近年、「睡眠時無呼吸症候群」はテレビなどでも大きく取り上げられていますので、一度は耳にされたことがあると思います。
睡眠時無呼吸症候群について少し説明します。まず、ここでいう「無呼吸」とは、生理的でない持続時間が明らかに長い呼吸停止を示す状態をいい、成人の場合は10秒以上持続する呼吸停止と定義されています。睡眠時無呼吸症候群は2種類あり、睡眠により弛緩した筋肉の影響で喉のあたりの閉塞で起きる閉塞性と、呼吸を促す中枢神経に問題のある中枢性に分類されています。閉塞性では胸や腹部の呼吸筋の運動が停止することはなく、中枢性ではこれら呼吸筋の運動も停止することから鑑別できます。
さて今回は、閉塞性の睡眠時無呼吸症候群が動脈硬化性の心臓病を悪化させおり、生命の予後を悪くするという報告です。
Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnea-hypopnea with or without treatment with continuous positive airway pressure: an observation study.
Lancet. 2005;365:1046.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)
対象は次の5群です。
(1) 睡眠時無呼吸症候群のない健常者、264人
(2) いびきを指摘されているが、睡眠時無呼吸症候群まで至っていない377人
(3) 未治療の軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群患者、403人
(4) 未治療の重度の睡眠時無呼吸症候群患者、403人
(5) 陽圧呼吸療法という治療を施行している睡眠時無呼吸症候群患者、372人
陽圧呼吸療法とは、睡眠中に強制的に空気を送り出してくれる機械につながるマスクを装着することです。
1992年から10年間の調査で、死には至っていない心筋梗塞や狭心症の発生率と心筋梗塞による死亡率が調査されました。
結果は、Body mass indexという肥満度を表す指標は、(3)群や(4)群より(5)群の方がむしろ高い(太っている)のですが、死には至っていない心筋梗塞や狭心症の発症率は10年間で、(1)で4.5%、(2)で5.8%、(3)で8.9%、(4)で21.3%、(5)で6.4%でした。未治療の重度の睡眠時無呼吸症候群患者の発症率が有意に高かったそうです。
心筋梗塞による死亡率は10年間で、(1)で3.0%、(2)で3.4%、(3)で5.5%、(4)で10.6%、(5)で3.5%でした。ここでも未治療の重度の睡眠時無呼吸症候群患者の発症率が有意に高かったそうです。
つまり、重度の睡眠時無呼吸症候群患者が未治療でいると10年間で21.3%の方に心筋梗塞や狭心症が発生し、10.6%の方が亡くなってしまうという事です。これはかなり高い数字です。軽症から中等度の場合も8.9%が心筋梗塞や狭心症になり、5.5%が亡くなってしまいます。
ただし、睡眠時無呼吸症候群のない健常者でもそれぞれ4.5%、3.0%の発症率があるということも念頭に入れなければいけません。
今は何位かな?
睡眠時無呼吸症候群について少し説明します。まず、ここでいう「無呼吸」とは、生理的でない持続時間が明らかに長い呼吸停止を示す状態をいい、成人の場合は10秒以上持続する呼吸停止と定義されています。睡眠時無呼吸症候群は2種類あり、睡眠により弛緩した筋肉の影響で喉のあたりの閉塞で起きる閉塞性と、呼吸を促す中枢神経に問題のある中枢性に分類されています。閉塞性では胸や腹部の呼吸筋の運動が停止することはなく、中枢性ではこれら呼吸筋の運動も停止することから鑑別できます。
さて今回は、閉塞性の睡眠時無呼吸症候群が動脈硬化性の心臓病を悪化させおり、生命の予後を悪くするという報告です。
Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnea-hypopnea with or without treatment with continuous positive airway pressure: an observation study.
Lancet. 2005;365:1046.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)
対象は次の5群です。
(1) 睡眠時無呼吸症候群のない健常者、264人
(2) いびきを指摘されているが、睡眠時無呼吸症候群まで至っていない377人
(3) 未治療の軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群患者、403人
(4) 未治療の重度の睡眠時無呼吸症候群患者、403人
(5) 陽圧呼吸療法という治療を施行している睡眠時無呼吸症候群患者、372人
陽圧呼吸療法とは、睡眠中に強制的に空気を送り出してくれる機械につながるマスクを装着することです。
1992年から10年間の調査で、死には至っていない心筋梗塞や狭心症の発生率と心筋梗塞による死亡率が調査されました。
結果は、Body mass indexという肥満度を表す指標は、(3)群や(4)群より(5)群の方がむしろ高い(太っている)のですが、死には至っていない心筋梗塞や狭心症の発症率は10年間で、(1)で4.5%、(2)で5.8%、(3)で8.9%、(4)で21.3%、(5)で6.4%でした。未治療の重度の睡眠時無呼吸症候群患者の発症率が有意に高かったそうです。
心筋梗塞による死亡率は10年間で、(1)で3.0%、(2)で3.4%、(3)で5.5%、(4)で10.6%、(5)で3.5%でした。ここでも未治療の重度の睡眠時無呼吸症候群患者の発症率が有意に高かったそうです。
つまり、重度の睡眠時無呼吸症候群患者が未治療でいると10年間で21.3%の方に心筋梗塞や狭心症が発生し、10.6%の方が亡くなってしまうという事です。これはかなり高い数字です。軽症から中等度の場合も8.9%が心筋梗塞や狭心症になり、5.5%が亡くなってしまいます。
ただし、睡眠時無呼吸症候群のない健常者でもそれぞれ4.5%、3.0%の発症率があるということも念頭に入れなければいけません。
今は何位かな?