医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

高尿酸血症にはいつから投薬が必要か

2005年08月22日 | 生活習慣病
尿酸値の正常値は、2.1~7.0 mg/dlで、尿酸値7.0 mg/dl以上を高尿酸血症といいます。尿酸はプリン体が分解してできた老廃物で、血液中の濃度が高くなると溶けきれなくなった尿酸が結晶化し、関節にたまって痛風発作の原因となります。また腎臓にたまって 腎障害を起こすこともあります。昔は帝王をはじめ、美食することのできるハイクラスの人々に痛風がよく発生したので、「帝王病」と言われた時代もありました。高尿酸血症の患者さんは約50万人(全人口の約0.3~0.5%(中年以降の男性の1.2))、いると推定されており、痛風の予備軍である無症候性高尿酸血症患者は約300万人と推定されています。

さてここで高コレステロール血症の治療薬であるスタチンと同じ疑問が発生します。尿酸値が7.0 mg/dl以上であれば全員が投薬を必要とするのか、薬を内服しなくても痛風発作を起こさない確率はどれくらいかという疑問です。

これまでは尿酸値が7.0 mg/dl以上であればほとんどが高尿酸血症という診断のもとに投薬がなされていました。上記の問題に対する明確な根拠がなかったからです。しかし2002年に「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」が確立されました。それによると、これまでのエビデンスを総合して、投薬は痛風発作がない人は8.0 mg/dlから、痛風発作がある人は7.0 mg/dlから投薬を開始することに統一されました。

健康診断で尿酸値が高いと指摘され、痛風発作もないのに8.0 mg/dl未満で投薬が必要だといわれた方は、一度医師に相談して下さい。

高血圧、高コレステロール血症、糖尿病などの生活習慣病というと、一生薬を飲み続けなければならない疾患がほとんどなのですが、痛風の場合投薬を中止できるケースが結構あります。適切な食事療法が維持され高尿酸血症が改善されるならば、その後一旦薬を中断し、それでも尿酸値が7.0mg/dl以下が維持されていれば薬は中止しても良いとされています。
コメント (1)
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