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駈込み寺で離婚成立『江戸の色事仕置帳』

2019-01-14 09:01:35 | 歴史から学ぶ

@江戸時代の処罰・刑罰は前回の江戸残酷物語でも紹介したが、ここでは男尊女卑の江戸時代、「密通」「暴漢」等、女性・妻は行き場を無くし訴える事もできず泣き寝入りしていたという。だが、家康由の寺「駈込み寺」が救ったとある。150年間で2千名。それ以外は自殺等に追い込まれたかもしれない。この時代、3年過ぎても音信がない場合、離婚が成立したとある。また、妻側からの離縁成立には条件があり、夫が妻の承諾を得ないで妻の持ち物を質に入れた場合、また、夫が10ヶ月以上行方不明の場合も離縁が成立したともある。興味深い当時のシステムは現代社会でも、こういったシステムを犯罪になる前に再度一考すべきかもしれない。現代では保険金目当てなど夫婦不和から殺人事件になっている場合もあり、人間の結びつきは生涯不変ではない。 日本の常識は一部世界の非常識などと言われている時代、昔からの風習からの規制・規則、法規を見直すべき時代になっているやもしれない。 ちなみに死刑制度が現在でも施行しているのは日本、北朝鮮、中国などで、近年は廃止になる諸国が増えている。

『江戸の色事仕置帳』丹野顯

  • 名奉行が輩出した江戸時代。彼らによって残された大量の裁判記録の中から、男女間の性的な事件犯罪に対する裁きと仕置をまとめたもの。粋な町民文化の象徴と思われ気味な色事だが、不義密通はもちろん、婚前交渉ですら、奉行所で一旦裁きにかかると死刑や追放といった厳しい刑罰が待っていた。おおらかに性を楽しんでいた等に見える江戸庶民、しかし実際は身分差別や儒教による秩序原理によって縛られ、恋愛においてもほとんど自由がない生活を強いられていたことが見えてくる。
  • この書での内容は主に「密通」「レイプ」「売春」「心中」「女犯」「DV」、性犯罪「痴漢」「セクハラ」等については町奉行所への訴えが認知されておらず除外されている。内容は「御仕置裁許帳」「御仕置例類集」が出所である。
  • 江戸時代は男尊女卑、儒教の主従上下関係に左右された裁断となった
  • 「御定書百ケ条」徳川吉宗の意向の刑罰書
  • 江戸時代の処罰
  • 「死刑」鋸挽き・磔・獄門・火罪・死罪・下手人
  •             獄門は牢屋敷で斬首、刑場で首を晒し、遺体は試し斬りに
  •             死罪は牢屋敷で斬首、遺体を試し斬りに
  •             下手人は牢屋敷で斬首、遺体は親族に引き渡し、埋葬許可
  • 「遠島」重追放・中追放・軽追放・江戸10里四方追放・江戸払い・所払い
  •             重追放は武士の場合関八州・畿内・東海道筋・木曽路筋禁止、庶民は江戸10里四方追放
  •             中追放は武蔵・山城・摂津・和泉・大和・肥前・東海道筋・木曽路筋・日光道禁止
  •             軽追放は江戸10里四方追放・京都・大阪・東海道筋・日光・日光道禁止
  •             江戸10里四方追放は日本橋の5里四方内からの追放
  •             江戸払いは品川・板橋・千住・四谷大木戸・本所・深川内から追放
  •             所払いは住む町村から追放
  • 「その他」敲き・晒し・手下・押込・手鎖・過料・叱り
  •             敲きは牢屋で50回〜100回歩行が可能な程度まで鞭で打つ
  •             手下はへの身分降格
  •             押込は20〜100日間自宅謹慎
  •             手鎖は30日・50日・100日間刑具で両手を固定
  •             過料は罰金で6種類
  •             叱りは役人が叱責
  • 武士と僧侶には「閉門」「逼塞」「遠慮」、武士にはさらに「改易」「隠居」等があった。性犯罪で多かったの追放刑。だが「密通」は鎌倉時代から男女共死刑。
  • 「白子屋おくまの不倫事件」は庶民の間で美化された、それは江戸時代には愛し合ったもの同士がなかなか結婚できない厳然たる仕来りがあった。結婚している女は恋文をやり取りするだけで中追放刑。「密通」は示談もあり慰謝料(7両2分)を払う事もあったが、基本的に死刑。(江戸の拷問と比較して明治以降の警察の拷問は日常的で恣意的であった。1936年の「阿部定事件」は懲役6年、だが江戸時代は密通未遂事件で中追放。)レイプ犯罪では追放前に「敲き」を行なったが、大半は被害にあった女性は泣き寝入りとなった。
  • 「刑法」強姦罪・強制わいせつ罪は13歳上と13歳以下での扱いが違うが江戸時代では「幼年」は15歳未満としている。
  • 「売春防止法」は1956年交付、1999年に「児童買春、児童ポルノ禁止法」が施行されている(児童は18歳未満)が、江戸時代は遊郭を幕府が認めたが、遊郭以外では禁止だった。江戸の人口は20〜40代の独身男性が圧倒的に多く庶民には銭湯と湯女屋が賑わった。湯女屋とは15文で入れる蒸し風呂で20−30人の女たちが垢を落とし、髪を洗ってくれる場所で幕府はガス抜きも含めて風俗営業等を許可していた。また今の中央区日本橋人形町一帯を幕府が買い上げ「吉原」として条件をつけて許可した。江戸大火でその後浅草方面に移動。
  •             吉原以外で遊女商売の禁止
  •             一昼夜以上逗留禁止
  •             遊女の金銀刺繍など華美を禁止
  •             遊郭を美麗にしない事
  •             怪しいものは身分に差別なく町奉行書に訴える事
  •             「遊郭」は全国に25箇所、「吉原」には遊女987人いた。また、旅籠にも「飯盛女」が1軒につき2名置き、品川宿では1348人いた。その他公娼以外には私娼含めた夜鷹、踊り子等江戸には4千人がいた。
  • 1703年「曽根崎心中」(女郎お初21歳、徳兵衛との心中)は元禄バブルで大量の悪政通貨(慶長小判の金の純度が84.29%から57.37%)、「犬公方」の政治で20年以上経済・社会の閉塞状況が続いた。吉宗の「心中法度」で厳しい沙汰が交付され、心中した罪人は双方ともに下手人、遺体を裸にして晒し、埋蔵不可とした。
  • 僧侶の性犯罪には仏教の戒律を重視「5戒」
  •             不殺生戒(生き物を殺すな)
  •             不偸盗戒(盗むな)
  •             不邪淫戒(邪な性行為をするな)
  •             不妄語戒(嘘をつくな)
  •             不飲酒戒(酒を飲むな)
  •             その他出家すると「具足戒」等があった。住職には庶民に対して関所手形発行、結婚承認など役があった。僧侶の刑罰としては流人が多く江戸では八丈島行きが多く、1610年で1823人うち僧侶が221人いた。孤島の暮らしは飢餓ギリギリの生活だった。
  • 僧侶は医者に変装して遊郭にか通い、捕獲されたものは浄土宗、日蓮宗が多く、延命寺には大奥、奥女中なども寺にお通夜として参拝と称しながら密通をしていた。
  • 江戸時代には父権が強く犯罪になる事が多く、武士の結婚は双方の武士の身分で判断された。持参金(保証)を持ち嫁に行くが、夫の理由で離婚の際には持参金を返金する必要があった。だがDVなどで虐待されるケースも多く妻からの離婚は認められず犯罪に走り処罰された。その際には夫を殺した場合は下手人として死刑、場合によっては密通宣告され獄門等にもなった。「三行半」(離縁状)は夫の利権であり妻にはなく、当時DVで妻の行動はかけこみ寺への逃亡であった。江戸では2箇所(徳川家康が認める寺)鎌倉市の東慶寺と群馬県尾島長の満徳寺が名高い。駈込み理由は夫の不法・姑の不法・婿と親の不和・病身・夫を嫌って・夫の反省改心を願って、当時150年間で2千人もいたという。実質2年余り寺に留まり夫が身柄引き取りに来なければ認められた。

マジックが作り出す幸せな世界「メリーポピンズ・リターン」

2019-01-14 07:56:18 | 映画から見える世の中の動き

@映画メリーポピンズ・リターン Mary Poppins Return

1964年の第1作ディズニー映画の続編映画。時代は25年後のロンドンの大恐慌、父マイケルには三人の子供がいた。家賃の延滞で立ち退きを余儀なくされ引っ越すことになる。ただ昔銀行の証券がどこかにあることを思い出して探すが見つからない。証券があれば引越ししなくともいいはずだと必死になる。証券の有効期限は数日後の深夜とされ、悪事を持った銀行家は銀行内にある証拠帳簿を破棄してしまう。実は引越しするためにゴミと一緒に捨てた昔の凧に証券の切れ端が張り付いており、最後は時間ギリギリにその証拠を銀行に提出、元の家を取り戻す。物語は三人の子供たちと家政婦のメリーポピンズのマジックで諸々の問題を解決していく。 **シンプルでハッピーエンドの映画は実に判りやすく、ディズニーらしい人間味あふれるストーリーだ。 魔法・マジックは「奇跡」(ミラクル)として現実世界でもある。それにはいつも夢の実現に向け思いつづける強い意志を持っている事だ。