蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

家族の言い訳

2009年10月01日 | 本の感想
家族の言い訳(森浩美 双葉文庫)

タイトル通り、家族関係をテーマにした短編集。

家族間の葛藤とか愛憎とかといったドロドロ系の話ではなくて、「家族はこうあってほしい」みたいな、悪くいうとお涙ちょうだいというか予定調和系の話が多い。家族との関係に悩んでいたりする人にはカタストロフィがあるかもしれない。

著者は放送作家出身で、作詞家として有名な人。そう思って読むせいか、1回もののテレビ・ラジオドラマにぴったりの分量と内容だった。なので、「どっかで見たような、聞いたような話だなあ」というものが多い。

そういう前提にたったとしても、途中で投げ出したくなくなることもなく、気分よく読了できたのは、やっぱりベテランらしい技術のおかげでしょうか。
「おかあちゃんの口紅」なんか、読み初めて数行で「ああ、きっとあんな話だろうな」と想像できて、まさにその通りの筋なのに、最後にはちょっと感動できてしまうのでした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする