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医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

日本のブレイキング・ニュース

2006年03月25日 | 循環器
日本の循環器学会に来ています。以前、アメリカ心臓病学会で「Late-Breaking Clinical Trial」というものがあり、治療に関わる重要な最新情報が発表される事をお伝えしました。ブレイキング・ニュースもう一つのブレイキング・ニュース

日本でも同様の発表がありました。3つあって、2つは昨年11月にアメリカ心臓病学会で発表されたものをもう一度日本で発表していただけでしたが、新たな発表がもう1つありました。

心臓に3本ある血管のいずれかが細くなると狭心症という病気になり、風船治療やステント治療、バイパス手術で血液の流れを良くする事は以前お伝えしました。(新しい冠動脈ステント)狭心症と言ってもその程度は、1本だけが狭いもの、3本とも狭いもの、付け根に近いところが狭いもの、先端の方が狭いものとさまざまです。

この研究では、
1、左の冠動脈の一番付け根に狭窄があるもの(LMT)
2、3本のうち一番大きい血管である、心臓の前に行く血管の付け根(#6)に狭窄があるもの
3、3本ともに狭窄があるもの

以上が「重症」の狭心症として分類され、

その他の状態は「重症でない」狭心症として分類されました。

そしてそれぞれの群において風船治療とステント治療をする群(192人)と飲み薬だけで様子を見る群(190人)に分け、その後の死亡率や心筋梗塞の発症率を3年半調査しました。

結果は、「重症」群ではやはり風船治療やステント治療をした方が死亡率や心筋梗塞の発症率は低かったのですが、「重症でない」群では風船治療やステント治療をしても、薬だけを飲んでいる群と死亡率や心筋梗塞の発症率は同じで、むしろ風船治療とステント治療をする群の方が、その後再度風船治療とステント治療が必要になってくる率が高くなりました。

つまり、狭心症でも「重症でない」群であれば、わざわざ風船治療とステント治療をしなくてもその後の死亡率や心筋梗塞の発症率は変わらないという事です。しかも年間医療費は風船治療とステント治療をする群の方が3~4倍高くなりました。

ただし、薬だけの治療の場合、狭いところはそのままですから日常生活で胸が締め付けられるという症状がそのまま残るというデメリットもあります。

それから誤解してはいけないのは、狭心症の症状があっても薬を飲めば大丈夫というわけではなく、ご自分が「重症」か「重症でない」かをカテーテル検査で調べる必要はあります。

この結果は海外と比較して風船治療とステント治療が多用される日本の現状に一石を投じるものとなりそうです。

ある医師は言っていました「でも、風船治療やステント治療をしないと儲からないからなぁ」
そんな事言ってていいのかな?

反証も挙げておきました。こちらもお読み下さい。
日本のブレイキング・ニュースで思うこと


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