まず、現在日本で使用可能な、インフルエンザに対する薬を以下にご紹介します。
「アマンタジン」(商品名シンメトレル)
1錠50mgで38円、1日2錠内服で最長1週間ですから5日間とすれば全部で380円
「ザナミビル」(商品名リレンザ)
5mgで175円、1回10mg吸入、1日2回で5日間ですから全部で3,500円
「オセルタミビル」(商品名タミフル)
1カプセル75mgで363円、1日2カプセル内服で5日間ですから全部で3,630円
初のインフルエンザ治療薬であった「シンメトレル」は、もともと脳梗塞に伴う意欲・自発性低下の改善や、脳神経の障害で手足の動きが思うようにならないなどの症状が出るパーキンソン症候群に適応があったものです。この薬は、A型インフルエンザウイルス感染症のみに有効で、小児に対する安全性は確立していないので最近はあまり使用されていません。
「リレンザ」はノイラミニダーゼと呼ばれる酵素によりウイルスが感染細胞表面から遊離することを阻害し、他の細胞への感染と増殖を抑制します。「タミフル」も作用機序は同じです。
さて、今シーズンはインフルエンザの9割がA型です。このインフルエンザウイルスに関する論文が先週発表されましたので、ご紹介いたします。
Adamantane resistance among influenza A viruses isolayed early during the 2005-2006 influenza season in the United States.
JAMA. 2006 (ahead of print)
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★☆☆)
全米26州で2005年10月から12月に発生したインフルエンザが調査されました。209例がA型(H3N2)で、そのうち193例(92%)にシンメトレルに対する耐性(シンメトレルでは効かないという意味)を示すM2蛋白のS31N置換が認められました。A型(H1N1)8例のうち2例にも同様の耐性が認められました。
つまり、最初のインフルエンザ治療薬であったシンメトレルはすでに9割の確率で効かなくなってきており、今回の論文の結果をうけて、そのうち「リレンザ」や「タミフル」も同様の運命をたどるだろうと、米国疾病対策予防センターは次のような見解を発表しました。
「リレンザやタミフルは生命を脅かす可能性がある脳炎などのインフルエンザ関連疾患およびインフルエンザの重篤な合併症のリスクが高い人と深刻な流行時にのみ使用すべきである。日常的には予防接種と他の公衆衛生手段(マスク、白衣、手袋、隔離、手洗い等)を推奨するべきである。」
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初のインフルエンザ治療薬であった「シンメトレル」は、もともと脳梗塞に伴う意欲・自発性低下の改善や、脳神経の障害で手足の動きが思うようにならないなどの症状が出るパーキンソン症候群に適応があったものです。この薬は、A型インフルエンザウイルス感染症のみに有効で、小児に対する安全性は確立していないので最近はあまり使用されていません。
「リレンザ」はノイラミニダーゼと呼ばれる酵素によりウイルスが感染細胞表面から遊離することを阻害し、他の細胞への感染と増殖を抑制します。「タミフル」も作用機序は同じです。
さて、今シーズンはインフルエンザの9割がA型です。このインフルエンザウイルスに関する論文が先週発表されましたので、ご紹介いたします。
Adamantane resistance among influenza A viruses isolayed early during the 2005-2006 influenza season in the United States.
JAMA. 2006 (ahead of print)
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★☆☆)
全米26州で2005年10月から12月に発生したインフルエンザが調査されました。209例がA型(H3N2)で、そのうち193例(92%)にシンメトレルに対する耐性(シンメトレルでは効かないという意味)を示すM2蛋白のS31N置換が認められました。A型(H1N1)8例のうち2例にも同様の耐性が認められました。
つまり、最初のインフルエンザ治療薬であったシンメトレルはすでに9割の確率で効かなくなってきており、今回の論文の結果をうけて、そのうち「リレンザ」や「タミフル」も同様の運命をたどるだろうと、米国疾病対策予防センターは次のような見解を発表しました。
「リレンザやタミフルは生命を脅かす可能性がある脳炎などのインフルエンザ関連疾患およびインフルエンザの重篤な合併症のリスクが高い人と深刻な流行時にのみ使用すべきである。日常的には予防接種と他の公衆衛生手段(マスク、白衣、手袋、隔離、手洗い等)を推奨するべきである。」
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