つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

曇天の下、春ありて。

2022年03月26日 18時30分00秒 | 自然
                    
本日(2022/03/26)は、全国的にお天気が悪いようだ。
ここ北陸も午前から雨予報。
早々にゴミ出し、洗濯をすませ、散歩へ出発したのは午前7時前だったか。



晴れていれば十分明るい時間帯だが、
感知式街路灯が点いている様子からも分かる通り、薄暗い。
今にも泣き出しそうな空を見上げつつ、急ぎ足で小一時間。
いくつか「春」を見つけることができた。



土筆煮て 飯くふ夜の 台所  -  正岡子規

皆さんは土筆を食べたことがあるだろうか?
僕の記憶に残るのは、卵とじと天ぷらだ。
茎の継ぎ目に在る「はかま」を取り除き、流水で洗って乾かし、
前者は、出汁・酒・みりん・醤油で煮込み、最後に溶き卵を流し入れる。
後者は、同じ下処理の後、水溶き天ぷら粉に潜らせ、やや低温の油へ投入。
ほろ苦い春の味は、しばらくいただいていない。
(※上掲画像、ぼやけた背景から土筆を眺めているのは、愛犬・りくすけ)



燕(つばくろ)や ひらりひらりと 町の中  -  正岡子規

今年初めて、空に燕の姿を見止めた。
まだ数は少ないものの、もうそんな季節になったかと軽く驚く。
さすがに飛翔する姿をカメラに収めるのは難しく、
代わって彼等が毎年定宿にしているビルの庇へレンズを向けた。
古い巣の残骸に挟まれ、小さな作りかけの塒(ねぐら)を発見。
やがて、泥と草の受け皿からは、可愛くも喧しい鳴き声が聞こえてくるに違いない。



雨雲に 紅暈(こううん)置けり 花杏  -  水原秋桜子

「弘願寺(ぐがんじ)」の裏手で花の盛りを迎えた「杏(あんず)」。
原産は中国。
奈良時代、梅と共に渡来したといわれる。
実は広く食用にされ、日本の女性名として使われることも多い果樹だ。



薄紅の花色は桜によく似て華やかな印象。
桜より一足早く咲き、可憐な乙女を連想させるともいわれる。
“金沢三文豪”の一人「室生犀星(むろう・さいせい)」晩年の代表作、
「杏っ子」のタイトルもあり、石川県民は思い入れを抱く花かもしれない。
                     
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歴史は夜に創られた。

2022年03月21日 23時23分23秒 | 賭けたり競ったり
                      


本日(2022/03/21)長崎県・大村競艇場に於いて行われた
今年初のSGレース「第57回 ボートレース・クラシック」優勝戦は、
1号艇に乗艇した「遠藤エミ」の優勝で幕を下ろした。
競艇70年の歴史で、初の女子レーサーによるSG制覇。
新しい扉が開いた。



夜半から降り始めた雨が激しく水面を打つ。
ファンファーレに促されて始まった優勝戦。
レースの進入隊形は、枠なり3対3。
全員がコンマ0台に踏み込んだスタート。
大変レベルの高い横一線だ。
真っ先に最初のターンを回った「遠藤」。
追いすがる2号艇と3号艇がもつれ合う。
その隙を突き4号艇と5号艇が内を差す。
それら後続を突き放す1号艇の足たるや!
強い!



勝負あった。
ついに、この日が来た。
プレッシャーから眠れない夜を過ごしたという勝者には、
名前のような「笑み」はない。
歓喜もない。
涙に暮れて前人未踏の境地に辿り着いた。



おめでとう!
                 
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賭けたり、競ったり、動転したり。

2022年03月21日 09時31分31秒 | 賭けたり競ったり
                     
<はじめに>
今の世は「憂い」が溢れている。
欧州の戦、東北の地震、半島のミサイル、新型コロナ、等々。
そんな様相の中で少々気後れするが、今回投稿は「競艇」のハナシである。
--- 考えてみれば、いつも「憂き世」に憂いは付き物。
どうか大目に見てもらえれば幸いだ。



<本 編>
今宵、長崎県・大村競艇場に於いて、今年初のSGレース優勝戦が行われる。
SGとは「Special Grade」の略。
365日、常に何処かで開かれているレースの中で、年間9回だけのビッグタイトルだ。
その1つ「ボートレース・クラシック」のスケジュールは、毎年3月後半。
競艇ファンに季節変わりを実感させてくれる。
---しかし、今年ばかりは、穏やかな“春うらら”とはいかない心境かもしれない。



5日間に亘る激戦を勝ち抜き、最後の6ピットへ舳先を進めたのは以下の通り。

1号艇:遠藤エミ(滋賀)
2号艇:秦 英悟(大阪)
3号艇:毒島 誠(群馬)
4号艇:上條暢嵩(福岡)
5号艇:中島考平(山口)
6号艇:前田将太(福岡)

この競技が産声を挙げて70年。
女子レーサーが初めてSGを制するかもしれないのだ。
しかも、その確率は極めて高い。
予選道中も、きのうの準優勝戦も、並み居る強豪をねじ伏せ、
彼女はポールポジションを掴み取った。
今節の機力(モーター)は、間違いなく最上位。
1号艇なら(女子選手の)軽量が活かせる。
優勝の最有力候補と言って差し障りないだろう。

「ついに、この日が来たか」

そう考えているファンは少なくない。
しかし、圧し掛かる重圧は相当だろう。
他のメンバーも指を咥えている者など誰もいない。
重い、重い扉はまだ閉まったまま。
快挙はまだ成し遂げられていない。
まだ何も終わってはいない。

ドラマの幕は、今宵、切って落とされる。
僕は、3号艇「毒島」へエールを送りつつ見届けたいと思う。
歴史が下す審判を。
                 
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13歳、The Heart of Saturday Night。

2022年03月19日 20時20分20秒 | 手すさびにて候。
                           
バグダッドの街の一角、
マルコは、高貴な身分らしい青いヴェールをかけた少女とすれちがい、
その美しさに、思わず立ちつくした。

翌日、街角の寺院で少女が連れていた黒衣の女を見つけ、
マルコはとっさに、回路の奥に消えようとしていた女を追いかけた。
女が消えた建物に近づき、扉の中をのぞくと、すぐ内側にいた女は、
ドギマギするマルコを奥へと案内するのだった。
暗く寂しい室内が、進むにつれきらびやかになってゆき、
突きあたりの大広間には噴水さえ見える。
ヴェールのたなびく部屋が続き、マルコはその奥に、昨日の美しい少女を見つけた。
少女の名はビドア。
旅の話を求められるまま、マルコはヴェネチアのこと、父との旅立ちのこと、
出逢った人々のことなどを語り始めた。
夢のようなひと時が過ぎ、ビドアは明日もまた来てくれるよう頼むのだった。

ある日マルコは、旅人たちがモンゴル軍総攻撃のことについて話しているのを耳にする。
いい知れぬ予感を覚えたマルコは、街の老歴史家を訪ねた。
「ビドア--- 時のカリフ、ムスターシム・ビラーのひとり娘ビドア、
 当時16歳--- 戦乱の折、行方不明--- 」

ビドアとの別れは突然おとずれた。私の形見と思って下さい。---と渡される指輪。
もう一度、ビドアに会いたい。
マルコが訪れた建物は、荒れた廃墟になっており、
庭園があったはずの場所には墓碑が何百と並んでいた。
そしてその一つになびく、青いヴェール。
マルコが駆け寄ろうとした時、ヴェールは消えてしまった。
茫然と立ちつくすマルコ。
しかしその手には、しっかりとビドアの指輪が握られていた。(※)




ほんの手すさび 手慰み。
不定期イラスト連載・第百九十七弾は、
「アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険」より「バグダッドの幻想」。
拙ブログで同作の話題を取り上げるのは、今回で5度目である。

同作は、昭和54年(1979年)からNHK総合テレビで、
一年間に亘り放送された一風変わったテレビアニメ。
NHKの一大ドキュメンタリー「シルクロード」と連動し、
歴史上の人物・マルコ・ポーロの人生を描くドラマ部分は、アニメ。 
話の舞台になる場所の風景や風俗は、現地ロケの実写映像で紹介。

そんな実験的作風が災いしたのか視聴率は振るわなかったものの、
一部、熱心なファンもいた。
僕はその1人である。
ちょうど41年前の今時分、土曜日の午後7時半。
13歳の僕は、茶の間のテレビの前に陣取り、
イタリア・ベネチア~中国・北京への壮大な旅に胸を高鳴らせたものだ。

美少女の面影を求めバザールの雑踏を駆け抜ける少年。
モスクの尖塔と、コーランの祈りの声。
暗殺教団の谷。
世界最大の湖・カスピ海のチョウザメ漁。
ナツメヤシの木陰に佇むエキゾチックな顔立ちの女性達。
美しいペルシャ絨毯。
一本の草木もない天山山脈を吹き抜ける風。
バーミヤンの石仏群。
砂の海を往くラクダの隊列。
それらは、僕の心を遥か旅の空へと誘って(いざなって)くれた。

ところで「マルコ・ポーロの冒険」は長年“幻のアニメ”と言われていた。
当時は放送用ビデオテープが大変高価で、他番組を上書きした為、
全43話中41話が消失。--- と思われていた。
しかし、2020年・12月【保管庫から全ての映像を発掘】との嬉しいニュースが届く。
視聴者提供ビデオテープ・カセットテープなどの音声を用い、
復刻作業が進行中という。
いつの日か、観賞できる機会が来るのを心待ちにしている。

(※ 昭和55年 徳間書店刊
   「ロマンアルバムDELUXE マルコ・ポーロの冒険」より
   「バグダッドの幻想」抜粋/引用 原文ママ)
                      
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津幡短信vol.99 ~ 令和四年 弥生。

2022年03月13日 19時19分19秒 | 津幡短信。
                  

津幡町で見聞した、よしなしごとを簡潔にお届けする不定期通信。
今回の話題は以下の3本。

【シグナスにて、観賞。】

町の文化会館「シグナス」にて、東京五輪女子レスリングで金メダリストとなった
津幡町出身の「川井梨紗子」選手と、妹の「川井友香子」選手の展示が行われている。



競技用、式典用ユニフォーム、シューズ、キャップなどを
川井家から町が借り受け、期間を定めず常設展示するとのことだ。
写真や映像を通じた試合中の姿は、ご両名ともアスリートのそれ。
しかし、展示品のサイズが意外に小さく、驚いた。
鍛え上げた肉体美は、努力と節制の賜物なのだと納得する。



また、同施設にて本日(2022/03/13)まで、
「第7回 津幡町少年少女美術展」が開催されていた。
会場にお邪魔する。



書道・絵画・陶芸・絵手紙。
町内の小中学生による300点あまりの作品の中で、
個人的に気に入ったのは「雲外蒼天」の書。
字が下手な僕が言うのも面映いが、よく書けていると思う。
何よりチョイスがいい。
雲海を抜けたところにある青い空。
悩み、藻掻き、試練を乗り越え高みを目指す。
中三の気概が滲み出ているなと思うのである。
             
【津幡町役場にて、投票。】



石川県は、過去60年近くの間、知事を務めたのは2人だけ。
バリバリの保守王国に28年間君臨した「谷本」氏が引退し、
(おそらく)今夜「新しい県知事」が誕生する。



保守分裂に加え、金沢市長も参戦。
投票率もまあまあ高い。
勿論、僕も一票を投じてきた。
さぁ、結果は如何に---?!

【グラウンドで感じた、球春。】



津幡小学校のグラウンドに、子供たちの元気な声。
「津幡どんぐり」と「英田(あがた)パワフルズ」、
学童野球チームの練習試合が行われていた。
少子化の世の中であり、野球競技を取り巻く環境も過去とは違う。
「雲外蒼天」の気概で頑張って欲しい。

<津幡短信 vol.99>
                   
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