医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

ベータカロチンは死亡のリスクを上昇させる

2005年11月03日 | 生活習慣病
以前、ビタミンA、C、E、が各種疾患による死亡率をまったく低下させていない事をお伝えしました。今回はにんじんや緑黄色野菜に多く含まれているベータカロチンをサプリメントから摂って死亡率が改善するかという報告です。
Cardiovascular Drugs and Therapy. 2002;16:411.(インパクトファクター★☆☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

この論文では抗酸化ビタミンとしてベータカロチン、ビタミンEの両者について調査されていますが、今回はベータカロチンの内容のみお伝えします。この報告もメタアナリシスといって過去の多くの論文をまとめたものです。

1996年から1997年に実施されたATBC、CARET、PHSの3つの研究がまとめられています。ATBCでは29,133人がベータカロチン摂取(20mg/dl/日)群と非摂取群に分けられて調査されました。日本で市販されているサプリメントには6mg~30mgのベータカロチンが含まれています。6年間の調査で、癌による死亡率を改善していない事が判明しました。さらに統計学的に有意ではないのですが、肺ガンに関しては死亡率を上昇させていました。

CARETでは喫煙やアスベストにさらされた18,314人がベータカロチン摂取(30mg/dl/日)群と非摂取群に分けられて調査されました。4年間の調査で、肺ガンと動脈硬化性心臓病による死亡率を上昇させている事が判明しました(相対危険率1.17倍)。

PHSでは22,071人の内科医自らが50mg/dl/日のベータカロチンを隔日で内服する群と、そうでない群が12年間比較されました。結果は、肺ガンと動脈硬化性心臓病による死亡率は両群で違いは認められませんでした。

これらの研究はサプリメントからベータカロチンを摂取する場合で、にんじんや緑黄色野菜から少量を摂取している場合は問題がないそうです。これらの研究を見ていると、ネット上「ベータカロチン」で検索して出てくる通信販売の数々は全くの詐欺です。どうして政府はこういう事を取り締まれないのでしょうか。

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