つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

献呈、秋の夜長にジャズを。

2024年11月16日 21時00分00秒 | 手すさびにて候。
                       
拙ブログの不定期連載『手すさびにて候』は、今投稿で242回を数える。
お絵描きの好きなオジサン(僕)が、あるテーマに基づき手描きしたイラストと文を披露。
それは私的な趣味の発露であり、個人的には大いに楽しんで作成しているのだが、
最近、気になる点がある。

--- 文面が長い。

話題の選定が偏るのは仕方がない。
コレは個人ブログだから。
だが長文に過ぎるのは、読み手に対し不謹慎・不親切なのではないか?
文字数が多くなるのは内容の充実を図りたい一心からではあるが、
もう少し簡潔にした方が、より良い読後感に浸ってもらえるのではないか?
そう考え今回は「いつもより短くを心掛け」つつ、
最後に音楽を楽しんでもらう趣向としてみた。
どうか、時間と都合がつけばお付き合いくださいませ。

ほんの手すさび 手慰み。
不定期イラスト連載 第二百四十二弾「ヘレン・メリル」。



「ヘレン・メリル」は、昭和4年(1929年)クロアチア移民の両親の元、
ニューヨーク マンハッタン島の北、ブロンクス地区に生まれた。
初舞台は14歳の時。
地元のジャズ・クラブで歌うようになる。
当時、多くの大都市が戦火に見舞われる中、一切攻撃を受けなかったニューヨーク。
やがて戦後、パリ以上の芸術の都、ロンドンを上回る商業の中心地として、
世界の首都と呼ぶに相応しい威容と経済力を誇っていた。
そんな大都会だから、音楽・エンタメも盛ん。
若くして「マイルス・デイビス」や「ディジー・ガレスビー」、「バド・パウエル」ら、
ジャズの巨人達との共演を経験し、歌声に磨きをかけてゆく「ヘレン」。

最大の特徴にして魅力は“ニューヨークのため息”と称されるハスキーボイスである。
それは、ジャズのルーツの1つ、アフリカ系シンガーとは異なる持ち味。
恵まれた体格(声帯)から産み出される声量のスケールや、
黒い肌の出自と歴史に裏打ちされた哀愁では及ばない。
しかし、たっぷり湿度を孕んだウェットな情感を武器に、彼女は注目を集める。
名前が広く音楽ファンに知れ渡ったのは1955年リリースのアルバム、
『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』。
そこに収められている曲こそ、今投稿の眼目。

即ち『 You’d Be So Nice To Come Home To 』。
(ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ)

作詞作曲は、アメリカエンタメ界を代表する音楽家「コール・ポーター」。
『 I’ve Got You Under My Skin 』。
『 Lave For Sale 』。
『 Night And Day 』。
『 Begin the Beguine 』など数々のスタンダードナンバーを手掛けた天才による曲、
『 You’d Be--- 』は、概ねこんな内容。

<君の待つ家に帰れたら。
 暖炉のそばに君がいてくれたらそれでいい。
 空でそよ風が子守唄を奏でていても僕の望みは同じ。
 凍てつく冬の星の下でも、灼けつく真夏の月の下でも。
 You’d be paradise to come home to and love.  
 愛する君がいる場所、そこは天上の楽園に等しい>

(※意訳/りくすけ)

元々は、1943年に公開された映画の劇中歌。
つまり時は大戦下。
星が瞬く凍ていたロシアの夜空の下で凍えながら、
月が照らす太平洋の島のジャングルで怯えながら。
遠い異国の戦場に身を置く愛する人と引き離された銃後のアメリカで、
『 You’d Be--- 』は共感を呼んだ。

ウクライナ-ロシア。
パレスチナ-イスラエル。
2つの戦争が続く2024年の秋の夜長だ(投稿時)。
耳を傾けてみてはいかがだろうか。

Helen Merrill / You'd Be So Nice to Come Home To [with Lyrics]]

                          

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4 コメント

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Unknown (mayucoplasma)
2024-11-16 22:10:10
息子は日本でも活躍したアラン・メリルですね
アイ ラブ ロックンロールの作者です
返信する
mayucoplasma様へ。 (りくすけ)
2024-11-17 06:36:02
コメントありがとうございます。

おっしゃる通りです。
「ヘレン」は数年、日本で暮らしたとか。
日本のジャズメンとの共演も多いようです。
その親日家の母がいるから、
息子さんと日本のご縁が生まれたのかも。

彼女のウエットな歌声は、
昭和演歌・歌謡曲に通ずるテイストあり
と思います。

では、また。
返信する
今宵聴きます (6x6)
2024-11-17 07:39:19
素晴らしい解説です。
今宵、じっくりと聴き直します。
A面(いまはLPで聴かないか)の3曲の流れが最高です。What's Newでの声のかすれというか揺らぎに痺れます。でも真打ちのこの曲がなければ、その価値も薄れてしまいます。

しかし、確かに尋常ではない出来のアルバムですよね。
返信する
6×6様へ (りくすけ)
2024-11-17 08:44:02
コメントありがとうございます。
過分なお褒めに与り面映い限りながら、
創作の励みになります。

50年代のジャズに秀作・名作が少なくないのは、
やはりアメリカ社会の充実が寄与していると推測。
強い経済力が多くの才能を育て、
タレントたちが鎬を削る環境があった。
歌は世に連れ、世は歌に連れ。
ジャズにとってはいい時代ですね。

今宵の音楽鑑賞が貴兄にとっていい時間になれば
幸いです。
では、また。
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