中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

中国嫌い

2008-04-14 22:15:54 | 中国のこと
 チベット問題とそれに関連して北京オリンピックの聖火リレーが妨害されていることが連日のように話題になっている。これで日本では嫌中国の感情はいっそう高まることだろう。日ごろ反中国的な気分を煽っている一部の週刊誌などのマスコミには絶好の材料だろうし、書店の平積みにも、扇情的な題の中国「批判」の本が増えている。オリンピックが近づくほどに反・嫌中国の熱気が高まり、いっそう多くの国民が反・嫌中意識にとらわれるのではないだろうかと思う。

 西安の李真とチャットしていたら、「今年はとても暇です。毎日メールが1通もない」と書いてきた。彼女は西安中国国際旅行社の日本部で、ツアーの計画や手配の仕事をしている。例年4月は結構忙しいのに今年は閑古鳥が鳴いているようだ。ヨーロッパ部とアメリカ部はそんなに減っていないとのことである。やはり例の餃子事件と、チベット問題が影響しているらしいと言う。

 前にも書いたが、私には餃子事件があったからと言って、中国旅行をキャンセルするということがどうしても理解できない。ある知人は私が中国に行くと話したら「大丈夫ですかあ」と大真面目に聞いたので返答に困った。何が大丈夫なのか分からなかった。これが今の大方の日本人の感覚なのだろう。餃子事件やチベット問題が、中国の食べ物一般のことや治安のことにまでに発展して、影に怯えると言うのか、中国のことは何でも悪いように思われて、とにかく不安に駆られてしまうのだろう。

 西安に来る観光客についても微妙な変化があるらしい。「3月にツアーを案内するとき、あるお客様は買い物をしたくなかった、中国の品物を買ったら、奥さんに怒られるって」と李真は書いていた。また「最近、お客様と付き合うのは難しいです。なんか中国のことが嫌いなお客様が多くて」とも言った。

 中国みやげにしようとするならば、何も食品だけではない。いろいろな工芸品なども多い。それさえも中国製だといかがわしい物になるのか、まったくの偏見だと思う。一人前の男が旅してきて、中国の品物を買ったら女房に怒られるとは哀れなことではないか。李真は日本に対して良い感情を持っている。日本人は親切だと好感を持っている。その李真が近頃中国を訪れる観光客と付き合うのが難しいと感じるようになっているのは悲しいことだと思う。中国に対して屈折した感情を持っているのなら、いっそのこと中国に行かなければよいのにと思う。そのような気持ちでせっかく訪れた中国や中国人に接しても、ネガティーブな印象しか持たないことになるだろう。

 李真は「日本人のそういうところはおかしいです」と言った。同じ日本人として私もおかしいと思う。狭い国土にいて、過剰な情報に振り回され、自分に自信がなく、付和雷同するのが日本人の国民性ならこれは悲しいことだ。

 私は中国が好きだ。観念的に好きなのではなく、この10年程の間に何度も中国を訪れて親しい友人もでき、いろいろと得がたい交流をする中で培われてきた感情だ。好きだからこそ、中国や中国人のあり方に疑問を持つことも少なからずある。国と国との関係はとかく建前や面子が前面に出て難しいことが多い。だがどの国の人間でも人間であることには変わりないことは、ささやかでも交わればすぐに理解できる。それが草の根の友好と言うものだろう。やはり嫌いになるよりも好きになった方が気持ちがいい。