医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

ビタミンEは動脈硬化性心臓病と脳卒中に効果なし

2005年11月05日 | 生活習慣病
前回、ベータカロチンが各種疾患による死亡率をまったく低下させていない事をお伝えしました。今回は同じ論文から、ビタミンEをサプリメントから摂って死亡率が改善するかという報告です。
Cardiovascular Drugs and Therapy. 2002;16:411.(インパクトファクター★☆☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

ビタミンEに関しては5つの調査がまとめられました。1996年、投与人数が105人という小さな研究では、1.4年という短い観察期間であるにもかかわらず、ビタミンEの内服が動脈硬化性心臓病による死亡率と心筋梗塞の発症率と脳卒中の発症率を改善させていたという報告がなされました。

当時ビタミンEの細胞での実験上、動脈硬化に対する有用性が示唆され始め、そのような楽観的な雰囲気のなかで研究デザインの問題点の改善がなされたなかったのでしょう、その後の大規模研究で、そのような効果はまったくないことが証明されました。

無作為化が行われていないと、「状態が悪い患者さんには、まだ効果がわかっていないビタミンEを投与するには不安がある。効果がわかっている別の薬を投与しよう」と医者の心理が傾きます。10月9日にお伝えした、刃のついた風船による狭心症に対する治療が、少人数の研究では有用と示されたけれど、その後の大規模試験でことごとく否定されたのと同様です。

以前、ビタミンEを主成分とする「ユベラ」という薬の事をお伝えしました。
ここで「ユベラNソフト」の効能又は効果を見てみましょう。

高血圧症、高脂質血症に伴う随伴症状
閉塞性動脈硬化症に伴う末梢循環障害

「随伴症状」という表現もあいまいです。高血圧の患者さんが「冷え性で、最近手足の先が冷える(随伴症状?)んです」と訴え、医者が「良い薬がありますよ」というのがこの薬の処方の始まりです。

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