僕が暮らす石川県の津幡町には、こんな地点名がある。
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「住ノ江(すみのえ)」だ。
「江」を辞書で引くとこうある。
『海や湖沼の陸地に入り込んでいる所。入り江。古くは、広く海・川・堀などをいった。』
現在「住ノ江」周辺は、海や湖沼の陸地に入り込んでいる所ではない。
海もない。
近くに川はあるが、川は町内を横断していてここだけの特徴ではない。
以下、まったくの独りよがりな空想。
かつて城下町・宿場町だった頃、
干拓前の河北潟が迫る湿地が広がっていた頃、
今とは様相の違う当時の名残が、呼び名になっているのではないだろうか。
大阪にも似た地名がある。
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「住之江(すみのえ)」である。
古代、大阪市・住之江区周辺は海が迫り、入り江をなしてしたという。
--- 枕が長くなった。
今宵、大阪「住之江競艇場」に於いて、
「第74回 ボートレースオールスター(笹川賞競走)」優勝戦が行われるっ!
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今年2つ目のSG(スペシャルグレード)競走。
ファン投票で選ばれた者と推薦枠あわせて52名、
綺羅星の如き人気レーサーたちが一堂に会し覇を競う。
5日間の激戦が繰り広げられ、最後のピットへ舳先を進める6戦士が決まった。
1号艇:篠崎 仁志(福岡)
2号艇:徳増 秀樹(静岡)
3号艇:守田 俊介(滋賀)
4号艇:平本 真之(愛知)
5号艇:毒島 誠(群馬)
6号艇:白井 英治(山口)
おととい予選最終日は大荒れだった。
得点上位者たちが、着を落とし、フライングに散り、
あれよあれよという間に転がり落ちてゆく。
レースが終わるたびに順位が入れ替わる。
次ステージ進出のボーダーも乱高下。
こんな流れの中では、往々にして伏兵が現れるものと思っていたら、案の定。
8位から7人牛蒡抜きで「篠崎仁志」がトップに躍り出た。
もちろん、ラッキーだけではない。
本人の高い技術と、強い意志があればこそ。
彼は自分の力で「流れを掴んだ」のである。
果たして「篠崎」は、きのうの準優勝戦も危なげなく乗り切り、
本日のポールポジションを獲得した。
SG初戴冠、濃厚である。
隣に陣取る「徳増」も勝てばSG初戴冠。
2人の一騎打ちになる可能性が高い。
僕がエールを送る「毒島」は、何とか踏ん張った。
おとといの失速がなければ、もっといいポジションにいたのに。
去年の「住之江グランプリ」と同じ、予選最終日が鬼門だった。
致し方ない。
優勝戦が乱戦にもつれ込めば、栄冠への道が拓けるかもしれない。
正直、かなり厳しいと思う。
しかし、勝負は何があるか分からない。
オジサンは、淡い期待を抱いて夜の訪れを待っているのである。
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それにしても「平高奈菜」は、惜しかった。
一時は3コースから2番手に浮上し、
内から外から追いすがる男子トップレーサー共を突き放し、
史上3人目の女子SGファイナリスト進出を手にしかけた。
最後は力尽きてしまったが、素晴らしい走りを見せてくれた。
胸が熱くなった。
舟券も当たりそうだったし(笑)。
さあ、そんなこんなで迎えた「オールスター」ラストバトルのファンファーレは、
本日20時40分に轟く。
BSフジで生中継もある。
ご都合が許せば、観戦をお勧めしたい。
<追記:2020年6月1日>
夜空に瞬く綺羅星の中で、一等星に輝いたのは「篠崎元志」だった。
他艇を寄せ付けない見事なイン逃げで、SG初戴冠!
おめでとう!
勝利者インタビューで「やっと緊張から解放された」と、
涙ながらに語る様子が印象に残る。
勝って当然の1号艇。
兄弟でのSGウィナー。
去年フライングを切った喪が明けたSG復帰戦。
--- 軽くない重圧を跳ね除ける戦いだっただろう。
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応援した「毒島誠」は3着。
レース中、2着に上がれる場面もあったが、叶わなかった。
しかし、気迫溢れるいい走りだった。
次に期待。
年間チャンピオンを目指して欲しい。