本棚7個じゃ足りません!

引っ越しのたびに蔵書の山に悩む主婦…
最近は二匹の猫の話題ばかりです

『おちゃめなパッティ大学へ行く』

2006年05月26日 | 

『おちゃめなパッティ』の続編読みました!
しかし作中の時系列では後になる
『おちゃめなパッティ大学へ行く』のほうが、
実際に発表された年が早いそうですね。
そのせいか、完成度はどちらかというと
『おちゃめなパッティ』のほうが上のような気がしました。
でも相変わらずいたずら好きのパッティ、
窮地におちいった時の巧みな言い訳も健在です(笑)。

『おちゃめなパッティ大学へ行く』ジーン・ウェブスター ブッキング 2004
 大学の上級生となった、パッティ・ワイヤット。自由奔放でユーモア溢れる彼女は、ここでも同級生をひっかけたり、授業をサボったり、厳しいオジさまたちを言いくるめたり、のびやかな青春(?)を過ごしている。でも友情に厚く、肝心なところでは呆れるほど公明正大なので、誰もにくめないおちゃめさんなのだ。

良家の子女を集めた管理教育の中で、
自身もお嬢様でありながら、規則を平然とやぶり、
あくまで自由に振舞おうとするパッティは、
トリックスター的存在。

それより以前の少女小説って、
“良い女の子”になるためのお手本みたいなもので、
お転婆で羽目をはずしたりする子は
物語の中で飼いならされたりしたんだけど。
パッティにはそうしたストーリー上の制裁がないのです。
(ラスト、改心しかけるパッティですが、
これもいつもの気まぐれかなぁ…と思わすあたり、彼女らしいところです)

主人公の精神に深みがないとか、
わざと不良ぶってみせるけど、体制と戦おうとしないとか、
批判しようとすれば簡単にできると思うの。

第1派フェミニズムの時代に、
大学では、一人の人間として
自立して生きるべきだという教育をされながら、
現実の社会では、
ただ良い結婚をするのが女の幸せという観念があって。
その中での疑問や葛藤というものが、
『あしながおじさん』や『続あしながおじさん』からは
少しうかがえたんだけど、
パッティ・シリーズでは描ききれていない。
…堅く考えれば、そんな風に解釈することもできます。

しかし、時代背景と物語としての価値は混同されるものじゃないしね。
売れるものしか書かない作家もいるし、
自分の個人的経験ばかり書く作家もいる。
作中から何かを読み取るのは自由だけど、
それで文学的な価値は左右されるものじゃない。

この場合、作者が描こうとしたのはごく普通の大学生活なのでしょう。
そして大学生活とは…往々にして、友達と試験と休暇、
ボーイフレンドとイベントのことで頭が一杯という場合が多いのです。
(常に社会を憂えているという真面目な学生さん、ごめんなさい

本当に、当時はいかに単位を落とさず講義をサボるか、
なんてことが大問題だったもの。
就職難で、将来も不安だったけど…。
お馬鹿だったから、目先のことで忙しかったの。
実力がないから、教授に当てられるとびくっ!としてね。
パッティの天才的な口車が羨ましいです。

                 

ウェブスター作品で一番気に入っているのは、
実は『続あしながおじさん』なんです~♪
『あしながおじさん』のジュディの親友、サリーが主人公で。
何の不自由もないお嬢様だったんだけど、
頼まれて孤児院の院長になり、人間的に成長します。
大人の恋もあって、面白い。

そういえば大学の頃のサリーは、快活で屈託がなくて、
パッティの面影があると思うんだけど、どうでしょうか?




ランキング参加してます。
気が向いたら、ぽちっと押してください♪
一日一回有効だそうです。