まほろば俳句日記

毎日見たこと聞いたこと感じたことを俳句にします。JーPOP論にチャレンジ。その他評論・エッセー、学習ノート。競馬も。

萌えといふより春愁のはじけをり/新雑句雑感(192)~プロローグ5の終わり

2017-03-22 09:09:33 | 新雑句雑感

春愁の街行く人に手を振れり  「天使の涎」売り切れ続く春愁  春愁のもひとつ先の哀れとは  春愁の故郷けっして遠からず  春愁やカバンに札束詰めて往く  春愁や1970年代まだ続く  萌えといふより春愁のはじけをり  モー娘の道重さゆみ春愁い  船団をやめたが春愁またつのる  春愁を強め廃寺に火を放つ  エグザイル的生き方春愁また春愁  春愁や犬より猫が好きと言え  入院のドタキャン春愁潔し  俳句愛好誌「海光」春愁い  エヴァ1号機無人なり春愁  歌舞伎町は人種の坩堝春愁い  


【型の在処】私が生まれて育ったところ/J-POP論・POP詩の宇宙

2017-03-22 03:57:00 | J-POP論/POP詩の宇宙

彼女は1952年生まれで、デビューは1971年(18歳)である。出身は福井県で、実家は鮮魚店であったという。実家が鮮魚店の歌手といえば、すぐに美空ひばりが浮かぶ。彼女もまた美空ひばりに憧れて歌手を目指した。1971年という時代は、70年安保直後の世の中が高度経済成長の真っ盛りで、日本全国どこにいても見るもの聞くものが日々変わって行った時代であった。また、その当時、戦後の自由と民主主義が飛躍的に成熟してゆく中で、都市と地方の違いや男と女、私と私以外の全ての他者との違い・・など、私をめぐる《全体》が大きく揺れ動いていた。その中で、常に【私が生まれて育ったところ】を背負いながら都市に向かっていたように思える。都市という存在は、決して《地方》と二律相反するものではなく、個々人にとっていつでも振り返ることの出来る自在な存在であったような気がする。現在64歳の野路由紀子さんは、1971年に18歳でデビューした。同時代の歌手に、藤圭子や自分でもカバーしている『瀬戸の花嫁』の小柳ルミ子がいる。70年代は、全世界に波及した変革の時代を経たのと同時に、変ることのない原点を確かめる時代でもあった。野路由紀子の歌声をいま振り返ってみると、その時代の新しさと変わることのない原点を、何の屈折感もなく背負い続けた同時代の感性の在り方を懐かしく想い出す。・・・《続く》

 

私が生まれて 育ったところは
どこにでもあるような
海辺の小さな港のある町よ
かもめと遊んで かもめと泣いた
幼いあの頃に
もどりたい もどりたい もう一度
・・・・・
(詞 聖川勇)
  

野路由紀子 『私が生まれて育ったところ』  1971

https://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=QbA9aKST10s#t=77