つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

津幡短信vol.128. ~ 令和七年 如月。

2025年02月15日 19時19分19秒 | 津幡短信。
                     
津幡町で見聞した、よしなしごとを簡潔にお届けする不定期通信。
今回は、以下の1本。
                               
【凍晴の街歩き。】

今投稿の内題に選んだ「凍晴(いてばれ)」は、冬の季語である。
2月の記事には相応しくないが、まさにピッタリ。
放射冷却によって凍りつくように寒い快晴の今朝、
久しぶりに小一時間の散歩を楽しんだ。



最初の写真はご近所の歩道の様子。
あちこちに雪が融け残っている。
無理もない、ほんの1週間前は一面の雪景色だったのだ。
左手前、薄氷がお分かりになるだろうか?
路面のちょっとした窪みに張った氷は、一種のトラップ。
気付かずに勢いよく踏み出し滑ったりしたら、転倒~ケガに繋がりかねない。
故に、歩みは自然とスローテンポに。
また、不安定な一本足の滞空時間を短くするため歩幅は狭くなる。
安全第一。僕は慎重に津幡川を目指して進んだ。



対岸から「弘願寺(ぐがんじ)」を望む。
大屋根の下には、甍を滑り落ちて出来上がった堆い雪の山。
流れる水は勿論冷たい。
もし、僕が落ちたりしたら1分と留まってはいられないだろう。
川面を覗き込んでも観止める魚影もない環境だが、ここを棲み処にする生きものがいる。



川がS字カーブを描き淀む一角には、大勢の水鳥たち。
羽毛が断熱材として空気層を作り、冷たい外気温から守っているのに加え、
彼らは体内に「ワンダーネット」という仕組みを持つ。
動脈に静脈が絡まった構造によって動脈が静脈を温める。
外気(水)の影響で冷えた血液が、体の芯まで冷やしてしまうのを防いでいるのだ。
まったく、自然の偉大さには叶わないと思う。



自然の偉大さ--- 言い換えるなら強大さの現れの1つが「地震」だ。
清水八幡宮の第一鳥居は、あの揺れによってダメージを被り撤去された。
案内看板にある石材「赤戸室石(あかとむろいし)」は、
金沢市の郊外の戸室山周辺で採掘されている青・赤色系の安山岩。
硬質で耐火性・耐凍結性に強いのが特徴で、金沢城の城壁などにも使われている。
看板背後、同材らしきの石灯籠も無傷ではいられなかったのか?
竿(さお)に補強のためと思われる部材を発見。
この分野に疎い僕の杞憂に終わればいいが、これからも佇んでいて欲しいものだ。



さて、寒いとはいえ、季節の巡りは春に差し掛かっている。
梅の一輪でも綻んでいないかと考え、思い当たるところを訪ねてみたが開花は見つけられず。
やはり、今、眼福を与えてくれるのは、やはり冬の季語である花「山茶花」だ。



山茶花や 土気はなれて 雪のいろ  -  加賀千代女


<津幡短信 vol.128>
                           
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津幡短信vol.127. ~ 新春風物詩。

2025年01月13日 19時19分19秒 | 津幡短信。
                     
津幡町で見聞した、よしなしごとを簡潔にお届けする不定期通信。
今回は、以下の1本。
                               
【新春の風物詩。】

先日(2025年)1月4日のこと。
朝から午前の仕事を終えた帰路「住之江橋」に差し掛かると、
下流側の欄干に人だかりが出来ていた。
『人が川に落ちたのか?』
『熊や猪など大型獣でも現れたのか?』
近くに車を停め、捕物や捜索を思い浮かべながら近づいてみるも然に非ず。
僕を含めた野次馬の目当ては「河北郡市消防団連合会出初式」だった。





近隣一帯から総動員された消防車が物々しくサイレンを鳴らしながら集結。
津幡川河川敷道路に縦列整列し、次々とホースを川面に下ろす。
身を切るような寒風が吹き抜ける中、下帯姿の男たちが身構える。
対岸の指揮車が旗振りに合わせ一斉放水。
観客からも拍手が上がった。



続いては本日(2025/01/13)「清水八幡神社」で行われた「左義長」。
ご存じ小正月の火祭り。
別名「どんど焼き」「鬼火焚き」。
門松や注連飾り、縁起物、書初めなどを焼き、その炎と共に歳神を送り、
一年の無病息災と幸福、豊作を祈る。





ちょうど鏡開き直後である。
参加者の多くが焚火で振る舞い餅を焼いていた。
僕も子供の頃、同じように竹竿を伸ばした記憶がある。
また神社社務所では「ぜんざい(200円)」を販売。
今年も一つ相伴に与る。旨かった。ごちそうさまでした。



ラストは上記左義長後に立ち寄った施設「津幡ふるさと歴史館 れきしる」で撮影。
まずは「旗源平(はたげんぺい)」。
<百万石城下町金沢で行われた遊技で、お正月には武家、商家、老若男女を問わず
 賽の目より源氏(白旗)、平家(赤旗)をはげしく争奪する加賀藩独特の旗取ゲームです。
 これは、加賀前田家12代斉広 (なりなが)公の頃、武術の達人土方常輔が
 遊技を以て町民にも治にいて乱を忘れさせない意図で案出したものといわれています。
 遊具は笹竜胆(ささりんどう)の白、揚羽蝶(あげはちょう)の赤の
 纏(まとい)と旗をならべた優雅なものです。
 なお、この旗源平は明治の初期頃に金沢の旧家で用いられていたものを模したもので、
 旗はすべて手作りで旗の上にはそれぞれ「軍配」「千成ひょうたん」をつけ、
 勇壮さと優雅さを合わせ持った遊具です。>
(※<   >内、説明パネルより引用/原文ママ)



続いては「炬燵」。
僕個人の周囲からこの頭寒足熱の暖房器具が消えて久しい。
展示にあるとおり、コイツの上で飯を喰ったり、麻雀したりしたものだ。
ちょうど今「れきしる」では3月末まで
冬の民俗資料展「暖房器具のいろいろ」を開催中。
都合と時間が許せば足を運んでみてはいかがだろうか。

<津幡短信 vol.127>
                        
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津幡短信vol.126. ~ 令和七年 正月。

2025年01月03日 07時30分00秒 | 津幡短信。
                     
新年おめでとうございます。
今年も拙ブログをどうぞよろしくお願いいたします。
令和7年(2025年)最初の投稿は、
津幡町で見聞した、よしなしごとを簡潔にお届けする不定期通信。
今回は、以下の1本。
                               
【元旦叙景。】

『弁当忘れても、傘忘れるな』
ご存じの向きもあるだろうが、北陸から山陰にかけそんな諺が伝わる。
陽が差しているかと思えば、にわかに搔き曇り風が吹き始め、
雨や雪が落ちてきて、ひとしきり降りが続いたらまたブレイク。
目まぐるしく変化する冬の天気を指す言葉だ。
元日の空模様も不安定だったが、朝方~午前は晴れ間が覗いた。



「おやど橋」から津幡川越しに「弘願寺(ぐがんじ)」を望む。
微風が残りさざ波が立ってしまったが、辺りの景観と空が川面に映る。
撮影したのは午前6時半頃だったか。
車も人も通らない早朝、穏やかな北陸の片田舎らしい幕開けだ。
耳朶を打つのは水鳥の羽ばたきのみ。
画像奥、右へカーブした流れの向うに少なくない数の鴨類が留鳥として生息している。
姿かたちからして水面採餌タイプと推測。
水に浮いた種子や昆虫を食べる彼らにとって、
岸近くに葦が生え、敵も少ない津幡川は住み心地がいいのかもしれない。



変わっては津幡町加賀爪の「白鳥(しらとり)神社」。
昔々この地に舞い降りた白鳥を捕らえ献上したところ、
日本武尊(やまとたける)の魂が白鳥となって飛び去った話を思い出した天皇が、
お宮を建て白鳥の神と名付けて祀ったのが由来とか。
鳥居が竹製にのは、一年前の地震の影響だ。
ダメージを負い倒壊の危険があるとして、元の鳥居は撤去。
石造りを再建するには7桁の費用が必要と聞いた。
「仮鳥居」になって半年が経つ。



本殿内に明かりが灯り、人の話し声が聞こえる。
初詣の準備が進んでいる様子。
僕は平穏無事な一年を願い手を合わせた。

<津幡短信 vol.126>
                        
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津幡短信vol.125. ~ 令和六年 霜月。

2024年11月14日 13時00分00秒 | 津幡短信。
                      
津幡町で見聞した、よしなしごとを簡潔にお届けする不定期通信。
今回は、以下の2本。
                               
【冬支度、始まる。】

このところ北陸は「小春日和」が続いている。
小春は「春のような陽気の晩秋から初冬」を指し、
日和は「空模様、天気(よい天気)」の意。
朝晩は程々に涼しく、日中は晴れ程々に暖かい。
こんな理想的な気候がいつまでも続けばいいのにと思うが、そうは問屋が卸さない。
季節は真冬に向かって進んでいる。
穏やかで過ごし易い時間を有効に使い、冬支度が始まった。







上掲1枚目は「消雪装置点検作業の告知看板」。
ご存じのとおり、雪を地下水で融かしグリップの効くアスファルト面を確保する備え。
当然、春~秋に出番はなく、このタイミングで動作確認・修理を行う。
雨のない日にハンドルを握り濡れた道を走るのは、冬接近を実感する。

上掲2・3枚目は「ホームセンター店頭」。
ズラリと並んだ灯油用の青いポリタンク。
除雪機、スタッドレスタイヤ売出の看板。
これらが欠かせない日常は遠くない未来。
備えは今のうちに--- なのである。

【大詰めに向け。】



ミニボートピア津幡周辺には「チャレンジカップ」の幟がはためく様になった。
年間9回開催されるビッグレースはカレンダー替わり。
・クラシックは、春分。
・オールスターは、立夏。
・グランドチャンピオンが、夏至。
・オーシャンカップは、大暑。
・メモリアルで、立秋。
・ダービーは、秋分。
・チャレンジカップが、立冬。
・グランプリとグランプリシリーズは、冬至--- といった具合。
興味のない方には、まったくピンとこないだろう。
しかし我々競艇ファンにとっては、月日の巡りを報せてくれる。
そして季節は寒さを増してゆくが、戦いは年間チャンピオン決定へ向け熱を帯びてゆく。



来春、わが津幡町で大相撲巡業が行われることになった。
僕が生まれてからは初めてだと思う。
キッカケは、勿論地元出身「十両-欧勝海」と「大関-大の里」の存在。
2024年11月14日現在、福岡国際センターで開催中の九州場所では、
両力士が奮闘中である。
この興行の時、それぞれの番付が上がっていることを望む。
                         
<津幡短信 vol.125>
                        
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津幡短信vol.124. ~ 令和六年 神無月。

2024年10月06日 10時10分10秒 | 津幡短信。
                      
津幡町で見聞した、よしなしごとを簡潔にお届けする不定期通信。
今回は、以下の2本。
                               
【深まる、秋と思慮。】

10月の声を聞いた途端、めっきり涼しくなった。
汗を拭うハンドタオルが手放せなかった頃は、今は昔。
拙ブログをご覧の皆さま、気温の変化に体調を崩したりせぬようご自愛ください。



津幡町ふるさと歴史館「れきしる」前で撮影した「曼珠沙華」。
夏、地上部を枯らして休眠しているが、
秋、暑さが落ち着いてきたなと思うとまず花を咲かせる。
冬、葉だけになって春を待つ。
葬式花(そうしきばな)、墓花(はかばな)、死人花(しびとばな)、
地獄花(じごくばな)、幽霊花(ゆうれいばな)---。
不吉な別名を持つ花の姿は、妖しくも美しい。
この花を見かけると僕は「山口百恵」さんの歌を思い出す。

涙にならない悲しみのある事を知ったのは ついこの頃
形にならない幸福(しあわせ)が何故かしら重いのも そうこの頃
あなたへの手紙 最後の一行 思いつかない
どこでけじめをつけましょ
窓辺の花が咲いた時 はかなく花が散った時
いいえ あなたに愛された時
マンジューシャカ 恋する女は
マンジューシャカ 罪作り
白い花さえ 真紅(まっか)に染める

(作詞:阿木耀子/作曲:宇崎竜童/「曼珠沙華(マンジュ―シャカ)」’78)

リリース当時、僕は坊主頭の中学1年生。
歌に潜む意味を満足に読み取れなかった。
しかし、恋や愛は好き嫌いで二分できるような単純な感情ではなく、
複雑な理由が絡み合うものだと彼女のアルトボイスが教えてくれた。
そして、その情念を可視化した一つが紅い曼珠沙華なのだと思った。



ご近所のイチョウが色づき、枝には銀杏が鈴生り。
樹の下に身を置くと独特の芳香に包まれ、秋の訪れを実感する。
イチョウも急な季節替わりに慌てていたりしないだろうか。



並木前の道路は交互通行。
工事が始まってもうかれこれ3ヶ月あまりになるだろうか。
歪みは今年元日に発生した能登半島地震に起因すると推測。
町内各所で地盤沈下や隆起、消雪装置の修繕などが見受けられる。



住吉橋傍では災害復旧護岸工事の真っ最中。
水害の怖ろしさは、昨年・7月にわが津幡町を襲った豪雨、
先日の能登豪雨が記憶に新しいところ。
能登北部が記録的な大雨にみまわれたのは9月21日。
2週間が経過し男女14人の死亡が確認された。
輪島市で10人、珠洲市で3人、能登町で1人。
人命損失に加え、人心の疲弊・地域が負うダメージを考えると遣り切れない。

【判明、内弁慶(筋金入り)。】

ハナシはガラリと変わり、極めて私的な話題。
今投稿のちょうど3ヶ月前に紹介した二代目愛犬「うみのすけ」だ。
猛暑をものともせずメキメキと成長し、体重倍増。
健康なのは大変結構なのだが---。





涼しくなってきたので、散歩に連れ出すもやる気ゼロ。
外に出るや否や、地面に寝転んで強行にストライキ。
室内では良く走り回るくせに、外では梃子でも動かない。
一緒に連れ立って歩くことを楽しみにしていたのだが、
願いは叶わないかもしれない。
まあ致し方なし、彼の個性だ。
                         
<津幡短信 vol.124>
                        
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