医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

動脈硬化性心臓病に対する体外衝撃波治療

2006年09月06日 | 循環器
これは腎臓に使用している装置です。


前々回は、以前につまった心臓の血管を流れるようにして、死んでしまった細胞や死にかけの細胞のところに血液を供給する、あるいは将来隣の血管がつまった場合に血液を供給する働きさせることをしても、生命予後に対してその恩恵を受けるのは37人に1人ということをお伝えしました。

この方法には、多くの材料費(カテーテル業者にとっては利益になりますが)や、医師や看護師や放射線技師を含めた人件費もかかります。

以前から腎臓結石や尿路結石に対して、体外から衝撃波(音より速く伝わり、かつ圧力をもった波)を照射して結石を破砕し、破砕片を自然排石させる体外衝撃波治療法というものがありましたが、最近その方法が心臓に応用され、死にかけの心筋細胞のところに新たな血管を発生させる治療が開発されました。開発したのは九州大学で、現在東北大学で臨床応用がなされています。

この方法は、腎臓結石や尿路結石に対する治療で使われる約10分の1の出力の衝撃波を、1回につき40~120カ所、1カ所あたり200発の衝撃波を体の外から照射するもので、針を刺したり皮膚を切ったりすることもなく(非侵襲)施行できますから痛みもまったくありません。1回にかかる時間は約2時間で、医師が1人で行うことが可能です。これを1週間に3回施行します。

衝撃波が照射された部位では血管内皮増殖因子(VEGF)などができて、その部位で新たな血管が作り出されます。また、非侵襲であるため繰り返し行うことが可能です。また費用は、消耗品がないため安く、医療費の削減につながるのではないかと期待されています。

照射して3カ月ぐらい経過したころから心臓細胞の血流が改善されているのが確認されています。この方法が生命の予後をどれだけ改善するかは、今後の研究の結果を待たなければなりませんが、将来おおいに期待してよい治療法だと思います。

また、個人的な意見としては、まさかそんなことはないと思いますが、以前につまった心臓の血管をカテーテルで流れるようにしている医者が、将来自分たちの畑が脅かされるのではないかという思惑で、学会などでこの方法を批判することがないようにしていただきたいものです。


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