24日から始まった衆院代表質問で、最初に登壇した立憲民主党の泉健太代表は政府の経済対策に関し、岸田文雄首相が検討を表明した所得税減税と防衛増税の整合性などを追及した。立民の緊急経済対策に盛り込んだ「インフレ手当」の給付をアピールし、政府の経済対策の策定遅れや、これまでの不十分な対応を批判して具体的な中身を問いただした。だが、首相は「国民への還元について早急に具体化する」などと述べるにとどめ、正面から答えようとしない姿勢が目立った。(中根政人、小椋由紀子)
◆「経済、経済、経済」って一体なにをするのか?
「減税の言葉をもてあそび、何をしたいのか見えない。言葉遊びに国民は失望の色を濃くしている」。泉氏は代表質問の冒頭、首相が衆参2補選の投開票日直前に、急きょ所得税減税の検討を与党に指示したにもかかわらず、所信表明演説で言及しなかったことを批判した上で、本当に行うのか明言するよう迫った。
首相は「与党で正式な議論も開始されていない段階で、具体化の方向性について政府の考えを述べることは控えなければならないと考えた」と釈明。実施時期や期間、対象などについて質問に答えなかった。
さらに、泉氏は首相が所信表明演説で「経済、経済、経済」と連呼したことに触れて「結局、国民に何を届けるのかいまだにわからない」と指摘。「それよりも、給付、給付、給付ではないか」と訴え、中間層を含む全世帯の6割を対象にした3万円の「インフレ手当」の給付を提案した。
首相は「賃上げが物価高に追いつくまで、政府が支えることも重要だ」と述べ、低所得者への給付を急ぐ必要性を強調したが、国民に関心の高い支援策の中身は明らかにならなかった。
◆「減税+防衛増税」の異様さ指摘されても首相は
法人、所得、たばこの3税が対象の防衛増税に関しては、泉氏は首相が時期を明らかにしないとして「極めて不誠実。減税でけむに巻こうとしているが、はぐらかしはいいかげんにして」と増税と減税の整合性をただした。少子化対策で必要となる最大で年3兆円台半ばの追加予算も「どこから確保するのか」と問うたが、首相から具体的な説明はなかった。
自民党の稲田朋美氏は代表質問で、与党の立場から首相に対して「税収増の還元は新しいメッセージだ。広く国民の理解を得て効果的な政策となるよう、丁寧な説明が必要だ」と述べ、検討している減税の内容を明らかにするよう促した。
それでも、首相は「コロナ禍における税収の増収分の一部を分かりやすく国民に還元できればと考えている。具体化に向けては、与党の税制調査会に早急な検討を指示する」として、詳細な説明を避けた。
◆具体的に答えないことが「常態化」している岸田首相
泉氏は代表質問後、記者団に「中身はほとんど何も明らかになっていない。(衆参両院の)本会議で明かさないことがもう常態化してしまっている」と述べ、答弁で「検討」の文言を繰り返す首相を非難した。
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