へ飛べ』でワイルド星人が使用した生命カメラのプロップを改造したもの)

10月6日 第4話『恐怖の電話』 脚本・佐々木守、監督・実相寺昭雄
 空中放電装置

 13日 第5話『死神の子守唄』 脚本・佐々木守、監督・実相寺昭雄
 スペクトルG線発射銃

 20日 第6話『吸血地獄』 脚本・金城哲夫、監督・円谷一
 吸血鬼
 ロケ地……別府温泉

 27日 第7話『青い血の女』 脚本・若槻文三、監督・鈴木俊継
 殺人人形

11月3日 第8話『光る通り魔』 脚本・上原正三&市川森一、監督・円谷一
 燐光人間
 亜硫酸ガス
 ロケ地……阿蘇山

 10日 第9話『散歩する首』 脚本・若槻文三、監督・小林恒夫
 浮遊する生首
 ジギタリス

 17日 第10話『死を呼ぶ電波』 脚本・福田純、監督・長野卓
 殺人電波発射テレビ

 24日 第11話『ジャガーの眼は赤い』 脚本・若槻文三、監督・小林恒夫
 ホログラフィ立体映像装置

12月1日 第12話『霧の童話』 脚本・上原正三、監督・飯島敏宏
 落武者の亡霊
 旧日本軍が開発した精神錯乱ガス

 8日 第13話『氷の死刑台』 脚本・若槻文三、監督・安藤達己
 冷凍人間
 サンビーム500

 15日 第14話『オヤスミナサイ』 脚本・藤川桂介、監督・飯島敏宏
 睡眠学習装置

 22日 第15話『24年目の復讐』 脚本・上原正三、監督・鈴木俊継
 水棲人間

 29日 第16話『かまいたち』 脚本・上原正三、監督・長野卓
 真空切断装置

1969年
1月5日 第17話『幻の死神』 脚本・田辺虎男、監督・仲木繁夫
 特殊X線照射装置
 光源体パーフェクトライト
 ロケ地……岡山県倉敷市

 12日 第18話『死者がささやく』 脚本・若槻文三、監督・仲木繁夫
 ユニ・ポリエステル製の指紋手袋

 19日 第19話『こうもり男』 脚本・上原正三、監督・安藤達己
 リモコン蝙蝠
 小型ジェット噴射

 26日 第20話『殺人回路』 脚本・市川森一、監督・福田純
 CRT ディスプレイ(コンピュータ端末としての「CRT ディスプレイ」という呼称は1970年代後半以降のパーソナルコンピュータの普及によって一般的になったが、それ以前の本エピソードでは近未来的な3次元投射装置として描かれている。当時のコンピュータは CRTディスプレイを使用しておらず、紙テープへの出力が一般的だった。)

2月2日 第21話『美女と花粉』 脚本・石堂淑朗、監督・長野卓
 アルコールと反応する熱帯植物の花粉

 9日 第22話『果てしなき暴走』 脚本・市川森一、監督・鈴木俊継
 Gガス(精神錯乱ガス)

 16日 第23話『呪いの壺』 脚本・石堂淑朗、監督・実相時昭雄
 リュート物質

 23日 第24話『狂鬼人間』(現在欠番) 脚本・山浦弘靖、監督・満田穧(かずほ)
 脳波変調機

3月2日 第25話『京都買います』 脚本・佐々木守、監督・実相寺昭雄
 カドニウム光線発振器による物質電送
 ※劇中で使用されたギター曲は、フェルナンド=ソル作曲『モーツァルトの魔笛の主題による変奏曲』(1821年)

 9日 第26話(最終回)『ゆきおんな』 脚本・藤川桂介、監督・飯島敏宏
 雪女
 ロケ地……栃木県那須高原


第24話『狂鬼人間』の欠番について

 深夜の鉄道構内で、白いネグリジェを着た女が自分を捨てた元恋人をダガーナイフで刺し殺すという事件が発生。逮捕された犯人は鑑定の結果、重度の精神異常と判断され、1968年当時の刑法第39条第1項「心神喪失者ノ行為ハ之ヲ罰セス」(現行の刑法では「心神喪失者の行為は、罰しない。」)、つまり「心神喪失者は殺人を犯しても罰せられない」(不起訴となるか、起訴されても無罪判決が出る)の規定により起訴されずに終わった。この事件をはじめとして、同様、かつ、犯人はみな異常な早さで精神病院(当時の呼び方)を退院するという不可解な事件が続発した。町田警部と SRIはそれらの殺人犯が何らかの方法で一時的に精神異常状態になっていたのではと考え捜査を開始した。
 その後、退院した女が今度は恋人を奪った女性をねらって再び殺人を犯し逮捕されたが、今度は鑑定の結果は精神異常ではなく、精神異常のふりをしていただけであった。女の供述から初回は「狂わせ屋」こと美川冴子(演・姫ゆり子)の「脳波変調機」によって、一時的に重度の精神異常となり犯行を実行したことが判明する。美川冴子は、夫と子を殺人歴のある精神異常者に殺害されたが、犯人は再び無罪になったという過去を持っていた。美川冴子の夫は優秀な脳科学者であり、夫の開発した「脳波変調機」を改造して、心神喪失者を野放しにする社会に復讐しようとしていたのだった。
 SRI は、牧とさおり、野村による囮捜査を行うが、冴子にそれを見抜かれてしまい、牧は脳波変調機にかけられてしまう。狂人と化した牧は往来で拳銃を乱射しながら野村を追い回し、危うく殺人犯になりかけるのだが……

 牧史郎役の岸田森は当時、この『狂鬼人間』に相当入れ込んで制作に臨んでおり、岸田の当時の自宅(東京都港区瑞聖寺境内)も撮影に使用されている。
 最初の構想では三沢が主役であったが、勝呂誉のスケジュールの空きが半日しかないことが判明したため、台本は主役を牧に変更して1969年1月16日に完成した。

 公式な欠番理由は不明である。ただし、1995年の LDボックス回収事件以前には欠番ではなく、各放送局側による自主規制での未放送・音声カットであり、各出版物の放送リストには何事も無く載っていた。
 この話を扱った非公式の出版物では、「精神異常者の描写に問題があるため」や「差別用語が頻発するため」などが理由として挙げられるが、いずれも推測の域を出ない。
 メディアファクトリー刊『空想法律読本2』(2003年)では、法律考証の題材として本編が採り上げられている。この中では劇中の容疑者らが本来罪を問われないような心神喪失状態であったと仮定した上で、「明確な殺意を持ち、自らの意志で脳波変調器を使用したこと」を重視して「原因において自由な行為」に当たり、刑法第39条は適用されず殺人事件として扱われると指摘している。また、冴子に関しても共同正犯となる可能性を指摘している。


マンガ版
 少年向けマンガ雑誌『月刊少年ブック』(集英社 現在の『月刊ジャンプスクエア』の遠い源流)で1968年9月~69年2月に連載された。作画は桑田次郎で、第4話以降はオリジナルエピソードになっている。
第1話『蛾』(人喰い蛾)
第2話『死を呼ぶ絵』(殺人回路)
第3話『ふたつの顔の少女』(吸血地獄)
第4話『まぼろし殺人事件』(『ウルトラQ』第25話『悪魔ッ子』のような幽体離脱現象を扱った作品)
第5話『闇からの声』(強力な催眠術により第24話のような犯罪を引き起こす科学者が暗躍する作品)
第6話『死霊の家』(動物の血液を養分とする植物と同化した変身人間が登場する作品)


リメイク作品など

TV スペシャルドラマ『怪奇事件特捜チーム S.R.I 嗤う火だるま男』(2004年9月 BSフジ)
 2004年9月25日(土曜日)22時00~55分に BSフジで放映された特撮スペシャルドラマ。 『怪奇大作戦』の正当な続編にあたる。

主なキャスティング

郷田健  …… 沢村 一樹(37歳)
片桐すず …… 緒川 たまき(33歳)
山本所長 …… 寺田 農(61歳)
天田幸介 …… 宮川 一朗太(38歳)

主なスタッフ

企画   …… 円谷 粲(あきら 60歳)※円谷英二の三男
特殊技術 …… 有村 隆弘
音楽   …… 玉木 宏樹
脚本   …… 上原 正三(67歳)
監督   …… 服部 光則
制作   …… フジテレビジョン


TV ドラマ『ウルトラマンマックス』第24話『狙われない街』(2005年12月 脚本・小林雄次、監督・実相寺昭雄)
 『ウルトラセブン』第8話『狙われた街』(1967年11月 脚本・金城哲夫、監督・実相寺昭雄)の直接の続編にあたる作品。劇中に警察組織の一部として「 P.S.R.I(警察科学研究所)」という施設と研究員1名が登場する。 P.S.R.Iは警察と対怪獣防衛チーム「 DASH(ダッシュ)」の要請で、北川町で発生した連続暴行事件の捜査に着手するが、逆に研究員の松永が錯乱して暴れてしまい、事件解決の手がかりにはなったものの、はかばかしい成果をあげることはできなかった。
 白衣を着た研究員・松永要二郎 …… 堀内 正美(55歳)
 ※この役名は、『ウルトラマンマックス』の前シリーズ作品『ウルトラマンネクサス』(2004~05年)で堀内が演じた特殊防衛機関「 TLT(ティルト)」日本支部管理官の名前「松永要一郎」をもじったものだが、両作品はパラレルワールドの関係にあるため、2つのキャラクターには何の関連もない。


TV ドラマ『怪奇大作戦 セカンドファイル』(2007年4月 全3話 NHKデジタル衛星ハイビジョン)
 2007年4月2日から同月16日まで毎週月曜日22時00~45分に放送。全3話。

 基本設定や登場人物等の固有名詞はオリジナル版『怪奇大作戦』に準じているが、時代設定が2007年現在にリニューアルされているリメイクシリーズである。ただし、 SRI本部内には旧作のサブタイトルが書かれた過去事件の記録ファイルが保管されているが、具体的な関係性は明示されていない。SRI の日本語の名称は、実在する同名の警察機関に配慮して「特殊科学捜査研究所」に変更された。また、旧作では正式な主人公は三沢であったが、『セカンドファイル』では牧に設定されており、各キャラクターの個性もやや異なる。
 監督は、清水崇、中田秀夫ら国際的にも活躍する Jホラーの旗手に加え、実相寺昭雄の愛弟子である北浦嗣巳が担当。本来、第2話は実相寺昭雄本人によって演出される予定だったが、制作準備中に実相寺が逝去したため、当初プロデューサーとして参加していた北浦がこれを引き継いだ。メインタイトルの題字は実相寺によるものである。
 第1話は『怪奇大作戦』第4話『恐怖の電話』、第3話は第21話『美女と花粉』へのオマージュと思わしき演出がなされている。

 『セカンドファイル』における SRIの専用車両は、オリジナル版のトータス号を連想させる定員2名のガルウィングドア式軽自動車マツダ・オートザムAZ-1がベースとなっているが、車体の外観はほぼ原型のままである。

主なキャスティング

牧史郎    …… 西島 秀俊(36歳)
三沢京助   …… 田中 直樹(ココリコ 36歳)
野村洋    …… 青山 草太(27歳)
小川さおり  …… 美波(みなみ 20歳)
的矢忠所長  …… 岸部 一徳(60歳)
町田大蔵警部 …… 寺田 農(64歳)
牧史郎の父  …… 田中 哲司(41歳)※第2話のみの回想シーンでの出演

主なスタッフ

シリーズ構成 …… 実相寺 昭雄(番組放送の前年2006年に死去)
特殊技術   …… 鹿角 剛司
音楽     …… 冬木 透
制作     …… NHKエンタープライズ、円谷プロダクション

放映リスト

2007年4月2日 第1話『ゼウスの銃爪(ひきがね)』 脚本・中野貴雄、監督・清水崇
 4月9日   第2話『昭和幻燈小路』 脚本・実相寺昭雄、監督・北浦嗣巳
 4月16日   第3話『人喰い樹(ひとくいじゅ)』 脚本・小林雄次、監督・中田秀夫


TV ドラマ『怪奇大作戦 ミステリー・ファイル』(2013年10~11月 全4話予定 NHK BSプレミアム)
 2007年の『怪奇大作戦 セカンドファイル』に続く新作シリーズとして、NHK BSプレミアムにて放送される予定。

 基本設定や登場人物等の固有名詞はオリジナル版や『怪奇大作戦 セカンドファイル』を踏襲しているものの、作品はオリジナル版の2度目のリメイクシリーズであって直接の続編ではなく、一部で変更が見られる。
 監督にはベテランの鶴田法男や緒方明と中堅のタナダユキ、田口清隆が起用され、キャストも一新されている。

主なキャスティング

牧史郎    …… 上川 隆也(48歳)
三沢京助   …… 原田 泰造(ネプチューン 43歳)
野村洋    …… 村井 良大(りょうた 25歳)
小川さおり  …… 高橋 真唯(まい 29歳)
的矢千景所長 …… 原田 美枝子(54歳)
島田梨沙警部 …… 田畑 智子(32歳)

主なスタッフ

プロデュース …… 北浦 嗣巳(円谷プロダクション)
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