上の図は日本臨床内科医会会誌の2019年12月号に載っていた図です。
「インフルエンザワクチンの有効性と安全性」
日本臨床内科医会会誌 2019;34:14
過去10シーズンについてインフルエンザワクチンを接種した人と接種しなかった人のインフルエンザの罹患率を年齢別に示したものです。
ご覧いただくとわかるように、各シーズンともに統計学的に40歳以上でワクチンの効果を認めていません。
学校や職場で多く人に接する若い人たちだけに有効であることを示しています。
ただ、個別には高齢者でも多くの他人に接する人には有効でしょう。
インフルエンザワクチンを接種すれば症状が軽くなるという話もききますが、私は半信半疑です。皆さんも冷静に考えてみて下さい。「まだウイルス量が少ない発症さえも抑制できないのに、発症して体内で何万倍にも増殖したウイルス量状態である症状を軽くすることなどできるのだろうか」ということです。百歩譲って、それは抗インフルエンザ薬が存在しなかった時代の期待です。
高齢者はワクチンよりも(現在皆が新型コロナウイルス感染予防でやっているように)感染を早期に見つけることが重要で、抗インフルエンザ薬があるのですから、早く使用するというのがワクチン接種などより、よほど有用と思われます。これで11月に若い人たちに対するインフルエンザワクチンが不足してしまったら本末転倒です。
高齢者にインフルエンザワクチンが有用でないという傾向は日本だけでなく米国でも同じです。
感染症のワクチンの効果を現す指標の代表的なものはVE(ワクチン・エフィカシー)で、以下のように計算されます。
VE(%)=(ARU−ARV)÷ARU×100
ARU=attack rate in unvaccinated=ワクチン非接種群における発病率
ARV=attack rate in vaccinated=ワクチン接種群における発病率
MMWR62(7): 119-123
Interim Adjusted Estimates of Seasonal Influenza Vaccine Effectiveness - United States, February 2013
2012年12月3日~2013年1月19日にU.S. Influenza Vaccine Effectiveness(Flu VE)ネットワークに登録された咳を伴う急性呼吸器疾患により医療機関を受診した2,697例(男1,582女1,115)を対象に、A型およびB型インフルエンザウイルス感染症に対するワクチンの有効性(VE)を分析した。ここでは5ヵ所 [シアトル(ワシントン州)、マーシュフィールド(ウィスコンシン州)、アナーバーおよびデトロイト(ミシガン州)、ピッツバーグ(ペンシルバニア州)、テンプル(テキサス州)] のネットワークデータを使用した。2,697例のうちインフルエンザ陽性例(rRT-PCR法)は1,115例(41%)であり、うちワクチン接種例は367例(33%)、インフルエンザ陰性例(1,582例)では793例(50%)であり、全体での接種率は1,160/2,697例(43%)であった。男女別では男性:435/1,092例(40%)、女性:725/1,605例(45%)、年齢別では65歳以上の高齢者にて高かった(205/290例、71%)。インフルエンザAおよびB型ウイルスに対するVE(年齢、地域、人種/民族、健康状態および発症からネットワーク登録までの日数により補正)は全体で56%と算出され、A(H3N2)ウイルス感染例(n=546)におけるVEは47%(95%CI=35-58%)であり、年齢別では6ヵ月~17歳:58%、18~49歳:46%、50~64歳:50%、65歳以上:9%と65歳以上の高齢者にて有意に低値であった。B型ウイルス感染例(n=366)におけるVEは67%(95%CI=51-78%)であり、年齢による有意な相違は認めなかった。以上、インフルエンザA(H3N2)およびインフルエンザBに対するワクチンの有効性は65歳以上の高齢者にてA(H3N2)に対して低く、高齢者ではワクチン接種の有無にかかわらず抗ウイルス薬の投与が推奨される
(国際医学情報センターより引用)
65歳以上のVEはたった9%です。
「インフルエンザA(H3N2)およびインフルエンザBに対するワクチンの有効性は65歳以上の高齢者にてA(H3N2)に対して低く、高齢者ではワクチン接種の有無にかかわらず抗ウイルス薬の投与が推奨される。」とやんわり書かれています。
健康な高齢者はインフルエンザワクチンの接種よりも、かかったかなと思ったら早めに診察・検査をして、可能性がありそうなら抗インフルエンザウイルス薬を早めに内服する方がいい、という事ですね。
こんなことエビデンスを見れば明らかなことです。
以前から何度も書いていますが、(私は高齢者ではないですが、インフルエンザワクチンが効果が無い年齢ですから)毎年私はインフルエンザワクチンを接種していません。
ただ、今後高齢者に不都合があれば政府の無策が猛烈に批判されてしまうので、個人的には政府の気持ちは理解できます。
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「インフルエンザワクチンの有効性と安全性」
日本臨床内科医会会誌 2019;34:14
過去10シーズンについてインフルエンザワクチンを接種した人と接種しなかった人のインフルエンザの罹患率を年齢別に示したものです。
ご覧いただくとわかるように、各シーズンともに統計学的に40歳以上でワクチンの効果を認めていません。
学校や職場で多く人に接する若い人たちだけに有効であることを示しています。
ただ、個別には高齢者でも多くの他人に接する人には有効でしょう。
インフルエンザワクチンを接種すれば症状が軽くなるという話もききますが、私は半信半疑です。皆さんも冷静に考えてみて下さい。「まだウイルス量が少ない発症さえも抑制できないのに、発症して体内で何万倍にも増殖したウイルス量状態である症状を軽くすることなどできるのだろうか」ということです。百歩譲って、それは抗インフルエンザ薬が存在しなかった時代の期待です。
高齢者はワクチンよりも(現在皆が新型コロナウイルス感染予防でやっているように)感染を早期に見つけることが重要で、抗インフルエンザ薬があるのですから、早く使用するというのがワクチン接種などより、よほど有用と思われます。これで11月に若い人たちに対するインフルエンザワクチンが不足してしまったら本末転倒です。
高齢者にインフルエンザワクチンが有用でないという傾向は日本だけでなく米国でも同じです。
感染症のワクチンの効果を現す指標の代表的なものはVE(ワクチン・エフィカシー)で、以下のように計算されます。
VE(%)=(ARU−ARV)÷ARU×100
ARU=attack rate in unvaccinated=ワクチン非接種群における発病率
ARV=attack rate in vaccinated=ワクチン接種群における発病率
MMWR62(7): 119-123
Interim Adjusted Estimates of Seasonal Influenza Vaccine Effectiveness - United States, February 2013
2012年12月3日~2013年1月19日にU.S. Influenza Vaccine Effectiveness(Flu VE)ネットワークに登録された咳を伴う急性呼吸器疾患により医療機関を受診した2,697例(男1,582女1,115)を対象に、A型およびB型インフルエンザウイルス感染症に対するワクチンの有効性(VE)を分析した。ここでは5ヵ所 [シアトル(ワシントン州)、マーシュフィールド(ウィスコンシン州)、アナーバーおよびデトロイト(ミシガン州)、ピッツバーグ(ペンシルバニア州)、テンプル(テキサス州)] のネットワークデータを使用した。2,697例のうちインフルエンザ陽性例(rRT-PCR法)は1,115例(41%)であり、うちワクチン接種例は367例(33%)、インフルエンザ陰性例(1,582例)では793例(50%)であり、全体での接種率は1,160/2,697例(43%)であった。男女別では男性:435/1,092例(40%)、女性:725/1,605例(45%)、年齢別では65歳以上の高齢者にて高かった(205/290例、71%)。インフルエンザAおよびB型ウイルスに対するVE(年齢、地域、人種/民族、健康状態および発症からネットワーク登録までの日数により補正)は全体で56%と算出され、A(H3N2)ウイルス感染例(n=546)におけるVEは47%(95%CI=35-58%)であり、年齢別では6ヵ月~17歳:58%、18~49歳:46%、50~64歳:50%、65歳以上:9%と65歳以上の高齢者にて有意に低値であった。B型ウイルス感染例(n=366)におけるVEは67%(95%CI=51-78%)であり、年齢による有意な相違は認めなかった。以上、インフルエンザA(H3N2)およびインフルエンザBに対するワクチンの有効性は65歳以上の高齢者にてA(H3N2)に対して低く、高齢者ではワクチン接種の有無にかかわらず抗ウイルス薬の投与が推奨される
(国際医学情報センターより引用)
65歳以上のVEはたった9%です。
「インフルエンザA(H3N2)およびインフルエンザBに対するワクチンの有効性は65歳以上の高齢者にてA(H3N2)に対して低く、高齢者ではワクチン接種の有無にかかわらず抗ウイルス薬の投与が推奨される。」とやんわり書かれています。
健康な高齢者はインフルエンザワクチンの接種よりも、かかったかなと思ったら早めに診察・検査をして、可能性がありそうなら抗インフルエンザウイルス薬を早めに内服する方がいい、という事ですね。
こんなことエビデンスを見れば明らかなことです。
以前から何度も書いていますが、(私は高齢者ではないですが、インフルエンザワクチンが効果が無い年齢ですから)毎年私はインフルエンザワクチンを接種していません。
ただ、今後高齢者に不都合があれば政府の無策が猛烈に批判されてしまうので、個人的には政府の気持ちは理解できます。
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