多くの人たちの書道を始める動機は、
『綺麗な字が書きたい…』、『字が上手になりたい…』、『年賀状を筆で書きたい…』、
そんな願望で書道を始める。
さて、「年賀状を筆で書きたい」云々は、具体的な願いだが、
綺麗な字とは?、上手になりたい?-は、抽象的な言葉である。
“綺麗”と言うのは人それぞれ感じ方が違うし、
“上手”とは、どこまでが下手で、どこまでが上手という基準が曖昧だ。
その具体的例は、先生が始めたばかりの生徒さんに「上手!」と誉めたり、
何十年を書道を学びながらも、「私はもっと上手になりたい…」という人もいる。
上手、下手の基準が人によって違うということだ。
視点を変えて、美しい文字はどうでしょう。
新聞や本の活字は、整っている字ですが、美しく魅力があるでしょうか?
私は、多くの臨書を学習して、文字の魅力は形でないと思っています。
楷書、行書、草書、篆書、隷書、いろいろな文字があり、
みな魅力がある。
私たち書を学ぶものは、綺麗な字を書くのではなく、
魅力ある字を追及するのが、書道を上手になる道だと思います。
次に「上手になりたい」ですが、
上手と言う言葉も、また曖昧です。
でも、筆使いや墨の扱い、文字の配置やバランスの取り方等が、
上手になるよう努力しましょう。
今の自分より、明日の自分。
明日の自分より、1年後の自分が上手になるよう練習を積み重ねよう。
私は上手を「やり方がうまい」と言うことに集約します。
つまり書道の技術的なことです。
一概に『綺麗な字が書きたい!』と言っても、
いろいろなことが内在しているので、
それを追求する道のりは気の遠くなるような長さです。
練習を重ね迷いのない活き活きした字を書きたいですね。
楽しんで字を書く、そうしたら書いた文字も活き活きするでしょう。
(翔雲書道教室)