まほろば俳句日記

毎日見たこと聞いたこと感じたことを俳句にします。JーPOP論にチャレンジ。その他評論・エッセー、学習ノート。競馬も。

【俳句の此岸】本当の闘いは個々人の精神の中にこそ・・/私とは誰か~プレおたく世代の現在(10)

2017-03-10 02:49:56 | エッセー・評論

兵に告ぐ2017年の兵に告ぐ   まほろば

私は1976年になると、もう大学にはほとんど足が向かわなかった。当時の若者文化の中心だった中央線沿線から逃げ出すように引っ越した。そこは新宿からほど近い幡ヶ谷という地で、すぐ隣駅が初台であった。新宿西口からさらに西に伸びる甲州街道沿いを歩いていると、あるビルの地下にその店はあった。フリージャズ専門のライブスポット【騒(がや)】である。70年代後半になっても、新宿やそこから延びる中央線沿線の各駅に散在したジャズ喫茶はまだまだ眼強く残っていた。70年安保世代で就職からあぶれた者やそれに続く私たちには、もう他に行く所は残されていなかった。案の定、男女2名のスタッフは共に初期の団塊の世代であった。フリージャズとは、60年代の通常のジャズ(ハードバップ)や70年代前半のクロスオーバー、ニューエイジに飽き足らない、前衛的で破壊的なジャズのことで、これに興味を示すこと自体、体制的なものへの反逆を意味した。政治や社会での闘いには敗れたが、本当の闘いの場は個々の精神の中にこそ残されていたのだ。・・・《続く》