二人小町

この作品は積極的に、日本映画を観ていこうというここのブログの個人企画と

映画「カメラを止めるな！」の撮影監督だった曽根剛氏が映画監督二初挑戦したということでレンタルしてきました

一応職業柄、芥川龍之介の『二人小町』という戯曲の原案は、芥川の全集の中に掲載されてて、完成形ではなく試作の荒原稿段階というか未完の作品です

そしてページ数にしても10ページ以下ですから

誰でも簡単に読めます

 

うろ覚えですが、“地獄の死神が小野小町を地獄にへと誘いにきます。小野小町はなぜ私が・・・閻魔様が選ばれて・・・小町という女性を地獄に連れて行かねば私が叱られる・・・ま、小町という名前と年齢が一緒の女性なら問題無いんですが・・・
そこで小野小町は女官の一人で○○小町って言う女性を地獄に私の代わりにつれてて・・・死神は○○小町のとこに行って・・・

 

私個人的にはまだ死にたくないって言う個人的なエゴで他人を地獄に送るっていう

人間の本質をテーマにしたのではないかと

何せ未完ですからそんな感想を持ったっていうのを

この作品を観てなんだかおぼろげに思い出したって言うことで

原作の結末さえ思い出せはしないんですが・・・

 

そんな芥川の未完の戯曲を、現代の香港に舞台を移して、

地獄へ連れて行く女性と恋仲になるという死神を軸にして

二人の小町との愛憎が86分の尺の映画に・・・

ヒロインである二人の小町、その一人は一流企業のキャリアウーマンとして

もう一人は大衆食堂でアルバイトするモデル志望の小町に配して

さらにこの二人が同姓同名ということで友人同士として扱っていきます

そして時間軸を動かして死神が二人と出会う機会を交互に映していくという、結構冒険的な作品になっており

ハンナ・チャン演じるキャリアウーマンは死にたくないから妊娠してると嘘をつくことと

なんといつまた自分に死が返ってくるかわからないから、なりふり構わず社員たちと寝まくり妊娠しようって焦るものの

なんと彼女は妊娠できない体と判明して・・・

 

一方エリズ・ラオが演じるモデル志望の姉ちゃんは死神と恋に落ちるが

これまた夢であるモデルに一歩近づくと死神を簡単に振って・・・
夫々の女に完全に弄ばれる死神はなんともな・・・

この死神を演じてるのは俳優だけでなくタレントとしても香港で幅広く活躍する和泉素行さん、個人的には全くお初の男優さん
あと「カメ止め」繋がりで濱津隆之さんもラストちょい役で出演されてましたねぇ

 

現代社会でもがく女の欲望と野心をなりふり構わずに時代に反映させた映画にしている

何せ生きるためには他人を蹴落とし、そして隙あらば死神さえナイフで・・・
実にシニカルな作品となっている。

 

2020年製作、日本・香港合作映画

芥川龍之介原作、平谷悦郎脚本、曽根剛監督作品

出演：ハンナ・チャン、エリズ・ラオ、和泉素行、ウェスリー・ウォン、キコ・レオン、カーク、ベン・サー、ジョシー・ホー、濱津隆之

アフリカン・カンフー・ナチス

第二次大戦後、自殺したヒトラーと東京裁判で死刑にされた東條英機はまだ生きていた。彼らは逃げ延びた先のガーナを制圧すると、空手と魔術的パワーを持つ旭日旗の赤丸にハーケンクロイツを模した“血塗れの党旗”を用いその魔術で現地の人々を新たな人種“ガーナ・アーリア人”として洗脳し、世界を侵略するための拠点を築いていく
そこにムッソリーニというかイタリアが組み入れられていないのはイタリアがポンコツだからだ

って言うスーパーとナレーションで始まるこの作品
まぁなんとおバカな、それも半端ない完全なるおバカ映画

おバカすぎてカルトに昇華させられてしまった作品であるが

 

そんなおバカな設定にタイトルにあるようにガーナのカンフーの猛者が師匠の仇と恋人をヒットラーに寝取られた恨みで復讐するだけのお話
東條英機から教えてもらった空手でアフリカ次々制圧！旭日旗にハーケンクロイツが禍々しい（韓国だったらこの旗が出てくるだけで法的に上映できない作品）"血染めの党旗"の魔力でガーナ国民をガーナアーリア人に変えその勢力を伸ばしてる

カンフーの達人を目指す青年アディの町もヒトラーと東條英機が攻め入りアディが通う道場が襲撃され師匠が殺され、愛する彼女が党旗の魔力でガーナアーリア人にされ、おまけにヒトラーの愛人にされてしまう。
師匠の仇をうち彼女を取り戻すためアディはヒトラーと東條にカンフーの試合で復讐に挑む

ただそれだけの映画

 

私は字幕で映画は見ることに拘ってるので最初なんなんだこのスーパーの語尾に関西弁ってって思い

途中でメニュー画面から日本語音声&日本語字幕で鑑賞したら

音声はなんとバリバリではない変な関西弁を主人公やその周り全員が喋り、ヒットラーと東條さんは標準語でしたが

変なっていうか純粋でない関西弁の硬い日本語が痛々しい作品ですね

関西弁にしたのは奇をてらったバカな演出だよね

関西弁を除いてもこう言うおバカというか箸にも某にもかかんないゴミ映画好きですから

こういうおバカ作品は別に不愉快じゃないですし

この作品見てると7、80年代に大量に生産されていた香港のカンフー映画そのまんまのプロットにヒットラーと東條英樹を加味した作品ですし

カンフー自体はアフリカ人の身体能力を活かすにはナイスな設定でしたよね

 

まぁ東條さんもヒットラーさんも戦後70数年経過してるのに全く歳とってないし

ゲーリングなんかは黒人だし

カンフー対決は東○○、西○○って東條さんが軍配ならぬ普通の扇子で行司？みたいなことしてるしで

なんとも言えないんだけど流石に低予算低級でのおバカなアイディアっていうか思いつきだけで作った作品

勢いと情熱だけは買えるけど二度見る作品ではないわな

 

一応R -15指定されてるのはカンフーにおける負けた人間における首チョンパに血飛沫
と言った適度な安いゴアシーンからなのかな

2020年製作、ガーナ、ドイツ、日本合作映画

セバスチャン・スタイン脚本・共同監督作品、ニンジャマン共同監督作品

出演：エリーシャ・オキエレ, マルスエル・ホッペ, 秋元義人, ンケチ・チネドゥ, アンドリュース・メンサー