MOMENT

レンタルDVD三昧なアナログオヤジの、店舗型レンタル店の残日録。

ひとくず 新ディレクターズカット

2023-05-14 20:08:25 | 邦画
今月のチャンネルNECOでは<上西雄大⭐︎なにわのヒーロー>と題して
オールイン時代から現在のライツキューブに至る任侠Vシネマで脇役としてその存在感を示してきた上西雄大氏が
自身の生まれ故郷大阪の西成と隣接する新世界を舞台に自身が持つ劇団と劇団員を総動員し、かつ任侠Vシネマでの人脈で役者さんたちの出演を願って自ら製作した4本の作品の特集企画OAをしておりますが
 
ってことで製作順ではないけれどまずは衛星劇場で赤井英和さんとの共演で串カツ屋のおっちゃんが資金提供して作った「ねばぎば 新世界」を見て上西雄大の監督としての才能を新にし
そしてあんまり間をおかずにDVDで「西成ゴローの四億円 」「西成ゴローの四億円 死闘篇 」の二部作を見てから
いわゆる上西雄大の監督作の原点であるこの作品、それもなんと「ひとくず」「ひとくず デイレクターズカット」と納得行くように未公開カットを追加しての最終形態?である「ひとくず 新デイレクターズカット」に出会う僥倖に預かることができたってわけでして
 
お話の舞台は相変わらずの大阪西成、そこで空き巣専門の犯罪者金田が空巣に入ったマンションの一室には生まれてからずっと母親の男遍歴の果てに今付き合ってる男によって虐待されている少女鞠をその部屋で発見してしまい
金田は一目見て育児放棄と小児虐待を見てとって犯罪者ながら彼女を救おうと動き出す金田
実は金田自身幼児虐待を受けて育ったために現在こんな盗人稼業をして糊口を凌いだいるわけで、少女鞠の姿に幼い頃の自分を重ねた結果彼女を救おうとするわけでして
 
この鞠を虐待してる鞠の母である凜の恋人を演じているのは城明男さんと言うことで、実に虐待描写自体に直接的な表現は描かれていないものの城さんの顔演技からその虐待ぶりがかなり陰惨で胸糞悪いものに見えてくるから不思議ですよね
城さんはナイスキャスティングっていうのもあるけどもVシネマの戦友でもあるからねぇ阿吽の呼吸での胸糞演技だったんでしょうね
 
鞠が虐待を受けていても母親凛は庇ってもやれないわけでして
凜もまた虐待されて育ってきたって言う過去を持ち、そのために子供への接し方愛し方が分からないでいたんですね
って言うことでこの親娘を救う手段として金田がまず取ったのは城明男を殺して凛にも手伝わせてかれを埋めてしまうこと
そして自分を慕うようになった鞠と、鞠が捨てきれずにいる母親への愛からなんと三人は暮らし始め
 
過去が過去だけに大人同士は不器用ながらも”擬似家族“の暖かさを感じ本物の“家族”へと近づいていくように見えるものの
なんと金田には司法の手が近づいてきて・・・
 
エンドクレジットのあとの成長して年ごろの娘となった鞠とその母親凛が金田の出所を迎えてくれ
さらにネグレクトだった金田の母親までをも面倒見ていたようで
ここのシーンが加えられたんですかねぇ
個人的にはあってもなくてもって思えるし
普通版のエンディングの方がこっちがその後を考えるって言うバリエーションが増えるような気もしないでもないんですよね
 
とにかく児童虐待をテーマに家族ってなんだって言うのをこちらに叩きつけてきた作品ではありましたねぇ
ついついのめり込んで見させられてしまいましたが2時間6分も尺のある作品だったんですね
工藤俊作さん、堀田慎三さん、田中要次さん吉田祐健さんが上西さんとの交流の中でちょい役でお顔を出されていましたねぇ
 
2019年製作、日本映画、10ANTS作品
上西雄大製作・脚本・出演・監督作品
出演:小南希良梨、古川藍、徳竹未夏、田中要次、工藤俊作、谷しげる、堀田眞三、城明男、中山むつき、税所篤彦、川合敏之、椿鮒子、空田浩志、吉田祐健、中里ひろみ、上村ゆきえ、西川莉子、美咲、山本真弘、松木大輔、美村多栄
 
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あのこと

2023-05-14 05:04:08 | 洋画
映画の情報を全く入れない私ですから
ジャケットの、それも未だ名前も知れんこの女優さんの顔アップに惹かれてセットレンタルに組み込んできたら
なんとまさかの超真面目っていうか実に重たいけどいろんなことを知らされるとんでも映画だった
ちなみにこの女優さんはアナマリア・ヴァルトロメイ
 
そしてこの作品は2021年にオードレイ・ディヴァン女流監督が製作したフランス映画です。そして原作ありきの作品
そして原作者のアニー・エルノーは2022年のノーベル文学賞を受賞された作家さん
この作家さん自伝的作品ばっかを書かれてきた作家さんらしい
日本で言ったら私小説作家って言ったところか
そんなエルノーの学生時代のお話だったのね
 
ってことで驚きというかとんでもな発見はなんとフランスは1920年から1975年まで中絶禁止法が施行されており、なんと避妊のためのゴムさえ販売が禁止されていたそうで
っていうのも第一次世界大戦で人口が激減したために施行された法律で
まさか75年まで50年も続いてた法律だったとは、それもフランスですからねぇ
そんなとんでも法が施行されてた1960年代に学力優秀な大学生アンヌは人並みに青春を謳歌した挙句妊娠してしまったことを知り
妊娠してては学業は続けられんし、自分はさらに進学して学位取る試験も迫っている大事な時
彼氏は“産まない”って言うアンヌの意思にたじたじっていうか産まされても困るって言うこれまた自分本意な男でカノジョから離れていく
さらに中絶した医師は法律違反として逮捕されるから産婦人科医も彼女の“産まない”には取り合ってくれない
 
映画としては妊娠を知った彼女の心の焦りを煽るように第○週っていうように字幕が画面に漸層的に表示されていくんですね
学業にも身が入らなくなってていくだけでなく
親友も何人かは彼女の“産まない”って言う意思に彼女から離れていくって言う
かなりこれまた心理敵に追い詰められていくものの
どんどん週が重なっていく
そんなアンナの葛藤をまだお若いアナマリア・ヴァルトロメイが見事に演じており
 
なんと闇での堕胎にこぎつけたのはちょっとヤバイ12週目だった
いやとんでもの第二弾は直截局部描写はないものの器具と針金で胎児を突いて殺すって言う手術をそれも麻酔なしでって言う迫真のシーンが
っていうかこれが実は成功してなくて・・・
なんとこの後にさらにとんでもな極め付きグロシーンが待ち受けていたとは・・・
 
まぁ産めよ増やせよって言う政策によって女性がいかに虐げられてきたかって言うテーマでもあったようですね
 
2021年製作、フランス映画
アニー・エルノー原作、オードレイ・ディヴァン共同脚本・監督作品
出演:アナマリア・バルトロメイ、サンドリーヌ・ボネール、ケイシー・モッテ・クライン、ルアナ・バイラミ、ルイーズ・オリー・ディケロ、ルイーズ・シュヴィヨット
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