村田エフェンディ滞土録 (梨木香歩 角川書店)
1900年代初頭、トルコに国費留学生として派遣された日本人の記録という体裁をとった物語。
イギリス人婦人の経営する下宿に逗留し、同じ下宿にいるドイツ人、ギリシャ人ら、また日本から訪れる数少ない人との交流を描く。
少々オカルティックな現象の描写も取り入れて幻想的なムードを加えている。
下宿の召使(奴隷)であるムハンマドの楽しみは仕事を終えてから珈琲店に座りこんで吸う水煙草。ために、夕食を早く食べ終われと催促する。奴隷といっても立場は対等。このムハンマドや彼が連れてきた生意気で賢い鸚鵡の描写が出色。
そのムハンマドはやがて起こる戦乱でケマル・パシャの兵士として死亡する。しかし彼の鸚鵡は数奇な経路を経て村田(主人公)のもとに届けられる。これがこの本の最後の部分。静かで淡々とした文章がかえって悲しみを深く感じさせた。
著者の著作で世間で一番評判が高いのは「西の魔女が死んだ」だろうか。それよりもこの本は随分と良かったように思う。
1900年代初頭、トルコに国費留学生として派遣された日本人の記録という体裁をとった物語。
イギリス人婦人の経営する下宿に逗留し、同じ下宿にいるドイツ人、ギリシャ人ら、また日本から訪れる数少ない人との交流を描く。
少々オカルティックな現象の描写も取り入れて幻想的なムードを加えている。
下宿の召使(奴隷)であるムハンマドの楽しみは仕事を終えてから珈琲店に座りこんで吸う水煙草。ために、夕食を早く食べ終われと催促する。奴隷といっても立場は対等。このムハンマドや彼が連れてきた生意気で賢い鸚鵡の描写が出色。
そのムハンマドはやがて起こる戦乱でケマル・パシャの兵士として死亡する。しかし彼の鸚鵡は数奇な経路を経て村田(主人公)のもとに届けられる。これがこの本の最後の部分。静かで淡々とした文章がかえって悲しみを深く感じさせた。
著者の著作で世間で一番評判が高いのは「西の魔女が死んだ」だろうか。それよりもこの本は随分と良かったように思う。