P・K・ディックの小説を読み終えたところ、彼の小説は読み終えたところでどよーんとした気分になれるので、それが好きで読んでいる。爽快感のようなものはなく、彼が書いた小説の未来と、現在がどう違っているか。それを考えるのも面白い。
彼の話には、巨大な官僚機構、毎日、くだらない小説や、雑誌、TVドラマを見る人々。愚民は、政府のプロパガンダを信じて、真実は知らない。そういう道具だてが多いのだが、現実もそうだなと思う。小説は1960年代、70年代くらいに書かれたものだろうか。すでに50年以上が経っているが、すでにそのころからかわっていない。
現実の大衆が好きななんとかランドは、待ち時間が数十分で、アトラクションを楽しむのは数分。キャラクターに入っているのは人間に過ぎないのに、真夏のさなかでもその姿、その上、その中にいる人間は使い捨て部品、時が来れば契約は打ち切り。キャラクターの中身は若者の夢を喰い物にする雇い止め、非正規の雇用関係。夏休みには、子供達や大人が喜んで、中にいる人のことは考えずに楽しんでいる。私には、想像力の欠如としか言い様がないが、多くの人がそれに満足している。
この喜んで、その体制を受け入れているところ。私には悪夢のような世界に思えるのだが、多くの人はそれこそ、管理された鉄の檻による安心に満足している。
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