こんばんは~。そうだいです。今日も1日、お疲れさまでした。
さっそく本題に入ってしまうのですがみなさん、「同人誌マンガ」って、本物を手にしたことってありますか?
というのもねぇ、最近、近所に同人誌コミックを販売しているお店があると聞いて行ってみたんですよ。そしたら、思わぬ掘り出し物が。
行ったお店は、「とらのあな 千葉店」。「とらのあな」と言えば、新品の一般コミックとともに、「同人誌コミック」も豊富に販売している本屋さん。それがまさか、自転車で行けるような距離の場所にあったとは……!
私もはっきり言って、コミケに行ったことのない門外漢ですもので大きな口はたたけないのですが、だいたい「同人誌コミック」というものを説明しますと、一般の書店を通して発行するのではなく、たとえば定期的に開かれるコミックマーケット(コミケ)で直接ブースをもうけて販売するようなマンガのことです。本のかたちは、普通のコミック本よりも大きめなノートくらいのもので、映画のパンフレットのような簡単なつくりのものがほとんどです。平均して3~40ページの内容で、値段は5~600円ほどといった感じでしょうか。
ずいぶんとおおざっぱな説明で申し訳ないんですが、おおかたの同人誌コミックは、その時どきに流行しているアニメやマンガのパロディであることが多く、18歳未満の人、いや、その年ごろを遠く離れた私でさえも不用意に観てはいけないようなド過激なものもワンサカあります。
同人誌ということで、「プロじゃない素人が描いてるんだろ?」と、クオリティの高さを不安視される方もいるかもしれませんが、今回、少なくとも店内にならべられていたものの表紙を眺めるかぎり、その心配はいらないようです。とにかくみんな、プロなみに絵がうまい! まぁたぶん、とらのあなに委託販売しているという時点で、一定のレベルに達しているものばかりなんでしょう。だって最近は、プロの漫画家さんがその一方で同人誌を描いているということも珍しくはないんですからね。「同人誌」業界、まったくあなどりがたし!
そんな同人誌の世界、私はてっきり、そういったものを入手するためには面倒くさい通信販売かエッチラオッチラ秋葉原に行くしかないかと思いこんでいたのですが、つい数日前に、今年のはじめから京成電鉄の千葉中央駅の真ん前に「とらのあな」ができていたと聞いて、いてもたってもいられず飛んでいったというわけなのです。気づくのが遅かったなぁ!
さて、満を持して足を踏み入れた「とらのあな 千葉店」だったのですが、まさに「虎の穴」。きれいで広いお店なのに、なぜか入る時に勇気がいる。入り口でついつい、誰か知り合いに見られてはいないかとあたりを見回してしまう! てごわい……
店内にはもう、目うつりするようなエル・ドラドオが! いや~、私ももうオッサンなんでしょうか、喜び勇んで来てはみたものの、なにがなんだか、なにがおもしろいのか皆目見当がつきません!
ところが! そんな中に1冊、私の琴線をビンッビンつまびく同人誌マンガがあったのです。こ、これはァ!!
タイトルは、「私家版 死んだ世界戦線」(作・ドリヤス工場)。
私はこの、シックなモノクロの表紙イラストを見て、思わず「フハッ!」と水木しげる風の鼻息をもらしてしまいました。
なぜか!? なぜならば、この「ドリヤス工場」なるサークル(主宰者は後藤康有紀という方)の制作した同人誌は、最近はやっているアニメやマンガを、『ゲゲゲの鬼太郎』でおなじみ、今年でおん年88歳におなりになる水木しげる超先生の画法で描き直すという作風なのです。
おらァもう、ビックラこいちまったよ……どうやらこの作品は、今年の春から放送されて大人気となったらしいアニメ『Angel Beats!』のパロディらしいのですが、私は元ネタのアニメのことをまっったく知りませんでした。
それなのに買っちゃった! そして、読んでもおもしろい、おもしろい!! とにかく、ドリヤス工場さんの水木イズム継承のレベルの高さは、パロディや盗作の域をはるかに超えてしまっています。これはもう、水木老師への尋常ならぬ愛がなければ到達しえない世界ですよ!
いやぁ、正直言って、今回のとらのあな来訪の目的は、「いかがわしい同人誌でいいのはないかさがす」という不純度100%のものだったのですが、そんな邪念はドリヤス工場さんのおかげで吹き飛んでしまいました。
ドリヤス工場さんの同人サークル活動は2001年から始まっており、2005年からは一般の書店で販売されるアンソロジーコミックにも作品を提供するようになっております。とにかく気づくのが遅すぎたよ、私……
『ひぐらしのなく頃に』、『新世紀エヴァンゲリオン』、『けいおん』、『らき・すた』、『かんなぎ』、『涼宮ハルヒの憂鬱』……なみいる平成の萌えアニメたちが、あっという間に戦後昭和の香りが濃厚な「ぽあ~ん」な水木ワールドに!
今回に買った作品集の中では、『エヴァンゲリヲン新劇場版・破』とハリウッド超大作SF映画『アバター』の水木しげる版リライトが秀逸でした。ま、真希波さんがあんなことに……
私も今までのまずしいマンガ体験の中で、『ドラクエ4コマ劇場』での児嶋都先生の諸作や、とりみき先生のパロディ版『ゴーストバスターズ』などでの水木しげる風パロディを観たことはあったのですが、あくまでワンポイントリリーフとしてのパロディや企画であったのに対して、ドリヤス工場さんはおよそ10年にわたって水木ワールドの探求をし続けています。そして、キャリアを積めば積むほどドリヤス工場独自の絵のくせは消えてゆき、そのぶん水木ワールドとしての純度が高くなっていくというこの不思議。ほんとに、元ネタがあるとわからなかったら、水木老師ご本人が筆をとっているといわれてもおかしくないくらいのうまさよ。
あの「マンガの神様」手塚治虫のパロディストとして知られるギャグマンガ家の田中圭一だって、そのプロとしてのサービス精神から、ついついオリジナルな自分の色を出すことがあります。
TVの世界でもほとんどの物まね芸人は、オリジナルの持つささいな特徴を、自分の芸風に取り込んで極端に誇張することによって人気をはくすることがほとんどです。コロッケさんとか、清水アキラさんとか、そうでしょ? 「ロボ五木ひろし」は、日本の至芸ですよ。
ところがドリヤス工場はちがう。全身全霊をこめて最近の萌えアニメを「水木化」するという点では間違いなくプロなのですが、自分の作品に自分の足跡を残したいと思うといった意味でのプロ意識はまったく感じられません! 自分の色は徹底的になくす……おそろしい。まるで冷徹な変換マシーンのようです。
そういう意味で、私はドリヤス工場の諸作の持つオーラに、タモリの物まねをしだした頃のコージー富田さんと同じものを感じました。本人は、お客さんにまったくこびずに淡々と作業をこなす。そのさまが本当におかしいんです!
あと、もうひとつ。私が観たかぎり、どうやらドリヤス工場の諸作には、あの水木ワールド屈指の名キャラクターである「ねずみ男」をもとにした絵柄の人物がいっさい登場しません。これはおそらく、水木老師に対する工場側の最大限の敬意のあらわれなのではないでしょうか? アニメなんかではグッチャグチャに改変されている水木キャラなんですが、なんだかんだやられても、本物のねずみ男を描けるのは世界で1人だけだという謙譲の信念があるのでは……考え過ぎか、オイ!?
ドリヤス工場は、すごいよ! なんとかして一般の書店で単独の単行本が販売されるようにはならないもんでしょうか。なるわけねぇよなぁ……丸パクリだもんなぁ。
でも、ドリヤス工場のおかげで、今どきの萌えアニメなんかも簡単に喰ってしまう水木ワールドの強固さを再確認することができました。水木ワールド、ばんざい!!
そのうちに、本家水木しげるの世界にも触れていきたいですね。私はもう、大好きよ~!!
今年は『ゲゲゲの女房』もありましたしね。私、今でも、TVがこわれて朝ドラの後半が観られなかったことをくやんでいます……
さっそく本題に入ってしまうのですがみなさん、「同人誌マンガ」って、本物を手にしたことってありますか?
というのもねぇ、最近、近所に同人誌コミックを販売しているお店があると聞いて行ってみたんですよ。そしたら、思わぬ掘り出し物が。
行ったお店は、「とらのあな 千葉店」。「とらのあな」と言えば、新品の一般コミックとともに、「同人誌コミック」も豊富に販売している本屋さん。それがまさか、自転車で行けるような距離の場所にあったとは……!
私もはっきり言って、コミケに行ったことのない門外漢ですもので大きな口はたたけないのですが、だいたい「同人誌コミック」というものを説明しますと、一般の書店を通して発行するのではなく、たとえば定期的に開かれるコミックマーケット(コミケ)で直接ブースをもうけて販売するようなマンガのことです。本のかたちは、普通のコミック本よりも大きめなノートくらいのもので、映画のパンフレットのような簡単なつくりのものがほとんどです。平均して3~40ページの内容で、値段は5~600円ほどといった感じでしょうか。
ずいぶんとおおざっぱな説明で申し訳ないんですが、おおかたの同人誌コミックは、その時どきに流行しているアニメやマンガのパロディであることが多く、18歳未満の人、いや、その年ごろを遠く離れた私でさえも不用意に観てはいけないようなド過激なものもワンサカあります。
同人誌ということで、「プロじゃない素人が描いてるんだろ?」と、クオリティの高さを不安視される方もいるかもしれませんが、今回、少なくとも店内にならべられていたものの表紙を眺めるかぎり、その心配はいらないようです。とにかくみんな、プロなみに絵がうまい! まぁたぶん、とらのあなに委託販売しているという時点で、一定のレベルに達しているものばかりなんでしょう。だって最近は、プロの漫画家さんがその一方で同人誌を描いているということも珍しくはないんですからね。「同人誌」業界、まったくあなどりがたし!
そんな同人誌の世界、私はてっきり、そういったものを入手するためには面倒くさい通信販売かエッチラオッチラ秋葉原に行くしかないかと思いこんでいたのですが、つい数日前に、今年のはじめから京成電鉄の千葉中央駅の真ん前に「とらのあな」ができていたと聞いて、いてもたってもいられず飛んでいったというわけなのです。気づくのが遅かったなぁ!
さて、満を持して足を踏み入れた「とらのあな 千葉店」だったのですが、まさに「虎の穴」。きれいで広いお店なのに、なぜか入る時に勇気がいる。入り口でついつい、誰か知り合いに見られてはいないかとあたりを見回してしまう! てごわい……
店内にはもう、目うつりするようなエル・ドラドオが! いや~、私ももうオッサンなんでしょうか、喜び勇んで来てはみたものの、なにがなんだか、なにがおもしろいのか皆目見当がつきません!
ところが! そんな中に1冊、私の琴線をビンッビンつまびく同人誌マンガがあったのです。こ、これはァ!!
タイトルは、「私家版 死んだ世界戦線」(作・ドリヤス工場)。
私はこの、シックなモノクロの表紙イラストを見て、思わず「フハッ!」と水木しげる風の鼻息をもらしてしまいました。
なぜか!? なぜならば、この「ドリヤス工場」なるサークル(主宰者は後藤康有紀という方)の制作した同人誌は、最近はやっているアニメやマンガを、『ゲゲゲの鬼太郎』でおなじみ、今年でおん年88歳におなりになる水木しげる超先生の画法で描き直すという作風なのです。
おらァもう、ビックラこいちまったよ……どうやらこの作品は、今年の春から放送されて大人気となったらしいアニメ『Angel Beats!』のパロディらしいのですが、私は元ネタのアニメのことをまっったく知りませんでした。
それなのに買っちゃった! そして、読んでもおもしろい、おもしろい!! とにかく、ドリヤス工場さんの水木イズム継承のレベルの高さは、パロディや盗作の域をはるかに超えてしまっています。これはもう、水木老師への尋常ならぬ愛がなければ到達しえない世界ですよ!
いやぁ、正直言って、今回のとらのあな来訪の目的は、「いかがわしい同人誌でいいのはないかさがす」という不純度100%のものだったのですが、そんな邪念はドリヤス工場さんのおかげで吹き飛んでしまいました。
ドリヤス工場さんの同人サークル活動は2001年から始まっており、2005年からは一般の書店で販売されるアンソロジーコミックにも作品を提供するようになっております。とにかく気づくのが遅すぎたよ、私……
『ひぐらしのなく頃に』、『新世紀エヴァンゲリオン』、『けいおん』、『らき・すた』、『かんなぎ』、『涼宮ハルヒの憂鬱』……なみいる平成の萌えアニメたちが、あっという間に戦後昭和の香りが濃厚な「ぽあ~ん」な水木ワールドに!
今回に買った作品集の中では、『エヴァンゲリヲン新劇場版・破』とハリウッド超大作SF映画『アバター』の水木しげる版リライトが秀逸でした。ま、真希波さんがあんなことに……
私も今までのまずしいマンガ体験の中で、『ドラクエ4コマ劇場』での児嶋都先生の諸作や、とりみき先生のパロディ版『ゴーストバスターズ』などでの水木しげる風パロディを観たことはあったのですが、あくまでワンポイントリリーフとしてのパロディや企画であったのに対して、ドリヤス工場さんはおよそ10年にわたって水木ワールドの探求をし続けています。そして、キャリアを積めば積むほどドリヤス工場独自の絵のくせは消えてゆき、そのぶん水木ワールドとしての純度が高くなっていくというこの不思議。ほんとに、元ネタがあるとわからなかったら、水木老師ご本人が筆をとっているといわれてもおかしくないくらいのうまさよ。
あの「マンガの神様」手塚治虫のパロディストとして知られるギャグマンガ家の田中圭一だって、そのプロとしてのサービス精神から、ついついオリジナルな自分の色を出すことがあります。
TVの世界でもほとんどの物まね芸人は、オリジナルの持つささいな特徴を、自分の芸風に取り込んで極端に誇張することによって人気をはくすることがほとんどです。コロッケさんとか、清水アキラさんとか、そうでしょ? 「ロボ五木ひろし」は、日本の至芸ですよ。
ところがドリヤス工場はちがう。全身全霊をこめて最近の萌えアニメを「水木化」するという点では間違いなくプロなのですが、自分の作品に自分の足跡を残したいと思うといった意味でのプロ意識はまったく感じられません! 自分の色は徹底的になくす……おそろしい。まるで冷徹な変換マシーンのようです。
そういう意味で、私はドリヤス工場の諸作の持つオーラに、タモリの物まねをしだした頃のコージー富田さんと同じものを感じました。本人は、お客さんにまったくこびずに淡々と作業をこなす。そのさまが本当におかしいんです!
あと、もうひとつ。私が観たかぎり、どうやらドリヤス工場の諸作には、あの水木ワールド屈指の名キャラクターである「ねずみ男」をもとにした絵柄の人物がいっさい登場しません。これはおそらく、水木老師に対する工場側の最大限の敬意のあらわれなのではないでしょうか? アニメなんかではグッチャグチャに改変されている水木キャラなんですが、なんだかんだやられても、本物のねずみ男を描けるのは世界で1人だけだという謙譲の信念があるのでは……考え過ぎか、オイ!?
ドリヤス工場は、すごいよ! なんとかして一般の書店で単独の単行本が販売されるようにはならないもんでしょうか。なるわけねぇよなぁ……丸パクリだもんなぁ。
でも、ドリヤス工場のおかげで、今どきの萌えアニメなんかも簡単に喰ってしまう水木ワールドの強固さを再確認することができました。水木ワールド、ばんざい!!
そのうちに、本家水木しげるの世界にも触れていきたいですね。私はもう、大好きよ~!!
今年は『ゲゲゲの女房』もありましたしね。私、今でも、TVがこわれて朝ドラの後半が観られなかったことをくやんでいます……
なりましたね!!
【あやかし古書庫と少女の魅宝】!!
ええ、ええ、今年の夏についに世に出ることになりましたよねぇ、ドリヤス工場先生の一般単行本が! 日本の出版芸術文化の精神「いき」も、まだまだ滅び去ってはいなかったのですね。感動です。
実はかくいうわたくしもすでに購入してはおりましたが、日常のなんやかやに追われてしまい、本腰をすえて再びそのすばらしさをつぶやく機会を保留状態にしたままになっていたのです……
今回の桃李棲蛾狸さまのコメントがいい機会になりました。必ずや、近日中に『あやかし古書庫と少女の魅宝 第1巻』にかんするあれこれをつぶやかせていただきます。
本当にありがとうございました~。
ゆるゆりの4とか。
すみません、やる、やると言っておきながら、ドリヤス工場先生のオリジナル連載作についてのつれづれ、まだ全然まとめるめどがついておりません!! まことに申し訳これなく。
ドリヤス先生の破壊力のものすごさはホームページでも歴然としてますよね。先生の参加されていた『ひぐらし』のアンソロジーコミックは、それがゆえに私の永久保存リストに入っております。
できれば、絵のインパクトではほぼ無双状態になっているアンソロジー中での先生の自由度と、ほんとならばそれ以上に自由なはずなのに、なにかと模索しておられる感のある『あやかし古書庫と少女の魅宝』での苦悩のようなものを比較してみたいんですが……いったいいつのことになるのやら~!?
タイミング的にはもうこれ、第2巻の刊行を待たなきゃいけませんな。
え! 2月末に第2巻、出た!?
じゃあ、やるなら今しかねぇと!!
ともかく、お知らせありがとうございました~。