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◆<東京新聞社説>安保法成立9年 他国攻撃に道開く危うさ

2024年09月19日 09時57分50秒 | ●YAMACHANの雑記帳
安倍晋三政権が強行した安全保障関連法の成立から19日で9年。「存立危機事態」という新しい概念が導入され、「集団的自衛権の行使」により、他国同士の戦争への参加が可能になった。
 さらに岸田文雄内閣は、歴代内閣が憲法が認める自衛のための必要最小限度の実力を超えるとして認めてこなかった「敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有」に転じ、日本が直接攻撃されていない存立危機事態でも他国領域への攻撃は可能との見解を明らかにした。
 それでも政府は「専守防衛の範囲内で整合性が取れている」という。専守防衛とは「相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使」する防衛政策。日本が直接攻撃されていない段階で他国領域を攻撃する反撃能力との矛盾は明らかで、戦争放棄、戦力不保持の憲法9条を蔑(ないがし)ろにするものだ。

◆存立危機想定した訓練

 存立危機事態とは、米国など日本と密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態を指す。他に適当な手段がない場合、集団的自衛権を行使して、自衛隊による武力の行使が可能とされた。
 集団的自衛権の行使について、歴代内閣は必要最小限度の範囲を超えるため、憲法上認められないとの憲法解釈を堅持してきた。
 安倍内閣が2014年、この解釈を一内閣の独断で変更し、翌15年に成立させたのが安保法だ。自衛隊は他国同士の戦争に法的には参戦できるようになり、日米の軍事的一体化はさらに進んだ。
 米海軍が2年に1度、ハワイ周辺海域で主催し、自衛隊も参加する世界最大規模の海上演習「環太平洋合同演習(リムパック)」。22年から集団的自衛権の行使を想定した自衛隊との合同訓練が行われるようになった=写真は24年のリムパックに参加した輸送艦「くにさき」、相模湾で。
 ただ、安保法成立当時、日本政府は長距離ミサイルなどの敵基地攻撃能力を、平素から保有することは認めておらず、安倍首相も国会で「敵基地攻撃を目的とした装備体系を整備することは考えていない」「米国の打撃力に依存しており、今後とも、日米間の基本的な役割分担を変更することは考えていない」と答弁していた。
 自衛隊が「盾」、米軍が「矛」の役割を担ってきた日米安全保障条約の役割分担を根本から変えたのが、岸田内閣による22年12月の「国家安全保障戦略」改定だ。
 これにより自衛隊は、歴代内閣が認めなかった敵基地攻撃能力を平時から持てるようになり、長距離ミサイルなどの開発、整備のために巨額の防衛費が計上された。
 「防衛力の抜本的強化」を掲げる岸田内閣は、23年度から5年間の防衛費の総額を43兆円とし、これまでの国内総生産(GDP)比1%程度から27年度には2%にまで増額させる方針を決定した。
 第2次安倍政権前の12年度に約4兆7千億円だった防衛費は25年度の概算要求で約8兆5千億円に膨らんだ。財源の一部は所得、法人、たばこ3税の増税で賄う方針で国民に新たな負担を強いる。

◆周辺の緊張、逆に高める

 敵基地攻撃能力の保有は、防衛費の膨張にとどまらず、日本が他国同士の戦争に参加する可能性により現実味を帯びさせている。
 岸田首相が、日本が攻撃されていない存立危機事態でも「反撃能力の運用は、実際に発生した状況に即して個別具体的に判断する」と、認められるとの見解を明らかにしたからだ。
 岸田首相は「(ロシアに侵攻された)きょうのウクライナはあすの東アジアかもしれない」と繰り返し、麻生太郎自民党副総裁は、中国と台湾が軍事衝突に至る台湾有事について「日本の存立危機事態だと日本政府が判断をする可能性が極めて大きい」と強調する。
 集団的自衛権を行使する安保法に敵基地攻撃能力の保有が加わり日本が周辺地域での紛争に参戦する可能性は格段に高まった。
 政府は、安保法で「抑止力はさらに高まる」、敵基地攻撃能力の保有で「武力攻撃そのものの可能性を低下させる」と繰り返すが、周辺情勢を見渡すと軍事的緊張は以前より高まり、軍拡競争を加速させる「安全保障のジレンマ」に陥っていると言わざるを得ない。
 憲法9条に基づく専守防衛は、かつて戦争で国内外に多大の犠牲を強いた戦争への反省にほかならない。専守防衛を隠れみのに、際限なく軍備拡張を続けることをこれ以上、許してはならない。
 
 
 

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