デジブック 『伊良湖から志摩へ』

デジブック 『伊良湖から志摩へ』


私が暮らしていた頃の名古屋はまだ市電が走っている時代であった。久しぶりに車で行ったが、高速環状道路が出来ていて、標識に出てくる名前はなつかしいのだが町の感じは様変わりしていた。

　徳川美術館は、予備知識があって選んだのではなく、雛まつり展をしていることと昼食タイム頃に到着できるというぐらいの理由で立ち寄ったのである。しかし、国宝9件、重要文化財57件、重要美術品46件を含み質、量、保存状態の良さに感心した。特に、第６展示室の源氏物語絵巻、絵本、抄本、解説書などを見ると、1000年の間、いろいろな形で読み続けられてきたのだということが実感でき、感動すら覚えた。

　宿泊する伊良湖ビューホテルは渥美半島のほぼ突端、小高い岡の上にある。太平洋、伊勢湾、三河湾の三方が眺望でき日の出と日の入りを見ることができる絶好のロケーションにある。到着の日は強い風が吹いていたので散策ができなくて残念だった。30年以上前に、東京からの帰りに立ち寄ったきりで本当に久しぶりだったが、反対側から伊勢湾、志摩半島を見ると不思議な感覚にとらわれた。

　天気も思ったより良かったので、実家に入り昼食を済ませ、頼まれた用事を片付けてから伊勢神宮に出かけた。伊勢道路を使うと20分弱で行くことができる。去年の11月3日に宇治橋の渡始式があったばかり。ヒノキの香りがしていた。“お伊勢さんニュース”宇治橋渡始式記念号を読むと、伝統の重みと建築技術の高さを感じる。おはらい町通り、おかげ横丁は良く賑わっていて、店を覗きながらの散策を楽しんだ。