ここへ来て初めて葡萄狩りをした。愛知では毎年吟行会を楽しみながら、葡萄を摘んで、お腹いっぱいになるほどに味わっていたんだけれど…。
遠い昔、母は私に少しずつ大人の話しに導入してくれた。
世の中では「カルピスは初恋の味」と、キャッチフレーズにしていた頃。飲み物の甘酸っぱさが初恋なのね…とそれなりに納得できた。実は、「葡萄こそが初恋の味なのよ」と、母の言葉。
ふ~ん、甘い味ね、しかし種もあって、口の中で実と種を振り分ける時に、すっぱい味も味わわなくてはならない。甘い夢のような恋ばかりを思っててはいけないという教えかな?
一粒口に入れてください。 どうぞ!
そのうちに大人になって思い当たった事がある。「キス」の味だったのかも知れない。母はそれ以上は言ってはくれなかったけれどね!
左は「ヒムロット」 右はまだ完全には熟して甘くなっていないと農園の方が言う「巨峰」。
袋に窓がついていて葡萄狩りのお客さんたちが、そこから覗いて、確かめて房の茎を鋏で切り取ることが出来た。思い違いをせずに済む。
そう…、毎年吟行会をしながら、葡萄狩りをしたのは夏休みが終わりそうな頃の時期で、葡萄は巨峰だった。愛知の方がやや南国だったのか!? 少しだけ時期が早かった。
吟行会の中に幼稚園だったか小学生になっていたかの男の子が参加した。友達の息子さんだが、彼の可愛い句を思い出した。
・ぶどうがり はやくたべよう なくなっちゃう
写真のように、そこの農園でも葡萄の袋がたくさんぶら下がっていたのだけれど、子どもはひとしきり葡萄を食べると、虫採りもしたいのだ。
トンボ、キリギリス、ウマオイなど、採ることも楽しみのような感じだった。懐かしい夏の行事だった。