蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

世界は分けてもわからない

2009年10月24日 | 本の感想
世界は分けてもわからない(福岡伸一 講談社現代新書)

著者の作品を読んだのは確か3冊目だと思うが、たまたまその3冊とも構成・展開や主題がとても似ているように思った。

遺伝子や生物学の理論を門外漢にわかりやすく(あまり簡単すぎもせず、生物学以外のエピソードを交えながら説明するので、ちょっとひねた読者にもウケると思われる。実際読んでいて大変に面白い。著者の才能は研究よりこの分野にあるような気さえしてくる)解説し、後半では、初め大成功したのだがその後様々な原因によって研究の成果が否定された科学者とか、実は大発見を伴う研究をしたのに報われなかった科学者の伝記をのせている。

(本書もそうだが)作品の後半部分で、得意の絶頂にあった科学者がやがてその栄誉を剥奪される場面、大きな業績をあげたはずなのに世間に認知されなかった科学者の末路を描く場面などに、非常に迫力を感じる。
(それは、研究者としてのジェラシーとか、「オレだってもっと認められていい」という思いから来てるのかも・・・というのは下司の勘繰りというものだろう)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする