医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

貫壁性の心筋梗塞は早期に風船・ステント治療をした方がよい

2007年04月10日 | 循環器
前回は心筋の障害が内側だけに留まり障害が外側に及ばない非貫壁性についてお伝えしましたが、貫壁性となっている急性心筋梗塞の場合はどうかという総説が今年発表されていますのでご紹介したいと思います。

Primary PCI for myocardial infarction with ST-segment elevation.
New England Journal of Medicine 2007;356:47.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

貫壁性の急性心筋梗塞を発症すると、25%~35%が病院に到着する前に不整脈で死亡します。
Sudden cardiac death in the United States, 1989 to 1998.
Circulation. 2001;104:2158.

次のガイドラインでは、「風船治療・ステント治療の専門家が常勤し、心臓外科がいつでも待機しており、病院到着から90分以内に心臓カテーテル検査を施行できる施設」であれば、点滴で血栓を溶解する治療を行うよりも風船治療・ステント治療を行う方が、入院後4~6週間の死亡率は少なく(7% vs. 9%)、死亡には至らない再度の心筋梗塞の発症率、脳出血の発症率は方が少ないと報告しています。
ACC/AHA guidelines for the management of patients with ST-elevation myocardial infarction – executive summary: a report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines (Writing Committee to Revise the 1999 Guidelines for the management of Patients with Acute Myocardial Infarction.
Circulation. 2004;110:588.

別の論文では、貫壁性となっている急性心筋梗塞の場合、風船治療・ステント治療を受けるべき状態なのに受けなかった場合の死亡率は、受けた場合が5.7%であるのに対して14.8%と悪化することが報告されています。
NRMI and current treatment patterns for ST-elevation myocardial infarction.
American Heart Journal. 2004;148:Suppl:S29-S33.

また、急性心筋梗塞に対する4,366例の風船治療・ステント治療を分析した結果、緊急心臓手術に至ったのは4.3%で、死亡は2.5%でした。
Predictors of success and major complications for primary percutaneous transluminal coronary angioplasty in acute myocardial infarction: an analysis of the 1990 to 1994 Society for Cardiac Angiography and Interventions registries.
Journal of American College of Cardiology. 1997;30:201.

貫壁性となっている急性心筋梗塞の場合は、一刻も早く風船治療・ステント治療を行った方がよいという事です。


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