長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

ドラマ『数学女子学園』の野心的デザインとその展....うぷっ

2012年02月16日 14時01分53秒 | すきなひとたち
 どうもこにゃにゃちは、そうだいでございます~。
 いやぁ、千葉も雪、降ってますよぉ! 2月なのに雪! かなりフワフワしたわた雪で空もけっこう明るいのでそれほど長い時間は降りつづけないと思うのですが、まだまだ今年の冬は終わらないんですなぁ~。しつこいやつよ!
 ただまぁ、さすがに体感としては1月にビリビリ感じていた極寒の気温までには下がっていないようなんでねぇ。そんなにしんどくないのがありがたいです。春遠からぁあ~じ!!


 あの~、私いま、1月から放送されているドラマの『数学♥女子学園』(日本テレビ 毎週水曜深夜0時59分~1時29分)に当然のようにハマッております。

『数学♥女子学園』 .... 脚本・山浦 雅大、演出・河合 勇人
 主演 .... 田中 れいな(モーニング娘。)、道重 さゆみ(モーニング娘。)、桜田 通

《あらすじ》
 手続き上のミスで「私立町田数学専門高等学校」に転校してきてしまった、数学が大の苦手な男子生徒・佐藤一樹(桜田通)。
 しかしこの学園は、数学に関しては天才的なセンスを発揮するが自由奔放・天真爛漫な性格で破天荒な行動が目立つ博多弁の女子生徒・町田ニーナ(田中れいな)や、2人のクラスメイトで自意識過剰な性格の立川さゆり(道重さゆみ)らが、「数学番長」の称号を目指して日々ハイレベルな数学バトルを繰り広げる恐怖の地だった....


 う、うぷっ、吐き気が。わ、私、数学が心底キライなんですよぉ~!! こんな学園、朝の出席確認の段階で自分の名前を呼ばれるまで机に座っていられるかどうか。校舎の中で1歩あるくたびに HPが1下がるわ!

 それでも!! そんな私でも! どうにも『数学♥女子学園』は見逃せないんだなぁ~。実におもしろいんですよ。


 まずなんといっても、このドラマは「モベキマス」を中心としたハロー!プロジェクトのメンバーがほぼ総出演しているという話題性があります。深夜の30分番組とはいえ、本格的な連続ドラマ形式でこの規模のアイドルが参加しているのは、ハロー!プロジェクトではそ~と~珍しいことなのではないでしょうか。もしかしたら初?

 毎週、主人公の田中さんと激しい対決を展開するゲスト陣も豪華ですねぇ。


第1話メインゲスト .... 道重さゆみ(そのままレギュラー入り)
第2話メインゲスト .... ℃-ute(キュート)のリーダー・矢島舞美(そのままレギュラー入り)とモーニング娘。第10期メンバー
第3話メインゲスト .... Berryz工房の須藤茉麻とモーニング娘。第9期メンバー(他の役で準レギュラー出演している鞘師里保以外の3名)
第4話メインゲスト .... 吉川友とBerryz工房の清水佐紀(キャプテン)と徳永千奈美
第5話メインゲスト .... ℃-uteの鈴木愛理(そのままレギュラー入り)
第6話メインゲスト .... Berryz工房の嗣永桃子

※全話にわたり、ストーリーにまったく関係のない「赤塚不二夫作品のレレレのおじさん」のようなポジションでスマイレージのメンバー3名が出演している

 私そうだい個人はモーニング娘。が大好きだというだけなので、他の方々に関してはちょっとうといところもあるのですが、共通の母体があるとは言え、ここまで多くのグループやソロアイドルが競演するということはとにかくすごいことであるわけですよ。

 ただし!! 私が本当にこのドラマにハマッてしまっている最大のポイントは、こういったキャスティング面のほかにあるんですな!
 それは、


ちゃんと数学の問題が出てきてその解法が説明され、ちょっと数学に詳しくなれたような気がしてくる


 ここなんですねぇ~。「解法」! いま、この「解法」っていう文字をうっている瞬間にも高校時代のいろんな苦い体験が思い出されてガタガタ震えがきてしまっている私でも! なんとな~く理解できるようなおもしろ問題が出てくるんですよねぇ。アイドルうんぬんを抜きにしても、このドラマには一見の価値ありの教養バラエティの側面があるんですなぁ。アイドルと数学。こりゃあ一粒で二度うめぇ!!

 第2話の、

「長針と短針が正確に動いている時計がある。この時計で3時から4時になるまでにその2本がかさなる時間は『3時何分何秒』?」

 というのは実にいい問題でしたねぇ~。おれ、わかったも~ん!! 時間かかりまくったけど....あ、これ、中学生向けの問題なんだ。そっすか....

 「アイドルに何かキャピキャピやらせてりゃいいだろ。」という打算にあまんじず、ちゃんと学園内で起きたトラブルを数学的思考で解決していくという1話完結形式のエピソードはなかなかのミステリー風味で興味深く、特に第1話の「男子が階段の上にいた女子のパンツを覗いていないことの数学的証明」と、第5話の「好きな人の隣に席替えできるようになるくじ引き法」はよかったなぁ。良問でしたけど....傾斜角度が30°もある階段はあんまり学校にはないと思うよ。おらぁ地元の蔵王で30°の坂ば滑降すたごどあるがらわがるんだずぁ。

 この、「閉鎖された学園内で発生した事件を数学で解決」というフォーマットは映画に拡大してもいいかも知れませんね。ものすんごくくだらない『薔薇の名前』か『JFK 』みたいな作品ができたら最高ですねぇ!!


 あとは当然、ふだん歌声やダンスで観客を魅了しているアイドルの皆さんが、いっぽうカメラの前での演技というステージでどういった攻防を見せるのかも大きなポイントですね。

 実は私、『数学♥女子学園』の放送が開始されるまでは、ハロプロ勢でキャスティングがほぼ全て占有されるということでなんとな~く、「内輪ウケのなぁなぁコント劇場」みたいになったら嫌だなぁ....などと失礼なことを考えてしまっていたのですが、そんな心配はするだけ余計なお世話でしたね。

 さすがは天下のハロー!プロジェクト。やっぱり年齢は絶対的に若いのだとしても、自分が身を置いているアイドル業界というものの厳しさと危機感を各自なりのやり方で見事に理解した上での「笑顔」や「輝き」は、おのれのキャリアに裏打ちされた非常にプロフェッショナルなものがありました。むしろ、リアルな先輩と後輩との意識が実に学園ものにマッチした空気を生んでいて、集まってワーキャーやって、それを一定数のファンが観てくれればそれでいいや、などという左うちわ感はみじんもありません。攻めてるね!!


 ゲストアイドルの演技としては、やっぱり第4話の吉川さんの悪役ぶりが最高でした。さすがはソロアイドル。孤高のキャラクターとしての立ち居振る舞いが見事に絵になっています。かつてあの「狂戦士」久住小春さんと一緒にかわいいアニメのキャラクターを演じられていたとはにわかに信じがたいクールっぷりです。

 逆に、と言っては申し訳ないのですが、第3話はモーニング娘。第9期メンバーが総登場していたのにもかかわらず、なぜか数学的な問題が登場しない単なる徒競走がメインになっていたためか、なんとなくパッとしない印象になっていたような気がしたのが実に残念でした。
 須藤さんは私も大好きなんですけど、昔の『ハロモ二。劇場』での飯田圭織さん直伝かというくらいにキャラクターが完成され過ぎていたのがかえってアダになってしまったような気がします。セリフのしゃべり方に、他の人にカラんでこさせる余地がないというかなんというか。
 こうなっちゃうと、その場の中で浮いちゃうんですね。セリフをうまく言うだけが「演技のうまさ」ではない....こりゃあもう、数学以上に難しい問題ですなぁ。しっかし、鈴木香音さんはほんとにおもしろいなぁ。


 とかなんとか言ってますが、まだまだ『数学♥女子学園』は始まったばかり!
 毎週のように話題に出る「ニーナのお姉さん」がこれから出てくるのかどうかも実に気になります。

 いや~、にんともかんともたのすみだ。


《蛇足ですが》
 あの~、この『長岡京エイリアン』をポチポチ拾い読みしたことのあるお方ならば、今回の「私が放送中のドラマを毎週チェックしている。」という記事に関して大きな「?」を持たれるかも知れません。

 ....見のがしてくれ~!!

 ハロー!プロジェクトの皆様には合わせる顔がありません....


 5月の日本武道館コンサート、這ってでも行きますから許してくだせぇ~お代官さま!!!
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ジーク、みねば!!  ~ミネバ=ザビ 失われしお笑い修行時代 ZZ ~

2012年02月14日 12時24分41秒 | アニメらへん
資料おまけ

100円ガシャポン「でぃふぉるめきゃらこれ」シリーズ(1988~89年)

・当時、バンダイの SDシリーズのデザインをほぼ一手に引き受けていた横井孝二ではなく、佐藤元が描いた SDガンダムのキャラクターが塩ビ人形として立体化された非常に珍しいシリーズ(全2回)

・SDガンダムの主体だったメカ(モビルスーツ、モビルアーマーなど)ではなく、本編シリーズに登場した人物たちが SD化されている

・佐藤元のマンガのガシャポン化というよりは、同時期に製作されていたアニメ『機動戦士 SDガンダム』のガシャポン化


第1弾の黄金ラインナップ
 アムロ=レイ、カミーユ=ビダン(もちろん目には星がまたたいている)、ジュドー=アーシタ、シャア=アズナブル、セイラ=マス、フラウ=ボウ、ファ=ユイリィ、ハマーン=カーン、フォウ=ムラサメ、ミネバ=ザビ、エルピー=プル(服は着ている)、リィナ=アーシタ

第2弾のいぶし銀ラインナップ
 ブライト=ノア、ミライ=ヤシマ、ララァ=スン、デギン=ザビ、マチルダ=アジャン、ウッディ=マルデン(ほんとよ!)、シャア=アズナブル(クワトロ=バジーナ版)、ファ=ユイリィ(学生服)、パプテマス=シロッコ、エマリー=オンス、ベルトーチカ=イルマ、キャラ=スーン



 びえええ~い、なんかカゼひいちまったよぉ~。どうもこんにちは、そうだいでございますぅ。
 まあ、そんなにしんどいわけでもないので最近大流行の「インの字」ではないと思うのですが....とにかく頭がガンガンでノドがいてぇ!
 また、ぐずぐず雨が降る天気もはじまっちゃったしねぇ。寒くてしょうがねぇよ~。もはやバレンタインどころではありませぬ!


 じぇんじぇん関係ない話から始まるのですが、みなさんは「残留思念」というものを信じておられるであろうか....

 私もそんなに詳しいわけではないんですけど、ある人がある場所で強く念じた意思が、その人本人が去ったあともその場所にとどまり続けて、そこにやってきた別の人の思念に影響を与えてしまう現象のことを言うのだとか。

 こんなトンデモ理論なので科学的な立証は難しいらしいのですが、たとえば「あぁ~、コーラ飲みてぇ。」と考えている人が公園のベンチに座ってしばらく休んでから去ったあと、次にそのベンチに座った人までもが「う~ん、なんとなく飲み物がのみたいな。コーラとか。」という気になってしまうことなのだそうです。そしてさらに怪しいことに、そういった残留思念の中でも、特にこの世に強い未練を残して死んでいった人のものが、その最期の現場にとどまってしまったものこそが「幽霊」なのではないかと言われているのです....う~んデンジャラス。

 幽霊の話じゃないんですけど、この前「あぁ~、残留思念ってあるのかもな。」と感じちゃう出来事を体験しましてね。

 心底ど~でもいい話なんですが、牛めしで有名な松屋に行って私、「デミたまハンバーグ定食」を頼んだんですよ。

 そっしたらさぁ! 私のあとに来たお客さんが3人連続で「デミたまハンバーグ定食」だったんですよ....

 ....ど~でもいいぃ~....

 確かにどうでもいい。どうでもいいんですけど、私を含めた4人のお客さんが、ハンバーグの前に出された生サラダをもしゃもしゃと食べて、店員さんが「なんだ、この連チャン?」と思いながらジュ~ジュ~ハンバーグを焼いている店内の空気は非常にビミョ~なものがありました。そして、最初にできたハンバーグが運ばれてきた時に3人のお客さんが3人とも「あれ? オレじゃねぇの?」という視線でハンバーグを見送り、私のほうを見て「あ、あいつもデミたまなんだ....」と思っているかもしれない雰囲気のヘンな居心地の悪さね!

 カレーとかだったら、においが店内に広がって注文が連続することもよくありそうな話なんですが、ハンバーグはねぇ....私の後の3人が注文した時にはハンバーグも焼けてない状態だったし。
 しかも、牛めしや牛焼肉の松屋でデミたまが連続というのも不思議....ですよね。あなたのご近所の松屋では、デミたまハンバーグ定食はそんなに人気メニュー?

 そしてついに考えは至ってしまいました。私が注文するために券売機の前に立った時の「デミたま食べたいな~!」という想いが残留思念となって凝り固まってしまったのではないかと。自ら体験してしまったとなっては、もはや残留思念の存在に疑念を抱く余地はありません。やっぱあるんだなぁ!

 っていうか私、どんだけデミたまハンバーグが食べたかったんだよ....ひとさまにも影響を与えてしまったのかもしれないおのれのガッツキ感に少々ヘコんでしまいました。飢えたハイエナかお前は!! 


 さぁ、ざれごとはここまでにしておきまして、いよいよ「ミネバ=ザビ 謎の潜伏期間」についての報告です。

 宇宙世紀0079。生後間もないザビ家の姫君ミネバ=ラオ=ザビは、一年戦争の敗戦によってザビ家が統治していたジオン公国が崩壊してしまったために物心もつかないうちから大宇宙を流浪する生活を余儀なくされてしまい(『機動戦士ガンダム』)、その後の宇宙世紀0087、亡命先の小惑星アクシズの美しき盟主だったハマーン=カーンが7~8歳のミネバ=ザビの摂政を名乗って新国家「ネオ・ジオン(第1次)」を樹立させることとなりました(『機動戦士 Zガンダム』)。
 ところがハマーン様のネオ・ジオンは、無理な版図拡大方針がたたったことと、敵の地球連邦軍側にアホみたいに強い究極のモビルスーツ「ZZ ガンダム」があったことなどが災いして発足わずか1年後の宇宙世紀0088 に崩壊。そんな中で「ミネバ=ザビもいつの間にか替え玉にすりかわっていた。」という唖然とする事実も明らかとなってしまい、それ以降、宇宙世紀0096 を舞台とした小説『機動戦士ガンダム UC』に「謎の少女(でも比較的早く正体はバレる)オードリー=バーン」として再登板するまで、ミネバ様の行方は「ガンダム・サーガ」の正史では不明のままということになっているのです。

 「正史では」という言い方をしましたが、ガンダム・サーガの世界観をもとにした外伝的な作品の中で「語られなかったミネバ様のその後」といったものが描かれたということは、マンガ作品で2つほどありました。


『機動戦士 VS 伝説巨神 逆襲のギガンティス』(作・長谷川 裕一 1990年)
『機動戦士ガンダム ムーンクライシス』(作・松浦 まさふみ 1993~94年)


 『VS 伝説巨神』は、その名の通りに『ファーストガンダム』の主人公アムロや『ZZ 』の主人公ジュドーたちが搭乗するガンダムと「伝説巨神イデオン」が対決するというもんのすごい作品なのですが、失われたミネバという存在が非常にまじめに物語の根幹にかかわってくる渾身の一作となっていましたね。設定は「宇宙世紀0091 」のこととなっており、作者さんなりの『ZZ 』完結編という意味合いでも溜飲の下がるものとなっています。まぁとにかく、『ZZ 』におけるミネバ様の扱いはそれほどに不満の残るものだったということなんですな。「ニセモノでした。」ってあーた!
 いっぽうで『ムーンクライシス』は「宇宙世紀0099 」のこととなっており、『UC 』よりもさらに成長した19歳のミネバ様が(やっぱり仮名を使って)登場する作品となっています。これも『UC 』と同じ「宇宙世紀0100 に予定されているジオン残存勢力の完全解体」を物語の軸においたものになっていましたね。


 あともうひとつ忘れてならないのは、2005年に製作された CGアニメによる各話10分ほどの短編OVA シリーズ『ガンダム・イヴォルヴ』の『第10話 ZZガンダム』ですね。
 ここでは正体こそはっきりとは明示されないのですが、『ZZ 』の世界であの名キャラクター「エルピー=プル」のクローン「プルツー」が専用機としていた名機「キュベレイ・マーク2」に搭乗した謎の亡命者「M」が登場します。お話の時間設定はおそらく『ZZ 』のすぐ後でしょう。
 強化人間のプル・シリーズといい「M」といい、『UC 』の世界観をほうふつとさせる配置が小憎らしいですねぇ。ただ、あのキュベレイ・マーク2をまがりなりにもちゃんと操縦してファンネル兵器をしっかり動かしていたということは、搭乗していた人物はニュータイプかそれに準ずる強化人間だったということになるのですが....


 それはともあれ、そういったあれこれを差し置いてでも私が言いたいのが、『ZZ 』~『UC 』のミネバ様におけるミッシング・リンクを埋める作品としてマンガ『爆笑戦士! SDガンダム』の存在を忘れるわけには絶対にいかない!! ということなのです。

 なぬ? そんなのただのパロディマンガなんだろって? 正史たるガンダム・サーガに並べるそうだいの神経がわからないって?
 いやいや、ちょっと聴いてくださいよ奥さん。この2頭身、3頭身の SDキャラばっかりしか出てこないギャグマンガには、連載当初小学生だったころから私がいだいていた非常に気になる「謎」があったのです。それはズバリ、


他のキャラクターはみんな SD化にしたがって子どもっぽくなっているのに、唯一みねばだけが逆に成長している!!


 ここだったんですよ....不思議でしょ!?

 画像を出せないのが申し訳ないのですが、『ファースト』ではまだ赤子だったからそれはおいておくとしまして、『Z 』と『ZZ 』でのミネバ様(と、そのそっくりさん)は丸顔の美少女で、『UC 』で16歳に成長したミネバ様も、髪の毛の色は多少栗色からブロンドに近くなっているのですが、顔の輪郭はまんまるのままです。

 ところが。『爆笑戦士!』のみねばはそういったシリーズ本編よりも顔つきが明らかに年上な「おもなが」になっており背も伸びていて、物語の中の設定でも「12歳の誕生日をむかえた。」という言及があったりするのです。この年齢のミネバ様が登場している正史の物語はありませんね。

 まわりのはまーんとかかみーゆといった面々はおとなしくかわいらしいキャラになっているのに、みねば様が1人だけ「ディフォルメ」の範疇を明らかに越えた「成長」をしているっていうのは、一体どうしたことなんであろうか。

 ここにはもう、作者の佐藤元先生独自の解釈による「『ZZ 』以後のミネバはこうなっているのだ!」という、単なるパロディにとどまらないオリジナル展開があったとしか考えられません。

 確かにそれを裏付けるかのように、『爆笑戦士!』でのみねばは、シリーズ本編でのミネバ=ザビの「自分のない操り人形」といったイメージを払拭させるかのようなオリジナリティにあふれた大活躍を見せつけてくれていました。


「ついに、みなさん待望の『爆笑戦士! SDガンダム』が、単行本になったよん! あたしたち SDガンダムキャラが、オールスター総出演で大活躍! みんな、おうえんよろしくね~!! みねば♡ 」(コミックス第1巻のカバー折り返しコメントより)

「おい、はまーん! わらわは....アイドルになりたいぞよ!」

「32番、みねば。『北海盆唄』を唄います。」

「2年B組、みねばざび。またの名をスケパン刑事。」

はまーん「(CMコンテスト会場に到着して)うむ、ここか。」
みねば「え? わーい。わたし飲む飲む。」
はまーん「それはココアでしょ。」
みねば「あー、鼻がでかくて頭にチョコがつまっているやつ。」
はまーん「それはコアラ!」

はまーん「安心してください。今回こそネオ・ジオンは勝ちます!」
みねば「えっ、なんで?」
はまーん「それは、ネオ・ジオンには....」
2人そろって自分を指さして「かーいい女の子が2人もいるからどえーす♡ 」

「人間すなおがいちばんですね。」

みねば「『逆襲のシャア』は前売り券買ったけどいけなかったしなーっ。」
ぷる「あーあ、もったいねー。」


 ....とまぁ、こういった調子で、最初ははまーんとぜっくんの抗争の原因となるわがままを言い出すトラブルメイカーとしての役割が多かったのですが、回を追うごとにぜっくんの卑劣漢ぶりやかみーゆのぷっつんぶり、ぷるの体を張りまくった全裸ぶりが激化するにしたがって、ボケキャラばっかりでツッコミキャラが致命的に欠乏している『爆笑戦士!』の世界でも、みねばは比較的まともに話を進めてくれる貴重なリーダー的存在になっていったのです。『爆笑戦士!』のみねばは、『UC 』に約20年もさきがけてリーダーシップ満点の娘ッコになっていたのだ!

 とにかく公式、非公式とりまぜて見渡してみても、ミネバ様がこれほどまでに主体性をもってはつらつと八面六臂の大活躍を見せている作品は他には見当たりません。『UC 』によって「ミネバ=ザビ」という人物に興味を持ったという方がふたたび多く生まれたとしたのならば、そんな今だからこそ、佐藤元オリジナルのみねば様がおがめる『爆笑戦士! SDガンダム』はあらためて評価されるべき時期にあると思うんですよ、あたしゃ!!

 実は今回のマイブームにあわせて、生まれて初めて「アマゾン・ショッピング」なるものに挑戦してみまして、なんと23年ぶりに『爆笑戦士!』のコミックスを買いなおして佐藤元ワールドにひたりました。

 ギンギンにカッコいいライヴ衣装に身つつみ、そのシーンだけ特別のリアル等身大ルックになり、ギターをかきならしサングラスを光らせながら演歌の名曲『おやじの海』を絶唱するみねば様!!


「海はよ 海はよ でっかい 海はよ

 おれを育てた おやじの 海だ」


 すばらしい....数ある演歌の中でも、あえて『おやじの海』をみねば様に歌わせた佐藤元先生のセンスが光りますね。
 彼女の成長を見届けることなく宇宙に散っていった父君ドズル閣下が聴いたら、草葉の陰で大号泣するのではないでしょうか。


 ただし! 残念ながらこういったみねば様の大活躍が楽しめる『爆笑戦士! SDガンダム』コミックス全8巻は、2012年2月現在ではすべて絶版となってしまっており、入手手段としては中古の古本を捜し求めるしかないという状況であることが実に惜しいです!

 あと、前回の資料編では佐藤元ワールドがアニメ化された『機動戦士 SDガンダム』前期作品のことにも触れたのですが、確かにアニメーターとしての経験も豊富な佐藤元先生が全面的にアニメ製作に参加している珠玉のエピソードばかりではあるものの、これらはマンガ『爆笑戦士!』のスレートなアニメ化ということではまったくないため、『爆笑戦士!』の持ち味でもあった圧倒的な「ぬるさ」と「ぐだぐだ感」はさほど受け継がれておらず、我らがみねば様もまったくもって完全なる脇役にあまんじています。まぁそれでも、池田秀一さんや永井一郎さん、そして「はまーん」こと榊原良子さんといった超超豪華声優陣のカオス競演が楽しめるアニメはアニメで最高におもしろいんですけど!! ぽっぴ~ん。

 また、こっちの『機動戦士 SDガンダム』のほうも、約5年前に初回限定生産のDVD-BOX が発売されたっきりなんでねぇ。中古でさがせないこともないんでしょうけど、佐藤元先生のかかわっていない後期作品もまとめて買わなきゃいけないっていうのがナンですよねぇ。もっとバラ売りにして再発売してほしいんですけど....やってくれませんかねぇ!?


 こういった感じなので、実は現在の時点ではけっこう不遇な状況にある佐藤元先生の SDガンダムワールドなんですけど、もともと小学生向けのマンガ雑誌は、タイトルもはやりすたりもめまぐるしいため掲載された全話が単行本の形になるということはほとんどないらしく、『爆笑戦士!』もやっぱり本当の最終回までコミックス化されることはなかったらしいんですね。

 でも、佐藤元先生はいまや、アニメ界でも引く手あまたのデザイナーになっているわけなんでねぇ! そんな先生の若き日の「やりすぎ感」全開の『爆笑戦士!』はぜったいに復活していただきたい!! 『UC 』のミネバ様ブームになんとか乗っかれないものだろうか? はまーん、なんとかして!!


 いや~、でも....読み返してみて再認識。

 連載当時、『爆笑戦士!』で爆笑できる小学生はあんまりいなかったと思うよ、たぶん....

 元ネタのまったくわからないパロディが多かったからなぁ....だって、読んでいる小学生は冗談抜きで『ファースト』~『ZZ 』さえも観ていない子が多かったんですからね。そこで『エルガイム』ネタ出されてもねぇ。

 しかも、当時の私はバリバリ地方ド田舎の子どもだったものでねぇ。関東ローカル CMネタみたいなことやられても....

 あの、みねば様が執拗に連呼していた「ウィンディでなきゃやだーっ!!」って、なんの CMでしたっけ? 車だったかな?

 それに、だいたいのストーリーラインはあっても、作品は完全に「ダジャレネタ連発」でしか成り立っていませんからね。それをやるキャラが「 SDガンダム」である必要がまったくないのよ! 気持ちいいくらいに!!


 でも、そこをおぎなってあまりあるのが佐藤元えがくところの SDキャラのたまんない魅力であるわけなのです。みんな実に1980年代らしいフワフワ感が満載のタッチなのですが、不思議と絵が古臭くならないんですよねぇ。
 『ふたりはプリキュア』などの絵を見てもおわかりの通り、佐藤元先生ご自身のタッチはさらに進化して今はだいぶ変わってきているんですが、『爆笑戦士!』の時期のデザインはデザインでちゃんと成立しているんですよ。
 今の佐藤元先生のタッチで全裸のぷるを描いていただくことは....まぁムリですね。日本もずいぶんとしっかりした国になりました。

 なんの脈絡もなく「ぷるぷるぷる~っ」とおのれの名前を連呼しながら全裸で疾走する幼女が出てくるマンガって....マリーダ=クルスさんのお姉さまはこんなキツい仕事をやっておられていたのですね。ただ風呂好きだっただけなのに....


 そんなこんなで、現在大好評アニメ化中の『機動戦士ガンダム UC』の「あったかもしれない過去」として楽しむことができ....るような気がしなくもないかもしれない『爆笑戦士! SDガンダム』の世界。

 ど~か!! 21世紀の逼塞した現代日本だからこそ復活希望でございます~!!

 ジーク、みねば! みねばざび陛下、ばんじゃ~い!!
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ジーク、みねば!!  ~ミネバ=ザビ 失われしお笑い修行時代Z ~

2012年02月10日 15時04分19秒 | アニメらへん
 みなさんどうもこんにちは~、そうだいでございます~。

 雪国のみなさ~ん! 雪かきホンッッッットに!! お疲れさまでございます....
 いや~、ちょっと調べてみたらわが故郷の積雪量も大変なことになっておるようで。平年の2倍以上の勢いなんですって!?

 こりゃあもうバレンタイン・キッスもへったくれもありゃしねぇ....朝だけ実家に帰って雪かきを手伝うことはできないものか。
 えっ? 関東でぬくぬく暮らしているこんにゃく野郎の腰なんかいらないって? こりゃまた失礼いたしました~。
 蔵王なんか、久しぶりに行ってみたいねぇ~。いい感じのパウダースノーだそうですよ、今年は!


 さてさて、ざれごとはここまでにしておきまして今回の『長岡京エイリアン』なんですけども....まぁ、ここからも正真正銘100% 無添加のざれごとなんですけども。

 ヒャッホ~ウ! 資料ばっか、資料ばっか、資料ばっか~!!

 さすがは天下の佐藤元先生....一言でいいあらわせる人物ではなかったのだ。

 ということで、今回はほんとに資料ばっかなのでありました~!
 ほいじゃあドン!!


佐藤 元(さとう げん)

 アニメーター、漫画家、メカニックデザイナー

 1977~85年には、多くのTVシリーズ や劇場版のアニメ作品の作画や原画、絵コンテやメカニックデザインを担当するアニメーターだったが、1981~2004年には活動を徐々にマンガ家としての活動にシフトしていた。2002年からは原画やメカニックデザインなどでアニメ業界へ復帰している。


1977~85年のおもなアニメ活動
 『ルパン三世 第2シリーズ』(1977~80年)、『科学忍者隊ガッチャマン2』(1978~79年)、『宇宙戦艦ヤマト2』(1978~79年)、TV シリーズ版『銀河鉄道999 』(1978~81年)、『タイムボカンシリーズ ゼンダマン』(1979~80年)、『あしたのジョー2』(1980~81年)などに作画で参加
 『劇場版機動戦士ガンダム2 哀・戦士編』(1981年公開)の作画、『劇場版機動戦士ガンダム3 めぐりあい宇宙編』(1982年公開)の作画と原画も担当

2002年~現在のおもなアニメ活動
 『ふたりはプリキュア』(2004~05年)、『ふたりはプリキュア Max Heart 』(2005~06年)、『第5期 ゲゲゲの鬼太郎』(2007~09年)、『デジモンクロスウォーズ』(2010年~放送中)、『ポケットモンスター ベストウイッシュ』(2010年~放送中)、『劇場版 魔法先生ネギま! ANIME FINAL 』(2011年8月公開)の原画を担当


マンガ『爆笑戦士! SDガンダム』(1987~98年 『月刊コミックボンボン』などで連載)にかんして

・1987年3月~91年11月に『月刊コミックボンボン』、1990年6月~92年6月に『月刊デラックスボンボン』で連載され、連載終了以降も1998年まで不定期で新作が発表されていた

・コミックスは8巻発売されていたが(現在はすべて絶版)、『月刊コミックボンボン』連載分のみの単行本化であり、全話が収録されているわけではなかった。

・連載初期は、アイドル歌手志望の「みねば」のわがままに振り回される「はまーん」や「ぜっくん(Ζガンダム)」たちの様子を描いた短編だったが、連載の途中から「ぷっつんかみーゆ」が目立つようになり、徐々に彼が主役となる。末期はぜっくんを主役に戻して古今東西の名作のパロディ短編が描かれた。

・おもに『機動戦士Ζガンダム』と『機動戦士ガンダムΖΖ』のキャラクターとメカを SD化した登場人物が大半を占める。カミーユが精神崩壊した姿で描かれるなど、『ΖΖ』の時間軸に比重が近いようであるが、同作の主人公ジュドーの出番はかなり少ない。


おもな登場人物

みねば
 アイドル演歌歌手志望としてやりたい放題していたが、12歳になった日、勇者でぎんの血をひく者としてがんだむ国のずぇーた(ぜっくん)を倒す旅に出る。スターマン編ではぷっつんかみーゆの友人として再登場。

はまーん
 当初はみねばのわがままに振り回される被害者として活躍していたが、ガンダムクエスト編からはワキ役となった。

しゃあ
 主にクセ毛にサングラスというクワトロ=バジーナの姿で描かれるが、時には「赤い彗星」のコスチュームを着る事もある。

ぜっくん(Ζガンダム)
 みねばやはまーんの視点で描かれる事が多い初期では悪役だった。

ぷっつんかみーゆ
 初登場時は「目が宇宙」ではなく、椅子に座って呆けているだけの原作『ZZ 』そのものの病状だったが、ガンダムクエスト編からそのキャラクターを遺憾なく発揮しだし、アホの嵐編・スターマン編と主役の地位を得て、作品の顔と言える人物である。

ぷる
 裸キャラとしての印象が強いが当初は原作アニメに近いファッションをしていた。ぷっつんかみーゆと相性がいいようで、ギャグエイリアン編からアホの嵐編にかけてはお互いに恋愛感情があった。双子の妹がいる。

ららぁ
 幽霊のため足が無く常に浮遊している。しゃあに対しては愛憎半ばする感情を抱いているようで、彼の弱み(主に女性関係)が書かれている日記を読みあげ撃退したことがある。

ざくれろ
 モビルアーマーでありながら、人型のボディを持って登場する事が多い。ぷっつんかみーゆのライバルキャラになることが多い。

佐藤元
 本作の作者で東京・石神井公園に住んでいる。1月1日生まれ。


おもなストーリー

初期短編
 アイドルになりたいみねばのためはまーん達ネオジオン軍はテレビ局乗っ取りのためエゥーゴと戦う。その後も両軍はグルメ、ビデオアニメ宣伝、忍術、音楽など様々な分野で戦いを繰り広げる。しかしみねばの誕生日には争いを止め協力してお祝いの準備を行った。

ガンダムクエスト編
 がんだむ国に侵略されつつあるじおん王国。がんだむ国のずぇーた(ぜっくん)を倒すため、勇者でぎんの血をひくみねばは3人の仲間(遊び人ぷる、賢者かみーゆ、僧侶ららぁ)を引きつれ旅に出る。だが、追い詰めたずぇーたの口から今までの事は試験であり、がんだむ国もまたえるがいむ国の侵略を受けていると聞かされる。その後はえるがっちゃん(エルガイム)を倒すための旅となった。旅の終わりに「オチ仙人トーナメント」の参加証を手に入れたかみーゆはトーナメントに出場し見事優勝を果たす。
 当時大人気のファミコンゲーム『ドラゴンクエスト3』とTV 番組『風雲!たけし城』のパロディネタが豊富。

スイートホーム編
 みねば、かみーゆ、ぷる、じゅどーの4人はハイキングに来た森で道に迷ってしまい、そこで見つけた洋館で休ませて貰うことにした。女主人はまーんに好きな部屋を使って良いと言われ、色々な部屋を見て回るみねば達。いつの間にか姿を消したじゅどーを探すうちに、みねばはこの屋敷の正体に気付く。その昔、究極のギャグが大流行したが時代とともに忘れられ、その溜まりに溜まった観念が凝り固まったものがこの屋敷であり、屋敷全体がギャグでできているのだった。ボスであるざくれろのギャグがみねば達にウケたことで屋敷は崩壊、この地が作者・佐藤元の住む石神井公園であることが明らかとなり、屋敷もまたネタにつまった佐藤元の幻想が生み出したものと説明された。

ギャグエイリアン編
 突如、石神井公園に現れた宇宙船。住民税を徴収するため練馬区税務所はマルサのプロである、みねば、かみーゆ、ぷるの3人を送り込んだ。ギャグエイリアン・ざくれろとの戦いでぷるが重傷を負い、怒りに燃えるかみーゆがざくれろと対決する。

アホの嵐編
 大学生のかみーゆは幼い頃に両親を亡くしており、その仇として芸人の神様と呼ばれるぜっくんを恨んでいた。かみーゆは大学でのサークル活動中、ぜっくんの娘のぷると知り合う。やがて2人は惹かれあっていくが、戦争が始まりかみーゆは徴兵され戦地へと旅立つことになるのだった。戦地で負傷したかみーゆは兵器工場へ転属になるが手違いがおき、実際に働くことになったのは玩具メーカーの工場だった。そこでかみーゆをモデルとした商品が大ヒット。やがて数年が経ち、戦争が終わるころにはかみーゆは財閥の総帥にまで栄達していた。そして圧倒的な財力を背景にしてかみーゆは復讐を始める。

マル元バラエティー劇場
 単行本第4巻収録の短編集。かなり初期の作品も混じっており、絵柄の変化が感じられる。

ガンダムクエスト2編
 笑いが失われつつある世界。伝説のギャグを求め勇者みねばと3人の仲間があてのない旅に出た。しかし全宇宙の掌握を目論むマネモネ星人との戦いが繰り広げられる。
 全10回におよぶ本作最長のシリーズであるが、ストーリーは迷走している。勇者の選抜方法やマネモネ星人との戦いなどで、様々なクイズ番組のパロディが見られる。

スターマン編
 かみーゆが変身したスターマンとニャンコロ大魔王(ぜっくん)との超能力バトル。

元ちゃん名作シリーズ
 ぜっくんを主人公とする短編集。アニメやマンガ、映画などの名作のパロディ。ぷるやザクの出番が多い。基本的には一発ネタばかりだが、推理ものである『明智小Ζ郎』は全4回のシリーズとなった。

恐怖の SD狩り・永遠不滅の SDキャラ(『月刊コミックボンボン』連載時の最終シリーズ)
 宇宙世紀末、リアル軍大将の鉄仮面によりSD狩りが行われていた。そんな時、ボケ軍大将のみねばはリアル軍の偵察に向かい捕まってしまう。その報告を受けボケ軍の戦士ぜっくんはリアル軍を倒すため仲間とともに鉄仮面の城へと忍び込むが……。


アニメ『機動戦士 SDガンダム』にかんして

 1988~1993年に公開された SDガンダムのOVA や劇場版アニメ作品の総称。
 ガシャポンやプラモデル「BB戦士」、カードダスや玩具「元祖 SDガンダム」といった各媒体で展開され人気を集めた SDキャラクターシリーズがアニメ化された。
 それらを収録した映像メディア(VHS など)はすべて絶版となっていたが、2007年11月にDVD-BOX が発売された。

 佐藤元は以下の初期8エピソードの作画監督とキャラクターデザイン(『激闘編』~『元祖・ガンダム迷場面集』は原作も)を担当
※佐藤作品のすべての監督は、『アイドル伝説えり子』(1989~90年)、『マクロス7』(1994~95年)、『屍鬼』(2010年)などで有名なアミノテツロー(現・アミノテツロ)

OVA 『機動戦士 SDガンダム』 (1988年5月)
 第1部 激闘編 ガンダム大地に立てるか!?(9分)
  ....おもに『機動戦士ガンダム(ファースト)』本編の名シーンをもとにしたパロディ集
 第2部 休日編 ジオン・ホテルの脅威? ガンダム・ペンション破壊命令!!(9分)
  ....風光明媚な避暑地で各自ペンションを経営しているあむろ、かみーゆ、じゅどーにジオン・ホテルのしゃあがいやがらせを仕掛ける
   (作中にみねばが登場するがセリフは一切ない)
 ※激闘編と休日編の2話は劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年3月)の同時上映作品だった
 第3部 決戦編 SDオリンピック!! スタジアム、笑いに染めて(10分)
  ....シリーズのキャラクター総出演のオリンピック大会の模様をつづる

OVA 『機動戦士 SDガンダム マーク2』 (1989年6月)
 第1話 転がるコロニー事件(12分)
  ....シリーズの歴代ヒロインのレビューが観られる歓楽コロニー「趣楽」で繰り広げられるドタバタ劇
 おまけ 元祖・ガンダム迷場面集(3分)
  ....シリーズの名作回のサブタイトルを使った一発ネタ集
 第2話 巖蛇武(ガンダム)伝説(15分)
  ....架空のファンタジー世界を舞台に、剣士あむろ、魔術師かみーゆ、コソ泥じゅどーの3人が復活した大魔王しゃあ退治の旅に出る
   (作中にみねばが護送車の看守役で登場するがセリフはほとんどない)

劇場版『機動戦士 SDガンダムの逆襲 嵐を呼ぶ学園祭』(1989年7月 12分)
  ....上流階級の学園で文化祭を開催する生徒会長しゃあと、そこに殴り込みをかける庶民のあむろ、かみーゆ、じゅどー達との闘い
   (作中にみねばが登場するがセリフは一切ない)
 ※『劇場版 機動警察パトレイバー』の同時上映作品

OVA 『機動戦士 SDガンダム マーク3』(1990年3月)
 第1話 宇宙の神秘大作戦(12分)
  ....宇宙盗賊しゃあをあむろ、かみーゆ、じゅどー、ぶらいと達が追うという内容
   (作中にみねばが登場するがセリフは「でんき。」しかない)
 ※『マーク3』の他の収録アニメは佐藤作品ではない


DVD-BOX
 2007年11月発売。上記のOVA および SDガンダム外伝、劇場版がほとんど網羅されており、収録作品はすべて HDリマスターが施されている。初回限定生産。



 ハイ~、そんなこんなでまったじっかいぃ~!!
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ジーク、みねば!!  ~ミネバ=ザビ 失われしお笑い修行時代~

2012年02月08日 16時17分29秒 | アニメらへん
 ちょっとだけ暖かくなってまいりました! どうもこんにちは、そうだいで~す。
 雨が降ったりして天候はすぐれないのですが、なんだか気温は上がってきたような気がしますね。春も近いんですのう....


 先月ぶんの「短観」でもちょっとだけ触れたのですが、最近はず~っと、福井晴敏の小説『機動戦士ガンダムUC (ユニコーン)』を読んでいます。いまさら!? いまさらなんですよねェ~。


 あまりにも広大すぎる、日本を代表するカルチャーコンテンツ「ガンダム・サーガ」!!

 その中でも、同じ時間軸の中で約100年間の大河ドラマが展開されていく「宇宙世紀(UNIVERSAL CENTURY)シリーズ」。いわずと知れた、世界アニメ史上に残る名キャラクター「シャア=アズナブル」や「アムロ=レイ」、「カミーユ=ビダン」や「ハマーン=カーン」といった面々が登場する一連の物語群で、TV シリーズでいう『機動戦士ガンダム』『Zガンダム』『ガンダムZZ』と、それにつらなる劇場版や番外編OVA シリーズなどがそれにあたります。

 別にガンダムサーガ全体のガッチガチの愛好家でもないわたくしですので、説明をごくごく簡単に済ませていただきますと、このシリーズでいう「宇宙世紀」とは、「地球人類が人口の激増に対応するために、宇宙空間に建造した複数の巨大居住施設『スペースコロニー』に移住するようになってから使用した暦」のこと....で、意味わかりますかねぇ? 要するに、たとえば「ガンダムサーガ」でいう「宇宙世紀0080(ダブルオーエイティーと読みます)」が、具体的に現実世界の「西暦2012年」から見て何年後の世界なのかはわからないという、実にべんりなシステムであるわけなのです。
 『鉄腕アトム』や『北斗の拳』のように、「実際にその時代になったけど....空とぶ車もねぇしハルマゲドンも起こってねぇなぁ。」という空虚感が生まれない、近そうで遠い逃げ水のような「宇宙世紀」なんでございますねぇ。


 ガンダムが大好きな方にとっては最低限の基礎知識になっちゃうんですが、「宇宙世紀シリーズ」を構成するおもな作品の作品中の時間軸は以下の通りになっとります。


TV シリーズ『機動戦士ガンダム』(1979~80年放送) .... 宇宙世紀0079の「ジオン一年戦争」

TV シリーズ『機動戦士Zガンダム』(1985~86年放送) .... 宇宙世紀0087の「グリプス戦争」

TV シリーズ『機動戦士ガンダムZZ』(1986~87年放送) .... 宇宙世紀0088の「第1次ネオ・ジオン戦争」

劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年公開) .... 宇宙世紀0093の「第2次ネオ・ジオン戦争」

劇場版『機動戦士ガンダムF91 』(1991年公開) .... 宇宙世紀0123の「クロスボーン戦争」

TV シリーズ『機動戦士Vガンダム』(1993~94年) .... 宇宙世紀0153の「ザンスカール戦争」


 こんなのなんですけど、私がいま夢中になっている『UC 』の時代設定は「宇宙世紀0096」。つまり、『逆襲のシャア』で語られる、長きにわたって繰り広げられていたシャアとアムロの因縁の対決に終止符を打つこととなった「第2次ネオ・ジオン戦争」、その数年後の物語ということになっております。
 表を見ていただいておわかりのように、『(ファースト)ガンダム』~『UC 』のくくりと『F91 』と『V 』とのあいだには数十年のへだたりがあるため、一般的な認識としては『(ファースト)ガンダム』~『UC 』が「宇宙世紀シリーズ」の本体で、『F91 』と『V 』はそれほどつながりの強くない外伝のような扱いになっているのではないでしょうか。まぁ、私たちの時代に置きかえてみても、日清・日露戦争のことを「ちょっと昔の過去」としてとらえている人はそうそういないですよね。


 さて、そういう時間関係になっているため、行って見れば現時点での「宇宙世紀シリーズの総決算にして最終章」というとらえ方もできるこの『UC 』は、それまでのシリーズ作品に登場していた名キャラクターたちが再びなんらかの形で顔や名前をちらつかせてくれるファンサービスたっぷりの、それでいて小説家・福井晴敏の腕がブンッブンに振り回された渾身の大戦記となっています。

 と言っても、私はいま第6巻をやっと読みきったところで、作品そのものは単行本にして全10巻。まだまだお話は続くんですよねぇ。

 いや~、読み始めるのがだいぶ遅れてしまいました。
 だって、小説の『UC 』は2009年にとっくに完結しちゃってるんですからね! 今はもう、そのアニメ化作品が順次OVA リリース&劇場公開されている段階なんですって。次は5月に第5作が発表されるんでしたっけ? これは観に行かなきゃなぁ。


 この『UC 』で活躍する、以前のシリーズ作品に登場した経験のあるキャラクターのうち、最も重要な立ち回りを演じているのは言うまでもなく、物語の序盤で「オードリー=バーン」という偽名を使ってさっそうと現れた謎の少女です。


 いや、謎の少女っつったって、小説の第1巻を読んだ時点でもう、それまでの宇宙世紀シリーズをかじったことのある人だったら、正体が誰なのかはすぐにわかっちゃうんですけどね....

 そう、『UC 』の世界で若干16歳、ショートカットにした明るい栗色の髪の毛に碧眼のかんばせを持つこの娘さんの正体は、宇宙世紀シリーズ全体に絶大な影響をおよぼす一大勢力「ジオン公国」の最高権力を掌握していた一族・ザビ家の最後の末裔「ミネバ=ラオ=ザビ」!!

 ご存知の通り、ジオン公国そのものは『ファーストガンダム』の時代に一年戦争の敗戦によって崩壊してしまいましたが、その復興をもくろむ残党勢力は『UC 』の時代にいたるまで宇宙各地に厳然と存在していたのです。そういった面々や、それを支配しようとする地球中心の「地球連邦」勢力、その双方にとって、ミネバという「ジオン残党の錦の御旗」にも「地球連邦軍の最大級の人質」にもなりうる存在は、最もその動向に注目するべき要注意人物となっていたのです。16歳のみそらの娘さんがのう....


 このミネバさんなんですけどね。私は本当に大好きなんですよね~。

 いいキャラクターしてるじゃないですかぁ。普段はわがままばっかり言いまくってあのハマーンさまをさんざんに振り回すおてんば姫だけど、実は意外としっかりもの。アイドルになりたいんだけどいつも唄うのはゴリッゴリの演歌だ、なんてねぇ~。


 ....え? 誰だそいつって? そんな奴、ミネバ様じゃない?

 あぁ!! 訂正します、私が好きなのはミネバ様じゃなかった!

 「ミネバ=ザビ」じゃなくて、「みねばざび」!! 「みねばざび」さんのファンだったんですよ~、わたくしは!


 私がかつて、少年時代に大好きだった謎の少女「みねばざび」。
 彼女のことを回想するためにはまず、ガンダムサーガ本編におけるミネバ=ザビの来歴を振り返ってみなければなりません。


 『UC 』で16歳に成長したミネバ=ザビ(オードリー=バーン)がその姿をあらわすまで、彼女の消息は『ZZ 』における「第1次ネオ・ジオン戦争」の終結以降、正史の中では杳として明らかになることはありませんでした。宇宙世紀0079年9月2日に誕生したミネバ様(ただし、安彦良和のマンガ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では宇宙世紀0078 生まれになっている)は、第1次ネオ・ジオン戦争の時には8歳だったということになるのですから、それ以降の8年間、彼女の行方はまったく「不明」のままとなっていたのです。

 しかも、有名な話ですが『ZZ 』の終盤、地球連邦軍がハマーン政権崩壊後のネオ・ジオン宮廷を占拠した時に確保された少女は「ミネバ=ザビそっくりの影武者」だったということが判明しており、ということは、ミネバ様ご本人は『Z 』で語られた「グリプス戦争」から始まった一連の抗争の中の「どこかの時点」で替え玉とすりかわってしまっていた、ということになるのです。

 有力な説としては、グリプス戦争終結時に失踪したシャア=アズナブルがなんらかの策をもってミネバ様を確保して連れ去ったか、もしくはザビ家摂政ハマーン=カーンにその保護・教育を託されたかしたのではないかというものがあるのですが、これも果たして本当なのかどうか....真相は薮の中です。


 ともかくはっきりしているのは、『Z 』と『ZZ 』に登場した時点でのミネバ様(か、そのそっくりさん)はまごうかたなき7~8歳のガキンチョ!! その「因縁深い王家の末裔」といった重すぎる存在意義をになうもへったくれもない、なんにも知らずに傀儡になるしかなかったお子ちゃまだったということなのです。

 これは歴史ドラマのキャラクターとしては実に哀しいことです....あまりにも自分がなさすぎて、ヘタしたらTV シリーズの『ZZ 』全47話ぶん丸ごと「出演~、なしよ。」なのかも知れない扱いになっちゃった! ギャラは出るのか~、ギャラは!?


 純然たる女児だったのでかわいいことはかわいかったのですが、これじゃあザビ家の末裔としてあまりにも不憫すぎる....
 こういった無念さもあってか、16歳になったミネバ様は『UC 』で非常にしっかりした自我を持った娘さんとなって活躍しており、「ザビ家の血統ここにあり!」といった風格をも兼ね備えた人物になっています。
 ただ、こういった外部に対する気負いの中にも、たま~に若者特有の「もろさ」というか、圧倒的な経験のとぼしさからくる思い込みや苦悩の表情を垣間見せるういういしさがあるからいいんですよね~! さすがは福井晴敏。いいお仕事をされとりますなぁ。


 ま、とにかく、こういった経緯で『ZZ 』の放送終了以来、実世界ではなんと約20年ぶりにガンダムサーガの正式作品『UC 』に登場することとなったミネバ=ザビ。
 作品の中でも、10代前後の8年間という重要な時期を人目はばかる深窓で過ごすこととなった彼女なのですが、その間はいったいどんな生活を送られていたんだろ~か!?

 これまた多くの憶説によって、「シャアと生活をともにしていた」「木星に潜伏していた」などと語られることの多い部分なのですが、私は声を大にしてこう言いたい。


ミネバ様は『みねばざび』とその名をあらため、SD 世界に潜伏しながらお笑いの腕をみがいていた!!


 私が見たてた、ミネバ様の潜伏先はこちらです。


『爆笑戦士! SDガンダム』(原作・佐藤 元  1987~98年 講談社『月刊コミックボンボン』連載)


 そうなんです、また『コミックボンボン』なのよねぇ~!!

 私が『コミックボンボン』で育った人間だったということは、去年の9月ごろにウダウダやった、100円ガシャポンの「バンダイ SDホラーワールド」に関するつれづれの時にもさんざん話したかと思うのですが、ここでも出てくるんだなぁ~、ボンボンが。


 一説によると、「おふろによくいる女の子キャラといえば?」とたずねられた時に、「しずかちゃん!」と答える人間は「コロコロコミック軍」に所属しており、「ぷる!」と答える人間は「コミックボンボン軍」に所属しているという....そしてどちらも、この現代社会では世間の冷たい視線を浴びかねない危険性があり肩身がせまい。

 まぁそれはともかく、私がここまで『爆笑戦士!』なるマンガに登場するみねば様に注目してしまうのはなぜなのか。

 単なるパロディマンガじゃないのって? いやいや、そうじゃないんだよなぁ....


 この『爆笑戦士! SDガンダム』にかんするいろいろな思い出と考察は、また次回にいたしましょ~。
 これまた懐かしい話しになっちゃうなぁ。


♪ うみいぃはぁよぉ~おぉおぉおお~!! うみいぃはぁよぉお~!!
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寒い時期になぜ!?  稲川淳二・恐怖の怪談20カ年計画

2012年02月06日 15時29分30秒 | ホラー映画関係
 イヤイヤイヤイヤみなさん、どうもこんにちは~。そうだいです。
 今日の千葉は、久しぶりに朝から雨です。毎度毎度のことですが、まだまだやっぱり寒いやねぇ。


 最近は私の家でもようやくDVD が観られるようになったということで、これまで1年半ほど見向きもしなかったCD屋さんの DVD コーナーにも、ひまな時に足を運ぶようになりました。前にも言ったかも知れませんが、私の近所にレンタル屋さんがなくなっちゃったのがいたいなぁ。間にあわなかった....
 今までは「ケッ! どうせわしには縁のない世界よ....」と思っていた数々の映像作品が、これからはお金さえ払えば私だって楽しむことができるんだと思うと、も~うウッヒウヒなんですよ!! 映画もPV もぜんぶなんだぜ!? キエ~うれしくて息絶えそう。

 ただ、そうなった時にかぎって、なかなか観たいものがみつからないんですよね~!! 言うよね~。


 あ、そういえばお店の中で、小学生くらいの男子が店員さんにこんな質問をしていました。

「あのぉ、『ぼかろ』のCD ありますか?」

「は? ぼかろ?」

 店員さんは一瞬うごきを止めてしまっていましたが、しばらくして、

「....あぁ~、初音ミクとか。」

 と言って男子をそのコーナーに連れて行きました。


 なるほど。「ぼかろ」とは、「ヴォーカロイド」の略だったんですなぁ。
 その音だけを聞いた時、私の頭の中では「まるぼうろ」とか「ノボカイン」とか「マルボロメンソールライト」とかが混沌と渦巻いていたのですが、「ボカロ」はもう一般的に使われている単語なんでしょうか? いろいろと勉強していかないといけないねぇ。

 そういえば、あの「妖狐」を「いぬ」と読むタイトルのマンガも最初はビックラこいたねぇ。
 『妖狐×僕SS』で「いぬぼくしーくれっとさーびす」って! 犬は「ネコ目イヌ科イヌ属」!! 狐は「ネコ目イヌ科キツネ属」!!
 あら、けっこう近いんですね....っていうか、どっちも「ネコ目」なんだ....


 まぁ、そんなこんなの新発見があるのでCD 屋さんや本屋さんに行くのは楽しくてしょうがないのですが、結局、私がDVD 復活記念として久しぶりに購入したのはこの2本でした。


『稲川淳二の超こわい話 セレクション 第1巻』(2002年7月 バンダイビジュアル)
『稲川淳二の超こわい話 2003 第2巻』(2003年7月 バンダイビジュアル)


 なんでこんなシッケシケの(ほめ言葉です)作品を買ってしまったんだろう!? そりゃもう、「安かったから」しかないんですけどね。


 大好きなんですよねぇ、稲川さん!! もはや、「独演」とか「一人語り」とかいう分類の仕方では解釈できない「稲川淳二」としか言いようのないジャンルになっている感があります。もう誰もあいつを止められねぇ!!


 稲川淳二さんもすでに現在おん年64歳。まだまだその語りの不思議な魅力におとろえはないのですが、「和装に白髪頭」というイメージもだいぶ定着してきましたね。

 ところが、私が今回手に入れたDVD におさめられている稲川さんは、そんな現在の稲川さんよりも多少....いや、だいぶ若い外見と語り口を見せてくれています。

 それは当然のことで、まずこれら2本のDVD は約10年前にリリースされたものです。この時点で「ひと昔前の稲川さん」でしょ。
 しかもそれに加えて、『セレクション』のほうはその内容が「1995~97年にリリースされていたビデオ版『超こわい話』の再編集版』」となっているため、さらに「ふた前昔の稲川さん」がおがめるということで、ファンの私にとっては非常にお得な買い物となっていたのです。やったね!!

 1990年代のアラフォージュンジ、2000年代のフィフティージュンジ、そして2010年代の還暦ジュンジ....「怪談語り」はまさしく稲川さんのライフワークとなっているんですねぇ。

 ところで、1980年代生まれの私にとって、タレント・稲川淳二という存在を最初に知ったときのイメージは、

「なんだかわからないけど周囲のタレントたちにヒドい目に遭わされてれているかわいそうなおじさん」

 というミもフタもないものでした。
 たぶん、それは『スーパージョッキー』で巨大水槽の水責めなどをくらっていた稲川さんを観た記憶が原点になっているかと思うのですが、その「稲川さん = 元祖リアクション芸人」という印象は、私の中ではぬぐえないものがあります。

 ところがちょっと調べてみると、稲川淳二さんが「TVタレントの副業として怪談語りをやっている。」という構図は正確ではないらしいんですね。

 まず、稲川さんは少なくとも「お笑い芸人」だったことはないようです。
 稲川さんが「プロの工業デザイナー」であることは有名なのですが、1976年に芸能人としてのキャリアをスタートさせることとなった最初のお仕事は「ラジオパーソナリティ」だったそうです。しかも、天下の『オールナイトニッポン』のDJ !

 なるほどねぇ。怖い話ではなかったにしても、稲川さんの活動の芯には最初っから「語り」があったんですねぇ。
 稲川さんの語りを聞いていると、「おもしろい語りはカツゼツのよさが前提ではない」ということを実感します。なにを言っているのかよくわからない部分があったのだとしても、聴く人が思わずその部分を推測して補完してしまうような「引力」があったのならそれでいいのです。そこが、アナウンサー系や声優系にはない稲川さんの最大の武器なんですよねぇ。まさしくこれは、プロの俳優としての戦法。

 でも、稲川さん自身はプロの俳優としての修行を積んでいた期間はまったくなかったようです。もちろん、35年という長い芸能キャリアの中では、この『長岡京エイリアン』でも取り上げたことのあったNHK 大河ドラマ『信長 KING OF ZIPANGU』(1992年)で「イエズス会の日本人修道士・ロレンソ了斎」の役を演じたように、俳優としてのお仕事もあるにはあったのですが、あくまでも稲川さんの魅力は、誰かの役を通じてではなくご本人のパーソナリティに寄与するところが大きいわけです。

 そういえば、まだ「怪談の語り手」という部分がそれほど有名でなかった時期に、「キリスト教の原理を日本人に広める語りのエキスパート」としてのロレンソ役に稲川さんを起用した『信長』スタッフの方はかなりの慧眼でしたねぇ。いつかまた、どっかのドラマで現在の稲川さんにロレンソの役をやってもらいたい!! 「いや~なんだかコレ、ミョ~に奇跡なんだな~。」って聖書の話をしてくんねぇかなぁ。


 まぁこういった感じで、「お笑い芸人」や「俳優」というはっきりした出生地を持っていないのに、日本の芸能界に確固たる地位を築き上げているお方としては、稲川さんのほかにはタモリさんという大巨人がいると思われるのですが、お2人とも業界の中で「な~んかおもしろいしろうとがいる!」という評価を受けてデビューしているいきさつも非常に似かよったものがありますよね。
 ただし、その一方でこの2人のあいだに、

「交友関係が異常に広い・TV を活動の中心においていない」 = 稲川淳二
「交友関係は限定している・TV を活動の中心におきまくり」 = タモリ

 というミョ~なねじれが生じていることは実に興味深いです。TV で名をあげることと実際の交友関係を広げることの両立はむずかしいのでしょうか? 余計なお世話ですけど。
 ただまぁ、お2人とも歩む道はだいぶ違っていますが、それぞれの世界を代表するエンターティナーであることは間違いありません。


 私が今回買った『稲川淳二の超こわい話』シリーズは、バンダイビジュアルからリリースされているオムニバスもので、稲川さんの「怪談語り」が1本につき5~6話ぶん収録されている、いわば「淳二ワールド大全集」というおもむきのある全24作にもおよぶロングセラータイトルとなっています。
 このシリーズは1995~2004年にVHS ビデオで、2002年以降はDVD にシフトされるかたちで現在までリリースが続いており、これは1993年いらい毎年夏におこなわれている稲川さんの怪談語り全国講演「ミステリーナイトツアー」に次ぐ歴史をほこるライフワークとなっています。「ミステリーナイトツアー」は今年の夏で20周年なんですって! 行ってみようかな~、生ジュンジ!

 このように、稲川さんが「怪談語り」を仕事の中心にすえるようになったのは1990年代の前半から、そしてそれがじわじ~わと浸透していって、レンタルビデオの人気タイトルとなってブレイクしたのは中盤からということなのですが、稲川さん自身が怪談を語る仕事に初めて取り組んだのは、1987年にカセットテープで販売された『秋の夜長のこわ~いお話』というものだったのだそうです。稲川さんがTV 番組のレギュラーとして活躍しはじめたのが1983年のことなのですから、稲川さんの中での「怪談語り」は、「TV タレントが余技でやっている」という表現では簡単に片づけられない歴史を持っているんですよねぇ。怪談しゃべって25年!


 ひところ、確か5~6年前に「お菓子といっしょに8センチCD がついてくる食玩」が狂ったようにコンビニに乱立していた時、1970~80年代の懐メロやアニソン集の影に隠れて、「稲川淳二の怪談CD 」がついてくるという、思わず「誰トク!?」と絶叫してしまいそうになる素っ頓狂なシリーズがありました。いや、誰トクって私が喜んで買い集めていたから私がトクしてたんですけど。

 そのころしょっちゅう聴いていた稲川さんのCD と、今回買ったDVD とを比較して感じたことなんですけど、やっぱり稲川さんの語りは「稲川さんの表情」コミコミで楽しまないといけませんな!! 声だけじゃあ物足りない。


 とにかくね、稲川さんの語りには、「それを語っている稲川淳二という人物がどのくらい不可思議な存在なのか。」という部分を味わう楽しみがあるんですよね。つまり、稲川淳二という人が、お話の中に出てくる程度の怪異や幽霊ではまったく動じない高みに位置している。だからこそ、そんじょそこらのしろうとには出せない「全体を俯瞰する」視点が垣間見える奥行きの広さがあるんですよね。

 もちろん、そういった「私はなんでも知っている」的な視点ばっかりでものを語ると、それは聴く人に臨場感を与えないただの「ナレーション」になってしまいます。
 そこでいかんなく発揮されるのが、稲川さんの「よくわかんない表現」!


「な~んかミョ~なんだな~。」
「ぞくっとしたんだけど、理由がよくわかんないんだなぁ~。」
「な~んでそこに女の人がいるのかな~って一瞬気にはなったんだけど、まぁいいか~と思ってね。」
「な~んだかイヤ~な雰囲気のする部屋だったんだけど、まぁ疲れてるから早く寝よっか~なんて。」


 適当!! 言い方が絶妙に適当なんです!

 しかしみなさん、よく考えてみましょう。
 人間は明らかに異常な「なにか」を見た瞬間にこそ、その体験を「恐怖との遭遇」として自身の記憶に強烈に刻み込みますが、そのものに出遭う直前までは本人はすべての見たものを「日常の風景」として適当にとらえており、「寒気がする」「雰囲気が悪い」程度の違和感は気のせいとして処理しようとするのが普通であるわけなのです。
 稲川さんの語りは、そのへんがものすご~く自然なんですが、さんざん恐怖体験を語っている稲川さんが25年もの長きにわたって自然でいつづけられるのは明らかに不自然です。なんでアンタはそんなにナチュラルなんだと! ちょっとは呪いとかたたりとかに遭ってるんじゃないんすか!?


 今回、『セレクション』で1990年代の稲川さんを、『2003』で2000年代の稲川さんを楽しむというチャンスを得た私から見てみますと、1990年代の稲川さんは基本的に目をギョロッとひんむきながら汗ダラッダラで「怖いでしょ! 怖いでしょ!」とアピールする、勢いまかせのようなパワープレイが見受けられるのですが、2000年代の稲川さんはだいぶ落ち着いた印象で、ストレートな物言いだけでなく、聴く人にわざと「?」と思わせる伏線を張るなどといった、技巧的な語り方を意欲的に取り入れる余裕を持った感もあります。

 比較してみると、『セレクション』のほうで、まだ若さも残っていてガリガリにやせたおじさんが顔から汗を飛ばしながら語る超名作『長い遺体』『樹海の声』『渓谷の廃屋(私がいちばん好きな話!)』といった磐石のラインナップも最高なのですが、語りの中での「カメラワーク」を自由自在に切り替えるベテランらしさの生まれた『2003』収録の『地下通路』『窓をたたく女』『3年A 組』もいいんですよね。


 つまり、稲川淳二の怪談は、この20年以上のキャリアの中で、まるで一流ミュージシャンの歌声やギターテクニックのように「若いアグレッシブ期」から「円熟の技巧期」へと移行していく「プロのあゆみ」を続けているのです。もう60代になっても語り続けているのですから、むしろこれは落語の世界に近くなっているのかも知れません。
 ここまできちゃったら、「新作が旧作より怖いか?」とか「語り方がうまくなっているか?」とかいう浅いポイントで稲川淳二という語り手の価値が左右されるような次元の話ではなくなってきてしまいました。もはや、続けているかぎり誰もが文句を言えない「天下一品の淳二ワールド」のゲートが開かれてしまったのです....カツゼツが悪いの、話の視点がとびとびでわかりづらいのでウダウダ言ってるようじゃあまだまだおめぇも青いという、批判がそのまんま批判者に返ってくる「淳二バリア」が発現してしまったのだッッ!!


 おそろしい....果たして、稲川さんはこの「怪談語り」を、どのくらいの時期で「一生モノの仕事」にすると決心したのでしょうか。

 こればかりは本人に聞いてみないとわからないのですが、稲川さんが無理に「語りをうまくしようとする」努力をしていない、つまり、カツゼツは悪くてもそのままで、話の整理の仕方が粗くてもそのままで自分のペースにあわせて語り続けていたそのスタイルは、まさしく長距離マラソン走者の走り方に近いものがあります。無理なダッシュをするように、その時代の好みにあわせようとする小細工を弄しない愚直さが、芸人に物まねされるくらいにメジャーな淳二スタイルに昇華したのですから、そうとうな初期から稲川さんはこの「道」を意識していたのではないでしょうか。


 驚くべき稲川淳二の「怪談語り20カ年計画」。
 もはや、彼はお話の中に登場する「人間」でも「幽霊」でもない第3の存在「稲川淳二」になってしまったのです。したがって、稲川淳二ご本人には「その話、ホント? ウソ?」なんていう人間の価値観も通じないし、幽霊のたたりがおよぶこともない!


 あなたは、晴れわたった空の色が青いことに真正面から疑義を呈する勇気があるだろうか。

 稲川淳二の怪談になにを言ってんのかわかんない部分がちょいちょいあるのは、そのくらいに、またはブラックコーヒーが苦いようにごくごく自然な現象なのです....キャ~!!


 まぁ、わざわざ私のようにDVD を購入しなくても、なんか動画サイトで山ほど淳二ワールドは楽しめるらしいんでね。みなさんもぜひとも、単純に怖がるだけでなく、そのいびつで不安定な状態を四半世紀も保ち続けている稲川さんの異常さに驚愕しましょう。25年間、車の片輪走行をやってるようなもんですよ。とんでもねぇお方だ!!

 稲川淳二。その2012年の「新たなるフェイズ」を固唾を呑んで見守ろう! こわいな~、こわいな~!!



《余談ですが》

 『2003』のほうのDVD を再生しようとしたら、「ヴヴヴヴ....」みたいな不協和音が10秒ほど続いて、

「そんなことしてもむだよ....」

 という女性のささやきが聞こえてくるというビックリがありました。

 いや、「そんなこと」ってあなた、私は再生ボタンを押してあなたのお話を聴こうと思ってるんですけど....

 いくら死んだ人でも、やっていいことと悪いことがあると思うんですが....怖がる以前にちょっとイラッときてしまった幽霊ちゃんのイタズラでした~。
 かわいらしいものよ!
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